恋文
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ふと唇にふれた指先に よみがえる感覚
手を胸に下ろし 指先を這わせてみる 小さな頂点に 感じる
溢れんばかりに咲いている 春の花たち ざわざわと
いつか わたしも逝くだろう そのときは こんな春の日がいい
花も木も鳥も 悼んでくれるように
あなたたちが 暖かい陽射しのなかで わたしを送ってくれたらいい
ここには 海がないので 時に恋しくなる
わたしのところからは 山ばかりが見える
この街を流れる この河は たしかに 海につながっているんだ
川面に 朝の光が さざめく ずっと先に あなたたちが いるね
戻ってきた寒さのなかで わたしは わたしを見つめている
寒さがいつも 思い出の引き鉄になるよ
きっと暖かい身体を 懐かしがっているんだ
突き放そうとしたり 重荷に思ったり そんなことだってあった
だけど あなたが そこにいて欲しい
わたし ふわふわ あなたには重くないよ
だから ふわふわ あなたの周りで 漂ってる
あなたも わたしのこと 見てね
すがるものもなかったから 立っていられなくて まんまるくなってしまうしかなかった
まんまるくなっていると あったかくて そのまま眠っていたかった
そうでありたかったもの でも なれなかったもの 今も わたしのなかで葛藤する
思い出のなかでも 同じようにあるのだけれど それは とてもやわらかな夢のようだ
あなたが見てくれた わたしの夢は わたしの見た夢のように やわらかい
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