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何も考えていなくても 手は動いている
水が食器を流れ落ち 手はまた次の食器をつかんで
いえ、何を考えていたのか しばらく、心はどこかに行っていたはずなのに わたしは、じっと自分の その手を追っていた
まるで自分のではないような たしかなわたしの一部
それはいつのまにか現れて 目が覚めるとなくなっていた ただの朝のできごと
夕方からは風が吹き始める 雨の予感をはらんで
あのとき わたしは誰だったのだろう 何度でもわたしだったと感じたのに
もう風は止んで もうすぐ夢を見る
たくさんいらなかった ただ、ひとつ そのことばでよかった
だから、あなたと一緒だった
髪をいじる癖は昔からだった 指の間に梳き 指に絡ませ 時には編んでみる
自分の中に沈んでしまうときに
光は ずっと遠くからやってくる 木々と家々の間を まっすぐに
熱は眩しさにかわってしまった こんな一日の終わりに
今日、木々は真っ直ぐ立っていた 青い空の下で 風は葉をもぎ取ってゆく
薄い光の集まりのように 月は青い空の真ん中に 溶けてしまう
刈り取られてしまった ひまわり畑
わたしも 何もかも剥ぎ取られてしまったようだ
わたしには溢れている あなたたちから分けてもらったものが
何を不安に思うのだろうか こんなにも満ち溢れているのに
わたしは どうやって返したらいいのだろうか
あぁ、一緒に溢れてしまおう
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