恋文
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わたしを失う わたしの陰に わたしを探す わたしが隠れる
今日、分かれた人は手を振った
わたしは手を振りながら 悲しかった
これが、わたしの恋文
自分の匂いに驚く これはわたしのではなかった
少し官能的なこの匂いは わたしのパートナーのものだった
いつかわたしも 同じ匂いをまとっていたのか
また波のようなリズムが聞こえる 竹の鳴り響く音が 街角で演奏している
聞きながら遠ざかる 背には音を
そうして緑のざわめきを 目にしているようだ
静かに過ぎる一日 なにも変わらない
まだ明るい夕方の陽射しの中を歩く カフェのテーブルではビールを飲んでいる人たちがいて 街頭ではシロフォンを弾いている人がいて 通りには人々がめいめいに自分のことをしている
わたしは、その中の一人だろうか
いくらせつなくても わたしはなにもいえないよ そのひとはひとりで立っているのだから
雨のなかに森は立っている 緑に淀んだ水辺に 白く立ち枯れた幹は 骨のように
思いを掛ける以前に 列車は通りすぎてしまう
背後に遠ざかるその場所に その僅かな間に わたしを置き去りにしてしまった
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