恋文
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この香りを身につけるたびに 思い出す
あなたに会いに行った時に この香りを纏っていた 口紅も薄くひいて
もう遅い春だったね
おでこにキスしてくれたの 覚えてる
また今日も 綿毛はトラムに入ってくる
手に受けようとしても しなやかに身を移し
いつか また別の窓から 出ていってしまった
いつのまにか傷ついていても それに気付かなかったら それは傷ではないのだろうか
あるいは、知っていて 気付かないふりをしている
こんなに傷ついているのに
わたしはどこにいるのかしら どこかに忘れられているのかな
今このわたし自身が 置き去りにされているようだ
ここにいるわたしは いったい誰なのかしら
髪を洗っているとき わたしは少しずれてゆく
今は、いつもの自分ではない ただの露なわたしが髪を洗っている
ざんざんと 髪に流れる 流れ落ちてゆく水の流れ
手に感じる髪の重さに なることのできなかったわたしを思う
こんな場所に眠れたらいいな 聞こえるのは
波の音 海鳥の声 風に鳴る草の擦れあい
好きな人たちだけで 一緒にいれたらいいな
わかってもらえること わかろうとしてくれること それに救われている
では、わたしは わかろうとしようではないか
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