恋文
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連翹が眩しいほどに咲いている 草地には小さな花々がさまざまに彩る
もう春 ここでも、あの頃と変らないように
失わないように いつも変らないものは ずっと心の奥底に秘められているのだから
なんでもないのに涙が流れる
大きな大きな空があって 風がふるえる 誰かを呼ぶように
どこかで失われてゆく そんなことを 思うと
ひんやりとした夜の空気 暗い空を飛行機の灯りがよぎってゆく
星の位置も違うここで あのときと同じ空を見ることはないのだけれど 風が思い出させてくれた あの夜の空
そして あなたの体温も
身体を重くしてみよう 地面に吸い込まれるように 自分の中のなにもかもが 落ちていってしまうように
なにも無くなって 空っぽのわたしが ふんわりと浮かぶように
連翹のような黄色い花が 咲き始めている 桜だろうか 薄桃色の花も咲き始めている
こんなに遠くにいるのに 同じような景色が見れるなんて
今晩は満月 うさぎのかたちは違うけれど
心ひとつで変れるなら 何を思い煩うことがあろうか
芽吹く 風が過ぎる 露に湿った若草の合間から するすると伸びた枝のそこここから
もう、あの季節なんだ あの頃、わたしはあなたを求めて乾いてた
いまは、あなただけではない そのときわたしのものであった、すべてのことに乾いている
その季節なんだ あなたが好きだった それから、わたしに関わるみんなが好きだった
みんなみんな 好きだった
みんなみんな わたしを好きだったよね
夜が、染み込んでくる 身体の中に このまま、ずっと眠ってしまおうか
いえ、眠りたくないの みんなみんな 失いたくないの
まだ、ずっと みんなみんな 大好きだから
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