恋文
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あぁ わたしはどこに漂っているのだろう ふわり 一人でいる この不思議に明るい水底
もう、聞こえないよ あなたの声
このまま、ずっと 暖かくて明るい ここにいて 目を閉じていようか
あのときの春は わたしは、ただの一人の少女でありたかった そうではないわたしが うらめしかった
いまの春も まだ、わたしは少女でありたい かなえられるべくもない ただ、こころもちとして
春、春 その響きの中に 今年は、ミモザの黄色い ちいいさなふわふわ
それが欲しかった
振り返っても 誰もいなかった
呼びかける声が聞こえたような気がした
街路には色とりどりの紙吹雪が そこや、ここに 散っている
ミモザやバラを抱えた人々が それぞれに家路につく
まだ、町には名残の喧騒が続いている
ただただ この異国の町のなかで わたしは誰かに呼び止めてもらいたかった やぁ、元気かい? と
まだ風の冷たい朝 通りを横切って駅に向かう
まだ見慣れない風景 今ここにいることが不思議に思える
もうすでに あなたと話しながら通った道は 記憶の中にしかない
また少し寒くなった 窓の外には 煙るような雨の中 木の枝には芽吹きかけた葉が揺らいでいる
あなたとは違った時間だけれど でも、春は近づいている
雨音のようなパタパタと叩く音を聞きながら 暗闇の中で横たわってる 最初の夜が過ぎて行く
ここでは違った時間が流れる この今の時間に合わせてゆく 身体が沈むような感覚だけれど
また、戻ってくる
永遠に同じことなんてない ただ毎日、明日を考えて生きていく 今日の不在は、明日の発見かもしれない 今日の悲しみも、いつまでも留まらないだろう
同じことはない いつも、自分が生きて行けるように 意味づけされて行く
同じではないけれど 思う気持ちは連続する
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