恋文
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こんなに沢山の人の群れの中で わたしのことなんて 誰もしらない
わたしもこの沢山のひとたちのことを 誰もしらない
だからこんな人ごみの中で わたしは一人になれる
あなたとわたしの関係という質量が 少し変化するだろう その時になにができるのだろうか
悲しみでなければいい それはとても大きなエネルギーだから きっと質量そのものが みんな悲しみになってしまうだろう
だから とても小さな希望で あなたとわたしを繋ぎとめておきたい
寒い朝 霜柱を横目に 自然と足が速くなる
もうあと何度この道をたどるのか なんだか景色が違って見える
きっと、夢にみたりするのかしら
その日に向って なにもかもが進んでいくように わたしは準備をしている
いつまでも その日を空白にしておくわけにはいかないので 今日 わたしはその日を決めた ここを去る日を
時は過ぎる みんな進む
凍った道を歩く かじかんだ手で握る携帯電話から あなたの声を聞くことも もうなくなるのだろう
まだ残った いくばくかの時間は 几帳面に過ぎてゆく
感傷的になることはない また別の時が きっと流れ始めるだろう
その時には あなたの声も また、響くだろうから
久しぶりの声。 少しは長く話せたのかしら。 もうすぐ、聞けなくなる。
きっと、 わたしのなかに響きつづけるだろう。
このいまの場所や、 あの、いく時かの情景の中で。
あのとき この場所にいた 同じ景色を通り過ぎる
思い出だけがここにあって あなたは、いない あの時と同じように灰色の空の下で
でも、暖かい思い出なのよ
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