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家族の前のわたし。 職場のわたし。 そして、あなたの前のわたし。 みんな違っている。 あなたの前のわたしは、一番弱くて傷つきやすい。 なのに、わたしはあなたの前にいたい。 あなたから優しく言葉をかけてもらえること。 そのことが、わたしの喜びだから。
霧のような雨のなかを歩いて帰る。 ときおり車のヘッドライトに照らされてきらめく雨。 傘をさしていても、しずくのように漂う雨はわたしの腕を濡らす。 少し肌寒いこんな日は、あなたの暖かさが懐かしい。
わたしたち、冬に初めて出会った。 そのことを思い出している。
今日は会社の人とお酒を飲みにいく。 以前あなたと行ったのときに、あなたが飲んだカクテル。 カシスのはいった赤いお酒。 なんという名前だったのか忘れてしまったけど。 そういうのを頼んでみようかな。
会社のつきあいの最中だけど。 こっそりと、あなたを思い出すために。
あなたの声を聞くだけで安心する。 また、いつもの通りのわたしにもどる。 なにが不安だったのか。 それはわたしの心の弱さが招いたもの。 ときどき、わたしは自分をもてあます。 そんなとき、わたしはもっと強くありたい。
りんごの皮を剥く。 くるくるきれいに剥け落ちていく。
わたしの心は、こんな風にはきれいに解けてくれない。
りんごの端に茶色く色が変わったところがある。 それを切り取る。
わたしの病んだ心は、そんな風には無くすことはできない。
なんでもないことに動揺するわたしは、わたしじゃない。 あなただけが、わたしをわたしにしてくれる。
今日も声を聞けない。 しかたがないことだけど。 昨日は、メールありがとう。 お返事ができないのも、しかたがないこと。 でも、あなたが気遣ってくれるのが嬉しい。 あなたは、そこにいる。わたしの手の触れられないところだけど。 あなたを感じながら待っている。 明日を。
だいすき。
いつもの朝のように丘を越えて駅へと歩く。 今朝は一人で、無言で。 丘の上から霞んで見える遠くのビルの群れ。 あなたは、それよりも遠くにいる。 今朝は、いつもよりも遠いような気がする。
なにかの都合であなたから呼びかけられるかもしれない。 淡い期待を抱いて、わたしはいつものように歩く。
昨日の気持ちを思い出そう。 次にほんとうのあなたの声を聞けるまで、待ってる。 わたしのなかのあなたと一緒に。
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