恋文
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すれ違うこともある。 それを気に病むことはないはずなのに、気持ちが沈む。 理性では判っていることなのに。 気持ちは、それを判ろうとはしない。
ちぐはぐな、わたし。 自分のなかで、ばらばらになってしまう。
あなたとお話ができたら、また、わたしに戻れるのに。
数え切れないほど、繰り返して思いだす。 あの時のこと。
次に会うときの約束をして、わたしが言った。 まるで、恋人に会うみたいね、と。
あなたは、それに応えてくれた。 そうじゃないの?と。
それで、わたしは、そのまま恋に落ちた。 いまの気持ちで良かったんだ。 あなたは、そのまま迎えてくれたんだ、と。
いまも。
娘と言い争いをした。 投げつけた言葉が、自分に帰ってくる。 こんなはずではなかったのに。 わたしは、ひとり台所で食器を洗いながら、まだ、たじろいでいる。 この争いを思い返して。
これを、なぜあなたに伝えたいのか。 わたしは、きっと、今の娘と同じなのかもしれない、あなたに対して。 そんなにも、頼っているのかもしれない、わたしの気持ち。 あなたの重荷になるつもりは、ないのよ。
雲の間から光が射している、今日の夕暮れ。 雲の形が、動物のようになって光っている。 これを、わたしは娘に見せてあげたいと思った。
このことが、わたしを戸惑わせる。 なぜ、最初にあなたではなかったのか。
もう一度、雲を見つめながら、暗くなってゆく空を片隅において、あなたの思い出に溺れて行く。
あなたの声をきく。 いつものことのように。 そうでないときは、記憶のなかのあなたの声を聞く。 血のようにわたしの体内を巡るあなたの声。 いつものように。
日の射す道を歩きながら、車や人の喧騒の中で、あなたの声だけを聞き取ろうとする。わたしの周りには、わたしの世界しかない。
いつものように。
いつも、あなたはわたしのことを気遣ってくれている。 そのことは幸せなのだけれど。 わたしは、あなたに何をしてあげられるのだろう。 何をできたのだろう。 あなたのために。
小さな殻の中のわたしとは、決別したい。 あなたと歩むために。
花いっぱいの野原がある。 こんな春の暖かい午後は、野原で遊んでいたい。
花冠、首飾り、いろんな花の花束を作ろう。 みんな、あなたにあげる。 あなたは、あなたで、沢山の花を集めている。 きっと、わたしにくれるのよね。
そんなふうに、手をつないで歩いたり、草むらにふたり座りこんだりして、遊んでいたい。
まるで、少女のように、ふたり。
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