恋文
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今日も一日が終りにさしかかる。 あなたに会える時までの時間が、すこし縮まる。 あなたに会えたら、わたしはどんな表情をするのかしら。 泣く?それとも、笑う? やっぱり、花が開くような笑顔がいいな。 あなたも、そう思うでしょう? あなたも笑顔でわたしを迎えてね。
あなたと繋がっていること。 あなたとお話ができること。 あなたを想っていられること。 そんなことたちが、わたしに勇気をくれる。 あなたを好きになってよかった。 あなたを好きにならなかったら、わたしは自分の心がもっと判らなかったかもしれない。 こうして毎日、あなたに宛てた手紙を書くことで、わたしは安心していられるのです。 ありがとう、あなた。
娘のお弁当を作って、家族の朝食を作る。 娘を送り出すまでに洗い物を片付ける。 今朝の、わたしです。 食事の世話をするのは好きなの。 料理を、おいしいと言って食べたくれたら嬉しいな。
あなたにも、食べてもらいたいのよ。わたしの手料理。 もしも実現したら、おいしいと、言ってくれるかな? きっと、いつか、そんなことができればいいな。
莢から出すときに、思いがけなくも、どきりとする。 まるで胎児のようにまあるく眠っている、ふかふかした莢の中の褥で。 それを割って取り出すという、むごい仕打ち。 なにかしら罪悪感をもちながら、豆を取り出していく。 それが、今日のわたしの姿。
そんなふうに後ろめたいところがある、あなたへの恋心。 空豆がわたしの家族の糧となるように、あなたへの気持ちも、わたしたちの絆の糧になって欲しい。
街を歩いていると、いまは色とりどりの花がどこの家にも咲いている。 石楠花の咲いている家があったの。 きれいなピンク色の花。あなたと一緒に見たかった。
そうして、わたしの歩みを一瞬止めた濃密な匂い。 ジャスミンがいっぱい咲いていた。 時間さえ、ゆっくりとおしとどめるような、その香り。 こんな匂いの中で、あなたと肩を寄せ合って、時間を忘れてしまいたい。
こんな気持ちが、いつもいつも、分かち合えていると信じている。 こんなに離れていても。
金魚が死んだ。 最後まで残っていた一匹。随分大きくなってたのに。 娘は、いつもなんにもしない。死んでしまった魚に。 わたしが、いつも埋葬する。
まるで、わたしたちの恋の最後のような気がした。 こうして、寂しく終るのかしら。
いいえ、と言って..ね
いま、列車に中に一人座っている。何度も繰り返した出張から帰るいつもの道のり。 夜の街々をいくつも通りすぎて行く。 そんな孤独な旅ごとに思う、あなたと一緒だったらいいのに、と。
もし、いま、この間にもあなたが隣にいてくれたなら。 あのときのように、お互いに手を固く結びながら、この長い時間を分け合えただろうに。 あの短かった、旅とも言えないような時間。 でも、わたしには、とても大きな旅だった、あの時間。 あの幸せは、忘れない。
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