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沙夜



 Enpitu Form Mail

夜、彼との電話を切ってから気がついた。


1年前の今日(9月5日)、彼から最初のメールが届いた日だ…って。


あの頃の私は寂しくて。
切ない想いを、この日記を書くことで慰めていた。


あれから、もう1年経った。
いや、まだ1年、か。


彼とのPCメールのやりとりは、会うまでの短い期間だけで、今は全く無い。


日に何度も電話と携帯メールをしているから、
必要ないっちゃないんだけど。


時々、彼のメールを読み返してみる。
そしてひとり、にやにやしたり、ため息をつく。


まだ始まっていない私達だったから、
何かを失うことを恐れず綴られた彼の言葉は、
今の私には少し残酷だ。


今はもう、知ることが出来ない真実が
過去のメールから垣間見える。


「たまには電話をやめて、メールにしない?」


そんな提案をしてみても、笑って却下されてしまう。



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それも却下?



2003年09月05日(金)



 ヤマト派 と ハイジ派

ある夜の電話で、子供の頃見たアニメの話になった。
「宇宙戦艦ヤマト」が好きだった言う彼。


ヤマトってどんなストーリー?
どうして、宇宙の彼方イスカンダルに旅立ったの?



と、質問してみたところ。


ガミラス星人が放った放射能ミサイルによってね・・・
・・・で、イスカンダル星のサーシャが・・・それで・・・
あーで、こーで・・・



いやー、もー、語る語る。
普段は口数少なめな彼が、それはそれは楽しそーに、生き生きと。
(びっくり)
あっという間に30分経ち、更にはガンダムとか、銀河なんちゃらとかに
及び、話は尽きない様子。


やっぱり男の子は、そういうのが好きなんだね。
私は、ハイジが好きだったなー。
ね、知ってる? ハイジ。



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思わず大爆笑。真夜中なのに。


いや、それ違うアニメだから。
ハイジを殺しちゃダメー。



違った?
じゃ、母をさがす旅とかするんだっけ?



どうやら彼の頭の中では、カルピス劇場がごっちゃになっているらしい。
ハイジって、老若男女関係なく誰もが知ってると思ってたのに。
だから今度は私が、ハイジのストーリーを教えてあげた。


彼は、ふーんとか、へーとか聞いてたけど、かなり眠そうだったから
ほとんど覚えてないだろうな。



2003年09月06日(土)



 hちゃんと。1年前、暑かったシーでのワンショット。

久しぶりに、hちゃんに会った。
昨年の夏、Hくんに会いに行く時に一緒だった友達。


「Hくんから、ずっと連絡なかったんだけど。
 4月だったかな、7ヶ月ぶりにメールが来たんだよね。
 彼女が出来たって報告があって。
 それからは相談に乗ったり…。
 最近はのろけられっぱなし。
 
 ……Hくんね、今度結婚するんだよ」


私の話を聞きながら、hちゃんは思い出したように言った。

「シーで撮った写真が出てきたの。 
 沙夜ちゃんとHくんが一緒に写ってるのがあったけど、
 どうしようかなーと思って…」

「あはは。そういえば撮ったっけね」


“そういえば”なんて、まるで忘れていたようなことを言ったけど
実はしっかり憶えていた。


たった1枚だけ撮った、Hくんとのツーショット。


あの時。
ファインダーをのぞきながら、hちゃんが
「ほらほら、もっとくっついて!」って声をかけてくれたけど
Hくんと私の間にあった、50cmの距離が縮まることはなかった。


「でね。結局、沙夜ちゃんのだけ、持ってきたの」


手渡された、私ひとりの写真。


一瞬。
うだるように暑かった、1年前のあの夏の日が甦った。


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と、即答した。



2003年09月10日(水)



 思い出だから

hちゃん、他人のツーショット写真なんていらないだろうし。
かといって、いらないから捨てといてーっていうのもなんだかね…。

などと、(写真を)ちょうだいと言った後で、なんだか言い訳じみたことを
考えている自分がいた。


ぶっちゃけ、そりゃ見てみたい。
50cmも離れたツーショットだけど。
それもかなり引きだったから、
お互いの表情だってよく分かんないだろうけど。


Hくんに未練があるとか、そういうんじゃない。
思い出だから。
そう、ただの思い出。


今は。
Hくんに対して、センチな感情なんてこれっぽっちもない。
自分でも驚くほどに。


と、思っていたんだけど。


ここんとこ、Hくんからのメールを読んだ後に、どんよりしてしまう。
幸せなメールに、返事が出来ないでいる。


その理由は……。


+++

今夜は、彼からメール&電話がなかった。
風邪薬の所為でぐっすりかな。


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そして、コール。


2003年09月11日(木)



 噂をすれば、なんとやら。ご本人登場。

Hくんから、久しぶりに電話があった。
私のことを心配して電話したって言う。


「うそぉ。のろけたいだけじゃないの?」

「いやいや。今日は違いますって」

「Hくんののろけメールにレスするの、ここんとこちょっと
 辛いんだよねー」

「へへへ、すんませんね」

「前はともかく、今はのろけられる人が五万といるでしょ。
 なにも私じゃなくたっていいんじゃない?」

「そうなんだけどね。でも沙夜に話すのが一番嬉しいっていうか」

「えー、なにそれ。 なんか複雑〜」

「男のボキャブラリーでもって、同性には話しづらい話が
 沙夜には話せるんだよね」


(同性には話しづらい話って……
 それは下ネタ系の悩み相談とか?)


で結局、なんだかんだと(たっぷり)のろけを聞くことになり。
合間に(ちょっと)私の話も聞いてくれて。


そんなだったけど。
Hくん、優しいなって思った。
前はこんなに優しかったかな?


Hくんにも辛い時期があり、そういう時期を乗り越え
今は幸せで満たされている。
だから優しくなれるんだろう。


あと、私を振った責任みたいなものも、若干感じているのかも。
以前「沙夜が幸せになるのを、見届けなくちゃいけない」と言ってたし。


「ありがとう。話を聞いてもらって、少し楽になった」

「それは良かった。また何かあれば聞くよ」

「結婚しちゃったら電話なんて出来なくなるでしょ」

「電話はねー。でも、彼女はチェックとかするタイプじゃないし
 メールならいいよ」


えええええ。
それはどうだかなー。






2003年09月12日(金)



 もう傷付きたくない

もう傷付きたくない。
人の顔色を伺ってビクビクするのは嫌だ。


だから彼に対して心を閉ざし、甘えるのをやめた。
すると傷付かないかわりに、気持ちはどんどん冷めていくのだった。


表面的にはそれほど変わらなかっただろう。
ただ、Hくんのメールを読む度に、幸せなそうな二人が羨ましくなり
そのうちメールの返事が書けなくなってしまった。










彼に問われて、ひとつ話してしまうと、それまで言えずにいたことが
堰を切ったように次から次へと溢れ出した。


彼は「話してくれてありがとう」と言った。
私はすっきりするどころか、ひどい自己嫌悪に陥り、話したことを後悔した。


「ごめんなさい」


泣きながら、やっとの思いでそれだけ言うと
私は電話を切った。



2003年09月13日(土)



 黙っているのは、聴こえないからじゃない。

もしもし? 聴こえてる?

……聴こえてるよ。


そしてまた沈黙。


もしもし?

うん。聴こえてる。

黙ってるからさー。


黙っているのは、聴こえないからじゃない。
言葉が出てこないからだ。
彼はそのことに気がついているのか、いないのか。


重い空気に耐え切れず、早々に電話を終わらせた。



それからしばらくして布団に入った途端、
(私ったら、なんてヒドイ態度をとってしまったんだろう)と
自分のしたことが悔やまれて、慌てて彼の携帯にメールした。


『さっきは、態度最悪でごめんなさい』


返事はすぐに来た。


『ううん、大丈夫だよ〜』


本当は全然大丈夫じゃないのかもしれないけど…。良かった。
いつまでもぐじぐじしてないで、明るくいかなくては。
このままじゃ、ホントに彼に嫌われちゃうよー。


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2003年09月14日(日)
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