in love with...
沙夜



 無口な 旅の終わり

旅の終わりには、あの“恐怖の振り子電車”が待ち受けていた。


彼が「バスで帰る方法もあるよ?」と言ってくれて、私もかなり迷ったが
結局は“昼食抜き&爆睡で電車酔いを逃れる作戦”を決行。
それは成功した。


どうする?
駅に着いたら、そのまま帰る?


うーん…、そうだね。
帰ろうかな。


……そっか。


もう少し一緒にいたかった。
でも、そこから更に長い時間をかけて帰ってゆく彼の事を考えれば
その時そんなわがままを口に出来る筈もない。


感情を押さえ込み、私は無口になる。
無口で、不機嫌になる。


そして彼をホームで見送ることもせず、素っ気無い態度で「じゃあね」と
別れてしまった。


本当は……、見送りたかったのに。
しなかったのは、笑顔で見送る自信がなかったから。
大泣きしちゃいそうだったから。

私、いつも、わがままでごめん。




夢が叶ったのは、あなたのおかげ。
一生、忘れないからね。


ありがとう。



+++

帰宅して、PCのメールチェックした。

もう開くことがないと思っていたフォルダに、1通のメールが落ちる。


↑エンピツ投票ボタン

My追加




2003年04月17日(木)



 「おひさしぶり」

メールの差出人は・・・Hくんだった。


Hくんと最後に逢った日から、どれくらい経ったろう。
指折り数え、7ヶ月近くになることを知る。


どうして今頃?
いや、7ヶ月過ぎた今だから?


しばらく彼の名前をぼんやり見つめ
それから、ゆっくりした動作でメールを開いた。



「おひさしぶり。

 電話してもいい?」


と、だけ書かれた短いメール。



そういえば……
明け方近くの空に浮かんだ、2つの星座を見た時
私の頭に瞬間、Hくんのことがよぎった。


なぜなら、Hくんはさそり座で
頬に北斗七星のカタチのホクロがあったから。


波瀾含みの旅は終わったと思ったのに
最後に待っていたのがこれなの?


はぁ〜っと、ため息が出た。


Hくんの話ってなんだろう?
彼がこのことを知ったら?
私はどうしたいの?


↑エンピツ投票ボタン

My追加



2003年04月18日(金)



 和解?

「おひさしぶりでございます」


電話での会話は、Hくんの堅苦しい挨拶から始まった。
7ヶ月振りに聴くHくんの声。
やや緊張しているように感じる。


私は、いつかこの日が来ると分かっていたんじゃないか
と思えるくらいに、落ち着いていた。
(こんなに早いとは思ってなかったけど)


人は時折、古い引き出しを開け、色褪せた想い出を引っ張りだし
過去の感傷に浸りたくなるもの。
そして気紛れに「元気?」とメールする。


でも、今回Hくんが私にメールした理由は
過去の感傷でも気紛れでもなかったようだ。


「彼女が…、出来たんだ」

「あ〜。F子さんでしょう?」

「えっ!どうして分ったの?」

「そりゃあ分かりますよ。掲示板でのお二人のやりとり見てたら」

「そうかぁ。知らぬは当人ばかりなりってやつかぁ」

「ふふ、そうよ」


前から、F子さんのことは知っていた。
昨年の秋くらいから、二人で逢ったりしていることも。
私は、とっくに付き合っているのだと思っていたけれど
正式に恋人関係になったのは、ごく最近らしかった。


「沙夜のこと、ずっと気になっていたんだよ。
 メールや電話だけの友達になるか、それともすっぱり
 連絡を取り合うのを辞めるのか。どちらにするにしても
 話し合わなきゃって」

「そんな風に思ってたの?
 私、放置のままのフェイドアウトかなって。
 何ヶ月も音沙汰なしだったでしょう。 
 Hくんにはもう徹底的に嫌われちゃったとばかり」

「いやいやそんなことないですよ。
 沙夜は、僕がどんな気持ちでもいいから付き合いたいと
 言ってくれてたけど、僕としてはずるずると曖昧な関係を
 続けるのはイヤだったんだ。
 こんなんじゃこの先、ちゃんと彼女も出来ないなって思ったし」


ここで私は
(だったら、私を彼女にしてくれれば良かったのに)
という言葉を飲み込む。

でも仕方ないよね。
だってHくん、彼女にする程私のこと、好きじゃなかったんだものね。


「あのね、私にも彼がいるの」

「えーっ、そうなのー?
 なんだ〜、だったら早く教えてくれれば良かったのにー。
 僕は沙夜が思ってる以上に、深刻に悩んでいたんだからー」

「だって…彼が出来たなんて、私から言える状況じゃなかったもの。
 今だから笑って話が出来るけど、一時期はとても辛かったのよ。
 Hくんの誕生日にプレゼントを送って、それで何のリアクションもなかったら
 完全に諦めようって決めて…。
 その後、一生懸命気持ちを切り替えたの」

「うーん。そうだよねぇ。すみませんねぇ」


そうだよねぇって…本当に分かっているの?
でもなぜかしら、憎めないHくんのキャラ。


「今は大丈夫よ。
 ある意味、彼と出逢えたのは、Hくんが私を振ってくれたおかげだし。
 感謝しなくちゃいけないかもね」

「いや〜、そんな風に言ってくれると肩の荷が下りますよ」


↑エンピツ投票ボタン

My追加


2003年04月19日(土)



 捌け口

Hくんと電話したのは13日深夜のこと。
かれこれ2週間経つが、あれから何かっていうと
ちょこちょこ連絡(というか、報告)がある。


Hくんは変わった。180度 変わってしまった。
“恋する男”じゃなく、“恋する乙女”のように。


「男がちまちま携帯メールなんかやってられないよ」と言ってたHくんが
日に2〜30通、彼女とやりとりをしてるらしい。
(ついでに、私にも惚気メールを送ってくる)


そして、


「彼女は僕の運命の人」
「彼女のことは絶対に離したくない」
「彼女の為なら何でも出来る。彼女の為なら死ねる」
「彼女とだったら結婚したいと(ひとり密かに)思っている」
「彼女が僕のことを、本当に好きなのかどうか分からなくて不安」
「逢いたいよー」「寂しいよー」


と、切々と訴えるのだ。


この私に。


(なんか言う相手、間違ってない?)


つい、「あのね、私、Hくんに振られた人なんですけど」と嫌味のひとつでも
言いたくなる。


「すみませんね〜。こんなこと他に話せる人いないんだよ〜」
「沙夜に聞いてもらって、ホント救われたよ〜」


そんな風に言われると私も弱い。


だけど、この2週間。
Hくんの胸のうちを色々聞いてあげて、よーく分かった。


いかにHくんがF子さんにメロメロかということ。
いかにF子さんが魅力的な女性であるかということ。


そして昔も今も
Hくんにとって私は、何かしらの“捌け口”でしかないこと。


Hくん。
私は、嬉しかったよ。
Hくんが、この7ヶ月間、少しでも私のことを気にしてくれてたこと。
このままフェイドアウトすることも出来たのに、連絡くれたこと。


この7ヶ月の間に、Hくんに対する恋愛感情は無くなったけど
今でも嫌いじゃないよ。
何故かしら憎めないんだよね。


Hくんには幸せになってもらいたいな。
いや、強運の持ち主の君のことだから、きっと幸せになるだろうね。


Hくんが、大好きだったバイクをほったらかしにしてしまう程
心から愛する女性と出逢えたんだものね。良かった。本当に良かった。


ずっと仲良くね。
応援してるから。


↑エンピツ投票ボタン

My追加



2003年04月28日(月)



 my dear

 Dear, ○○っち


Hくんのことで、やきもきさせてごめんね。

彼とは、友達になるべくして出逢ったんだと思うの。

色々あって遠回りしたけど、でもようやく本来の関係になれた気がする。

全てはあなたのおかげ。あなたが私のそばにいてくれたからだよ。



自分に自信が無いばっかりに、

時々小さなことに腹を立てたり、落ち込んでしまう私を許してね。

あなたはいつも前だけを向いているのに、

私は後ろを振り向いたり、先が見えなくて立ち止まってばかりいる。



強がっているけど、本当は不安で、寂しくて、怖くてたまらないの。

どうか、私の手を離さないでいて。




大好きよ。

誰よりも。

ずっと。ずっと。



2003年05月19日(月)



 さよなら...ML

今日、参加していたML(メーリングリスト)から退会した。
退会の手続きをしながら、MLと自分の関係を、ふと恋愛に置き換えてみたりした。


(MLとは)もうとっくに冷めきった関係だったのに、
今日まで切ることが出来なかったのは何故だろう。
辞めよう辞めようと思いながら、いつも最後のところで
決心が着かなかったのは何故だろう。


今から2年前。
メル友の女性に誘われて、そこへ入会した。
私はのめり込むように、毎日メールを書きまくった。
現実社会の繋がりとは違う、しがらみのないMLの人間関係の心地良さに
どっぷりと浸った。


そこで沢山の人と出逢い、オフ会に参加し、親しい友人も出来た。
そして、恋もした。



でも楽しい日々は、そう長くは続かなかった。
半年後、恋の終わりと共に、MLに対する情熱もトーンダウンした。
何かとトラブルが多かったし、MLの裏側のドロドロした部分にも
嫌気がさしてしまった。
憑き物が落ちたように、興味が失せてしまった。


こりゃ潮時かな……。


でも、いざとなると別れられないのだった。
MLと私は、ズルズルとした関係に突入した。




月日が流れ、賑わっていたMLも、少しずつ閑散としてきた。
メンバーのほとんどが、退会はしてないが、ロムっている状態になった。


どうして?
あんなに楽しかったのに。
あんなに盛り上がっていたじゃない?

もうダメ、なんだね…。


それでもまだ、未練がましく細々と繋がってた。
忘れられない想い出と、僅かな期待を胸に。


こんなふうに変わってしまったのは、何が原因なんだろう。
情熱は、いつかは冷めてしまうもの?


どっちにしても、もうあの楽しい日々は戻ってこない。



+++

昨夜。彼との電話にて。


別れの時って、どちらかというと、男はフェイドアウトを望み
女は白黒はっきりつけたがるよね。


うん、そういう傾向はあるかもね。

女は、はっきりしない状況って辛くなっちゃうの。だから、
『もう別れる!』って答えを出して、楽になりたいって思っちゃう。
でもまだ本当は好きだから、暫くすると
『やっぱり寂しい。やっぱり別れられない』ってなっちゃう。
そんなことの繰り返し……。


でもよく、男の方が未練たらしいっていうけど。

女って、気持ちが冷めて決断した場合は潔いんだけど。
まだ気持ちがある場合は、なかなか断ち切れない。

男の人は『好きだけど、はっきりしないのが辛いから別れよう』とかって、
あまり言わないじゃない。
別れを口にするのは、気持ちが冷めた時か、本当にダメだーって時なんじゃない?


う〜ん…、そう、かな? かも(笑)


+++

この所、あちらこちらで垣間見る、別れの情景や女性達の切ない心情に、
自分の中にあるマイナスな部分を映し出して、私は少し苛立っていた。


なんでそんなに弱いの?
なんでもっと素直にならないの?
(女性達に。そして自分にも。)


で、今朝になって、ふとMLのことが頭をよぎって。
私もそろそろというか、いい加減、ズルズル続いてた(MLとの)関係を
清算しよう…と思い立った次第。


たかがMLなのに。
縁を切るのに、こんなにも月日がかかってしまったなんて。



+++

Dear, 彼サマ

というわけで。
9月の全国オフ(本当にやるかどうかも分からないけど)は行かないことに
なりました♪

(MLよりも、あっちの縁を切らなきゃいけないでしょ?とか言われそう…)



↑エンピツ投票ボタン

My追加

あんなに好きだったのになぁ。


2003年06月23日(月)



 3度目。3ヶ月ぶりの旅行へ。

4月の旅行から、ちょうど3ヶ月後の今日。
彼と3度目の旅行。
前回の目的は満天の星空だったけど、今回は神戸の夜景。


夜景がキレイに見えるホテルにお泊まりしたい、とか
神戸牛が食べたい、ハイジのケーキが食べたい、お好み焼きが食べたい
あ、老祥記の豚まんもね、なんて言ってたら
「食べたいものばかりだね」と彼に笑われた。


なにしろ神戸へは、震災後、訪れていない。
叶えたい欲求(主に食欲)を言い出せばキリがないけれど。

でも、あくまでもメインは、夜景。

もしも雨が降って、ぼんやりだったとしても、
再びあの夜景を目にすることが出来たなら……。




悪天候が予想される中、朝9時、彼の運転する車で出発した。
ナビを見ると、到着予定が11時半になっている。


11時半に、どこに着くの?

お昼を食べる所だよ。
ゴール地点は、霊園なんだけどね。


前回は農業センターで、今回は霊園ですか(笑)
すごいトコでランチなのね。


ははははは。


彼のことだから、訊いても教えてくれないだろうし。
お任せ。お任せ。


田園風景をひた走る。
車一台通るのがやっとの、山道をぐるぐる上がって。


本当にこんなトコロに、お店なんてあるの!?と訝ってしまう。


着いたみたいだよ。

・・・・・・。



↑エンピツ投票ボタン

My追加




2003年07月12日(土)
初日 最新 目次 MAIL

※my登録を「告知しない」に変更しました※