2007年5月12日(土) 不幸 GOES ON。
タイ旅行で7万円を落としちゃったオレですが、
そこからがまた大変ですよ。不幸の数珠つなぎ。

先週、金もないくせに突如思い立って携帯を機種変更したのな。
今の機種を使い始めてからすでに2年以上が経ってるし、
ソフトバンクの場合、月々たった680円で機種変更出来るようで。
だったら、と迷わず新機種に選んだのがNOKIAの705NK
賢明なオレ日記読者のみなさんなら、過去の幾多の失敗に懲りず、
またもやブランドネームだけで選んだ、ということはお気づきでしょう。
そりゃやっぱ北欧デザイン好きとしてはNOKIAしかないっしょ。
ルックスもイカすしカールツァイスレンズだし320万画素だし。
が、その選択はまた幾多の失敗の仲間入りを果たすわけで・・・。
さすがは海外製、独自すぎる操作性で使いづれーのよ、これが。
それをもようやく習得し、さてメールを打とうかと思うと、
・・・この機種、辞書登録が出来ない !?
辞書登録ってのはアレね、「わらい」と打って変換すると「(笑)」になったり、
「なまえ」と打って変換すると「セザキヤスヒロ」になったり、
「おれい」と打って変換すると「その節はありがとうございました」になったり、
そうやって自分で変換辞書を作っていくやつですよ。
オレは今までこの機能を多用してたから、メールが打ちにくいことこの上ない。
しかし、それをも「でもかっこいいから」という理由で妥協していると、最大の問題が発覚。
・・・この機種、国産のアプリが起動しない !?
てことは、テトリスもズーキーパーも出来ない !?
バッキャロー! 携帯を持ち歩く理由の50%はテトリスのためでしょうがよ!
まさかと思ってマニュアルを熟読したりネットで調べたりしたものの、
やはり705NKは独自の言語で作られたアプリにしか対応していないようで。
ソフトバンクの公式携帯でそんなことってあるんだ・・・愕然。
だったらいらん!とヤフオクで新携帯(911T)を落札。2万円(泣)。
ま、705NKを売れば差額は数千円で済むだろうけど、精神的疲労は甚大・・・。

で、機種変更をしたその週の週末、
朝起きていつものようにパソコンの電源を入れ、
そろそろ本気で仕事をしないとヤバい、という切迫感から、
「今日は一日中仕事するぞ!」と珍しく仕事意欲にかられていると、
その数分後、フシューンと情けない音がしてパソコンの電源が落ちた。
なんだ?と電源を入れ直すも、今度は数秒でフシューン。
ギャ〜〜〜! パソコンが壊れた〜〜〜!
何もこんなタイミングで壊れなくてもよくね !? 神様ってどんだけ !?
あわててタクシーで専門店へ修理に持ち込むも、
修理以前に、壊れた原因の調査だけでも二、三日はかかるとのこと。
オレの仕事なんてパソコンがないと何も出来ないしさ、
そうなると後先考えず、新しいパソコンを買うという選択肢しか残されてないわけよ。
で、買いましたよ、ソフマップオリジナルパソコン、10万円。ギャー!(泣)
しかも買った機種名は「牛丼パソコン」の「特盛」・・・ダサさの限界点突破です。
そこにグラフィックボードやOSを足して10万円。借金はとうとう40万円に。
さらに、普段からカスタマイズしまくってるオレのパソコン。
その慣れ親しんだデスクトップに戻すため、要した期間は一週間。
もちろんその一週間は一切仕事も出来なかったわけで・・・。

ヤバいんです! 本当にヤバいんです!
今のオレ、5千円のために人の靴でも舐められる!

2007年4月29日(日) タイの雑誌でオタクデビュー。
しつこくタイ話で恐縮なんだけど、
今年の1月末に、秋葉原にあるメイドカフェの支店がバンコクにオープンしたらしくてね。
そりゃタイにはマンガ文化も根付いてるし、それなりの需要はあるかもだけど、
しかし色黒のタイ人がメイド服を着たら酷いことになるんじゃねぇかと。
場所を調べてみるとホテルから目と鼻の先。
どんな酷いことになってるか、そりゃ行ってみるしかないだろうとなったわけ。

が、行った時間が早すぎたのか、メイドさんはたった一人だけ。
入店するなり「オカエリナサイマセ、ゴ主人サマー」と言われ、一同ずっこける(笑)。
まさかタイ人の口からこの言葉が出ようとは世も末ですよ。
正直、かわいいとは言い難いフェイスでしたが、愛嬌でそれをカバー。
ちゃんと色白の子を雇ってて、メイド服もそれなりに似合ってる。
当初の期待は外れたけど、せっかく来たんだから楽しまねばと、
日本語の達者なそのメイドさんと軽くお喋りしたのね。
行ったことはないんだけど日本が大好きで、
日本のマンガやジャニーズ系アイドルが好きだそうで。
「関ジャニガ好キデス」ってんだからなかなかの日本通。
壁の貼り紙を見ると、メイドさんと黒ヒゲ危機一髪ゲームが出来るようで。
一回100バーツ(約350円)で、勝てばプレゼントがあるとのこと。
さっそく勝負を申し込み、数回刺し合ったところでオレの勝利。
「オメデトウゴザイマス」と胸に付けられたのがこのバッジ。いらねぇよ!(笑)

ちなみに、この店に来たら迷わずマンゴースムージーを注文すべし。
友達が頼んで「・・・ちょっと飲んでみて」と言うので一口飲ませてもらったら、
・・・生まれてはじめて味わうテイスト。こんな不味いもの、今まで飲んだことねぇ!(笑)
プラスチックを高熱で溶かすとこんな味がするんじゃなかろうか。殺人級の味でした。

そんなこんなで、メイドさんと話したり友達と談笑すること数十分。
オープン直後だったのか客はオレらだけだったんだけど、
気付けば奥の席に一人のタイ人の女の人がいるのね。
年の頃は23〜25歳くらいで、タイでは珍しくスタイリッシュなファッション。
中国系の血が入ってるのか、タイ人っぽくない、むしろ日本人に近い色白美人。
その上、「デキる女」のようなインテリっぽさも兼ね備えてて。
ちょっと違うけど、黒谷友香を若くしたようなルックスをご想像いただきたい。
「あんな人でもメイドカフェに来るのか? しかも一人で?」とこっちじゃ侃々諤々よ。
すると、その人の向かいに店長さんらしき人が座ったのね。
で、机に紙を置いて何やら話してるから、「もしかして面接か !?」と。
「あんな人がメイド !? まさか! ・・・でもその意外性、アリ!」なんてバカ話に花を咲かせてると、
おもむろにその美人さんが立ち上がり、なんとこっちに向かって歩いて来んのよな。
な、なんだ !? 噂してるのを聞かれたか !? とビビってると、何やらタイ語で話しかけてくる。
店長さん(日本語めちゃウマ)の通訳によると、この人はバンコクの雑誌のライターらしくて。
「今、メイドカフェノ取材ヲシテイマス。話ヲ伺ッテモイイデスカ?」とのこと。
なるほど、ここにいた理由もそのルックスも、インテリっぽい雰囲気もまとめて納得。
断る理由もないので了承して、店長さんの通訳を挟んだインタビューが始まったのな。

「バンコクニハイツ来マシタカ?」
今日で五日目です。あと二日で日本に帰る予定です。
「コノメイドカフェハドウヤッテ知リマシタカ?」
タイ在住の日本人のブログを読んで知りました。
「アナタタチガメイドカフェニ来ル目的ハ何デスカ? 飲食?」
い、いや、旅行中のイベントの一環として遊びに来ました。
(メインの目的が飲み食いなわけねぇだろっつーの:笑)

ここまではホンワカとしたインタビューだったんだけど、問題はここから。

「メイドカフェハ好キデスカ?」
うーん、そうですねー。なんだか癒されますね。
「ココハ秋葉原ノ本店ト比ベテドウデスカ?」
いや、僕ら大阪から来たし、メイドカフェもそれほど知らな・・・・・ !?
ヤバい! 胸にはさっきゲームでもらったバッジが!
オレ、完全に本物のオタクと思われてる!(泣)

最後には名前と年齢を聞かれ、写真まで撮られちゃった次第。
結局雑誌名も聞かずに終わったけど、いったいどんな記事にされてんだろ。
「日本のオタク、バンコクに上陸!」とかだったらどうしよう・・・。
見出しが「気持ち悪すぎ!日本のO・TA・KU!」とかだったら・・・。
下手すりゃ写真の下に「SEZAKI・OTAKU・YASUHIRO」なんてミドルネームにされてたりして・・・。
もう恥ずかしくてバンコク歩けねぇ・・・。
ちなみに年齢は「28歳」と大きくサバを読んでおきました。

インタビュー後、店長がお礼をすると言い残して奥に引っ込んだのね。
てっきり会計をタダにしてくれんのかと思ってると、
奥から持ってきたのはバッジ。「コレ、ドウゾ」 ・・・さっきもらったよ!

その後日、夕飯時にこのメイドカフェの近くを歩いてると、
汚い屋台でメシを喰らうメイドさん二人(もちろんメイド服着用のまま)の姿を目撃(笑)。
メイド服を着てる=看板を背負ってる、なんて感覚は微塵もナッシング!
このユルさこそがオレが何度もタイに足を運ぶ理由であります。

2007年4月26日(木) タイで散々な目に遭ってきました・第四夜。
書くのを忘れてたけど、初日にサイフを落とした際、
オレ、サイフに家の鍵も入れてたのね。
だからマンションの管理会社をタイのネットカフェで調べて、電話で事情を説明し、
友人が鍵を取りに行きますんで渡してくださいとお願いして、
申し訳ないけど元カノに、帰国までに鍵を取りに行ってくれるよう頼んでおいたわけ。
その連絡を元カノにしたのが帰国する三日前だったか。

で、一週間が経っていよいよ帰国の日。
余ってたタイのお金を空港で両替したところ、2000円にしかならなかったのな。
ま、日本に着いてからVISAで金を借りりゃいいかと。
6時間のフライトを経て関西空港に着いて、空港内の交番でサイフの紛失届を出し、
リムジンバスのターミナルで友達と解散したのが朝の7時半。
ここからこの旅で一番辛い最後の災難が起ころうとは・・・。

まずなんば(OCAT)までのバスチケットを買い、
バスを待ってる間にタバコと缶コーヒーを買ったのね。
この時点で残金600円。
午前9時にバスがOCATに到着するころには、
一週間で蓄積された疲労で、さすがに体も心もクタクタで。
一刻も早く家に帰って布団に潜り込みたいなと。
荷物も多いし、ここからはタクシーで帰りたいが、残金は600円。
で、例の再発行してもらったカードで、ATMでキャッシングしようとしたのね。
が、・・・キャッシング出来ない !? なんで !?
オレ、緊急再発行の際にちゃんと聞いたのよ。このカード、日本でも使えますかって。
問題なく使えますと聞いてたのにこの始末。どのATMでもなぜかキャッシング出来なくて。
となると、残金600円でタクシーは乗れないでしょ。
しょうがないんでトランクとリュック、トートバッグを持って歩きましたよ、30分。
幸いだったのはOCATから家までが徒歩圏内だったことだけど、
それでもこの疲れの中、この大荷物を持って30分歩いたのは相当ハードでした・・・。

ようやくマンションに辿り着き、疲労はいよいよ限界に達し、
これでやっと横になれる、とポストを開けると・・・鍵がない !?
ポストに入れておいてくれ、と元カノに頼んでおいたのに鍵がない! なんで !?
事情を聞こうにも、携帯は持って行ってなかったので家の中。連絡が取れない。
とりあえず荷物を玄関の前に置き、思考すること数分。
携帯もないし、メールも見れない。しかも残金は600円で動きも制限されてるこの状況。
公衆電話から電話しようにも、今は10円すら惜しい。
もう警察に泣きつくしかないと近所の交番へ。
事情を説明して元カノに電話してもらうも、一向に電話は繋がらない。
三、四回電話してもらった時点で申し訳なくなって交番を出る。
後から聞いたところ、マナーモードにして寝ていたようで。こんなときに・・・。
さて、これからどうしたものか。
さっき別れた友達の家に転がり込むしかないか。金も少し借してもらおう。
公衆電話から電話をかけるも、すでに爆睡中のようで、こいつもまた電話に出ない。
家には入れない。誰にも連絡が取れない。残金は600円。どうすりゃいいのよ!
・・・タイから帰国して一転ホームレスですよ。絶望とはこのことか。

あてもなく、しかし何かヒントはないかとカバンを探っていると、
マンションの管理会社の電話番号を記したメモが。最後の賭けか・・・。
日曜だから誰もいないんじゃないか、と心配しつつ電話をかけたところ、
受話器の向こうから「はい、××オフィスです」との声が。神様!
「金曜日に○○という者が鍵を受け取りに行っていないでしょうか」と尋ねると、
確かに来たが、家族ではないので鍵は渡せなかった、とのこと。
・・・おまえ、タイから電話したときには渡しておくって言ってたじゃんよ!
管理会社のいい加減さにキレながらも、本人になら渡せるというんで、今から取りに行くことに。
疲れ切った体を引きずりながら地下鉄に乗り、管理会社のある駅までを往復。
戻ってきたときには残金200円。小学生でももう少し持ってるよ・・・。
午前11時半、ようやく部屋の中に。本当に本当に疲れた・・・。

そこからカード会社に電話をして、例のサイフのことを話すと、
カードが悪用されたなどであれば補償出来るが、
紛失した現金は保険適用外とのこと。
わーい、7万円も戻ってこないこと決定〜〜〜!!!(号泣)

今度旅行に行くときには、サイフにチェーンを付けようと固く誓ったオレでした。

2007年4月25日(水) タイで散々な目に遭ってきました・第三夜。
警官に賄賂を渡した日の夜のこと。
サイアムあたりまでメシを食いに行こうとBTS(電車)に乗ったんだけど、
乗り過ごしちゃって、まったく知らない駅で下車したのな。
で、ホームから駅前を見下ろすと、何軒か店が見えて。
よし、まったく予備知識のない駅だけど、
今日はあえてここでメシにすっか、と冒険してみることにしたわけよ。
駅を降りた目の前に二階建てのちょっと洒落たタイ料理屋があって、
見上げると二階に一席だけテラス席が見えたのね。
そこに陣取って、一階のオープン席を見下ろしながら乾杯。
ちゃんとメニューに英語が併記されてるし、味もなかなか美味い。
雰囲気もいいし、クーラーがないことが逆に趣があるとすら感じられる。
・・・いや、そんなことよりも、一階のウェイトレスのかわいさったらなんだ?
オレが「タイの田中律子」と名付けたその子は快活な美人で、何より仕草がたまらない。
客と談笑したり、鼻歌を歌いながら料理を運んだり、軽く踊りながら机を拭いたり、
その楽しみながら仕事をしてる様子がたまらなくかわいいのな。
こんなこと、日本でやったら店長から怒られること必至だけど、ここはタイ。
むしろこの店はこの看板娘のおかげで成り立っているようでもあって。
そんな「みんなを楽しい気分にさせるオーラ」が体からあふれ出てるわけよ。
そうなるとオレら、もう延々とこの子を二階からストーキングですよ(笑)。
「かわいいなあ」「ああ、本当にかわいいなあ」「あの仕草がヤバいよなあ」
「二階にも来ねぇかなあ」「あの客、あの子とよく話しててムカつくなあ」
そんな生産性のないダラけた会話だけで二時間超! 男って本当にバカ!
男ばかりの花のない五日間を経て超A級の美人を見つけたもんだから、
テンションが上がってビールも進む進む。いったい何本空けたことだろうか。

で、最寄り前まで戻って、コンビニでも寄ってから帰るかという話になったとき。
一人(以下、Aと称)が「トイレに行きたいので、僕だけ先にホテルに帰っときますわ」と。
そのとき、オレはこいつが酒癖が悪いことをすっかり忘れてたし、
普通に喋ってたから、まさかそんなに酔ってるとは思わなかったのな。
コンビニに寄ってホテルに帰り、ドアをノックをするとAの応答がない。ん?
ちなみにオレら、ツインの部屋を二部屋取ってたんだけど、
Aともうひとりの友達(以下、Bと称)が相部屋だったのね。
一日いろいろと歩き疲れてさ、Bもとっとと風呂入って寝たいじゃん。
だから何度も強くノックするんだけど、相変わらずAからの応答はなく、
隣りの部屋の外人が、自分の部屋がノックされたものと間違ってドアを開けたりもして。
時間も遅いしさ、周りに迷惑をかけるわけにもいかないっしょ。
ノックをあきらめてオレの部屋に移り、部屋に電話をすることに。
この電話、結構デカい音で鳴るんだけども、それでも一向に電話に出ない。
同時に携帯にも電話するものの、こちらも何十回コールしてもなしのつぶて。
ここらでようやく、Aの酒癖の悪さを思い出したオレらは考えたね。
オレらがコンビニに行って帰ってくるまで、せいぜい10分程度。
このたった10分の間に、あいつに何があったんだ?と。
とりあえず考えたのは、別れた後にやっぱりコンビニに行きたくなって、
どこかで入れ違いになっちゃったんじゃねぇかと。
そこでフロントまで降りていくも、鍵はAさんに渡しましたとのこと。
となると、Aは一度部屋に帰ってる。それからどうした?
次に考えたのは、鍵を開けるのを忘れて風呂に入ってんじゃないかと。
しかし、30分以上経っても電話に出る気配もない。風呂だと長すぎる。
だとしたら他にどんな可能性がある? これだけ電話をしてるのに出ないのはなぜだ?
そこで発想を飛躍させて出てきたわずかな可能性は、買春でもしてんじゃねぇかと。
オレらの泊まってたホテルの周辺、というかバンコクの都市部では、
そこらへんに売春婦が立ってて、夜道を歩いてると声をかけてくるわけよ。
もちろん病気も怖いし、そんな誘いには乗らないようにしてるんだけど、
いったん部屋に戻って、やっぱりコンビニに行きたくなって鍵を持ったまま外出したAは、
売春婦に声をかけられ、ヒョコヒョコと着いていっちゃったんじゃなかろうか。
可能性としてはかぎりなく低いものの、酔ったあいつは何をしでかすかわからんぞと。
そんなことを言って笑ってる最中、ドキッとした。
・・・いや、そんなことよりも、もっと可能性が高くて起こりうることがあった。
あいつ、酔って風呂に入って・・・・・溺れてるんじゃねぇか !?
その考えが頭によぎった途端、急に心臓がバクバクし始め、
まさかなあ、とは思いつつも、Bと二人であわててフロントへ。
「友達の返事がないんです! 鍵を開けてください!」
係の人とともにドアの前まで行くも、やはりそう簡単には鍵を開けられないようで、
まずはノックを試み、次に電話をするも、相変わらず応答はない。
オレらとしては一刻も早くドアを開けないと手遅れになってしまうことも考えられ、気が焦る。
何かあったときのためか、ホテルの人をもう一人呼び、ついにドアの鍵を開ける。
部屋に駆け込んだオレらが見たのは・・・・・スヤスヤと眠りこけるA。
「・・・おい! おまえ、何やってんだよ!」
怒声に飛び起きたAは見知らぬタイ人スタッフ二人を目の当たりにして、
驚きと恐怖、脅え、寝ぼけが入り混じった見たこともない形相に。
「おまえ、明日から絶対禁酒な!」
こうして五日目の夜は更けていったのでした・・・。

次の朝に話を聞くと相当酔っていたようで、
ベッドに腰掛けた瞬間から記憶が飛んだとのこと。
そして、このレベルまで酔ってしまうと、何があっても起きなくなるらしい。
それにしても、あの電話のベル(40分ほど鳴らし続け)でも起きないとは・・・。
大地震が起きて真っ先に死ぬのはこいつでしょうな、きっと。
酒は飲んでも飲まれるな。けだし名言。

もう一回つづく。

2007年4月24日(火) タイで散々な目に遭ってきました・第二夜。
到着早々にサイフを落とし、一気にブルーになったものの、
持ち前のポジティブさで次の日からはバンコクを満喫。
ウィークエンドマーケットに行ったり、地元の市場で買い食いしたり、
昼間っからビールを飲んでマーブンクロン(巨大デパート)をブラついたり、
中華街で美味い中華料理に舌鼓みを打ったり、ナイトバザールに行ったり、
ベタに寺院を回ったり、トゥクトゥクに乗ったり、タイ・アーティストのCDを買ったり、
そんな楽しい日々を過ごすこと四日。五日目にまたもや事件勃発。

これは前から言ってることなんだけど、オレは本当に品行方正で、
過剰なまでに敬語も使うし、マナーもモラルも人一倍ある人間なのね(自分で断言)。
他人に迷惑をかけること、他人を不快に感じさせることが何より嫌いで。
そんなオレだけど、いや、そんなオレだからこそ、
ただ一点、タバコのポイ捨てだけは見逃してくれないか?と世間に問いたい。
ダメなんだな、灰皿がないからタバコを我慢するということが出来ない。
もちろん禁煙の場所や子供のいる家では吸わないけど、
青空の下でならいくら吸ったっていいじゃん?と。
吸い殻ぐらい許してくれてもいいじゃん?と。
そんな甘えがタイにて裁かれようとは知る由もないオレであった・・・。

それはチットロム周辺を歩いてたときのこと。
いつもの癖でいつものようにタバコに火を付けて、
いつものように水たまりにポイ捨てしちゃったわけよ。
すると、近寄ってくる警官。こ、これは !?
そうなのよ、昨日書いたようにタイではポイ捨ては罰金なのよな。
しまった!と思うも時すでに遅し。
「君タチハドコカラ来タンダイ?」
「フロム・ジャパン」
「オー、ジャパン。今カラドコニ行クンダイ?」
そんな他愛もない和やかな会話が始まり、
これは単に職務質問か?と安堵の息を漏らすと、
警官はオレの方を向き、一言。
「・・・トコロデ君ハ今タバコヲ捨テタネ?」
南無三。2000バーツは痛すぎる・・・。
あきらめて頭を垂れると警官はおもむろに歩き出し、着いてこいとのジェスチャー。
捨てたタバコを確認するのかと思いきや、ポイ捨てした場所を越えて、警官はどんどん先に歩いていく。
これはもしや・・・?

出発前に読んだコラムに書いてあったんだけど、
日本と違って、タイはまだまだ賄賂がまかり通ってる国なのね。
そりゃ殺人とか窃盗とかそういった対人的な犯罪は別だけど、
飲酒運転やスピード違反なんかは数百バーツで見逃してくれるとか。
しかもそれは相場を知らない(と思われている)外人に対しての話。
タイ人だと数十バーツ(100円程度)で見逃してくれるんだとか。安すぎ(笑)。

警官はどんどん先に歩き、人のいない車道の端を歩き出す。
いくらタイの警官がユルく、賄賂が通用するとはいえど、
建前上、さすがに公衆の面前では受け取らない、ともコラムに書いてあった。
ということは、ここがチャンスということか !? それをオレに暗に伝えてるのか !?
「プ、プリーズ・ウェイト!」
立ち止まってもらい、サイフから100バーツ札を抜き出し、渡す。
「100バーツで許してはもらえ・・・ません?」
「ノー! 2000バーツダヨ!」
「それじゃ200バーツでは・・・?」
「ノーノー! 2000バーツダト言ッテルダロ!」
・・・もしやこの人は賄賂が通用しない人なんじゃなかろうか?
タイにだって、そんなお堅い真面目な警官がいてもおかしくはないわけで。
「さ、300バーツでどうでしょう?」
「・・・ノー! 1000バーツダヨ!」
ん?1000バーツ? 一気に半額になった! やっぱ賄賂はイケる!
「300バーツで許してはもらえませんかね・・・?」
すると、いきなりサイフを見せろと警官。
このサイフ、到着直後にサイフを落として、やむを得ず100円ほどで買ったサイフなんだけど、
札入れがふたつあってさ、オレは1000バーツ札を奥に、それ以下の紙幣は手前に入れてたのね。
オレはこのとき、7800バーツほど持ってたんだけど、
機転を利かせて、奥の札入れを隠し、手前の札入れだけ見せたのな。
要は800バーツしか持ってない貧乏旅行者に見せかけたわけで。
「オー(落胆)。・・・オッケー、300バーツデイイヨ」
賄賂成功! 300バーツ(約1000円)で免れた! 賄賂バンザイ!
「バイバーイ」と微笑みながら去っていく警官に手を振って見送る。どうにか助かった・・・。

しかし、いきなり警官に連れていかれちゃって、
さぞかし友達は心配してるだろうなと振り返ると、
・・・・・あいつら、オレが賄賂を渡す瞬間を笑いながらムービーに収めてやがる!
友情の薄っぺらさを感じつつ、こいつらとタイに来て間違いはなかったと確信したオレでした。
こんなオモロい場面、そうそう出くわさないもんなあ。
しかし今回の旅は本当についてない。

まだつづく。


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written by オレ 

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