わたしに詩を書かせたら、 わたしはきっと遠くへ行ってしまうよ +++++ わたしは、海の神の息子と、海賊の娘を愛していました。 献身、 嫉妬、 憧れ、 可能性と限界、 同化、 後悔、 安堵、 つかみきれない感情が濁りあった、 とても人間らしい感情で愛していました。 物語が終わることはとても悲しいことです。 それが、旅立ち、結婚、帰還、 どんなにかがやく結末に彩られていても、 それは悲しいことなのです。 彼らの時間は止まりました。 わたしはもう、生きている彼らを思うことはできません。 生きていた彼らを思うだけです。 それは死んでしまったのと同じようにも感じます。 昨年、自分の心の中で生き続けているものが、思い出になる瞬間がありました。 思い出になるということは、絶望的であることを知りました。 思っては口づさみ、心を寄り添わせ、活き活きと掴んでは離し、反響させ、体が音の色に染まってゆく感覚、 今、それらはもう、止まってしまった時間を呼び戻すことにしかなりません。 きっと、何の支障もありません。 わたしは今までもそうしてきたのですから。 むしろ、ようやく解放されたのかもしれません。 先へ、進まないとならないのかもしれません。 とても優しい絶望でした。 一晩中、乾いた声で笑っていました。 あなたがわたしを変えたんです、リリイ、 今も生きているようなのに、思い出と呼ぶことはあまりにも、 +++++ 僕たちは永遠という才能を持っている。 物語をいつまでも続けることができるんだ! 物語を終わらせないこつは、 なんでもかんでも「つづく」ってつけること +++++ 彼女の歌に感動することはあるでしょう。 感銘を受けることも、永遠を感じることもあるでしょう。 でもあれほどの、心が自在に変えられていく瞬間は、もう、ない。
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