僕は今、真っ白なノートに向かっている。 何か溢れ出しそうな心だとか感情だとかを書き留める為に、 さっき文具屋まで行って買ってきたノートだ。 だが、こうして30分40分と経っても、ノートは白いまま。 書きたいことはたくさんある筈なのに、だ。 外は強い風で、がたがたと窓のサッシが五月蝿く鳴っている。 僕は、最近あったことを思い出そうと躍起になっている。 鉛筆を握り締めた手が、白くなっている。
「君はいつもそうだ」
不意に、誰かの声が聞こえた気がした。 思わず顔を上げたが、当然、誰もいない。 部屋の隅で、ガスストーブだけが赤く光っている。
「表現するための手段を手に入れて、漸く中身が無い事に気付くんだ」
声は続く。 そんな馬鹿な。 だって、書きたいことはたくさんある。 たくさんあるんだ。たくさん。
「ノートを買った時点で満足したんだろう?」
馬鹿な。 馬鹿な。 鉛筆を握り締めた手が、汗を帯びる。
がたん。 また一つ、強い風が吹いた。
ノートはまだ白い。
---------------------------------------------------------- こんな心境です。 いきあたりばったりってダメですね(ほろり
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