短いのはお好き?
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2005年11月14日(月) |
Stars and Stripes Forever |
そんなことを急に言われても困ってしまいます。
そういって、アレンさんは、ポケットのなかから
ピストルみたいなものを取り出したかと思うと
あっという間に自分の眉間に銃口を当て
トリガーを引き絞りました。
が、むろんおもちゃのピストルでしたから
銃弾など飛び出すこともなく、カチッといういかにもチープな音が
聞こえるだけで、ぼくらは唖然としつつも胸を撫で下ろしたわけなのですけれど
次の刹那、アレンさんが眉間からピストルを外すと、星条旗がポンッと銃口から
飛び出してきて、その間抜けな感じがなんとも言われず面白くて、思わずぼくらは
笑ってしまったのでした。
そうしてアレンさんは、その小さな星条旗を高々と掲げ上げると
「星条旗よ、永遠なれ」をハミングしながら、スキップでその場から静かにはけて
いきました。
雲が流れるように広がっている。
それほど高くはない空だ。
太陽は、地平線にすっかり隠れ、今まさに消え入ってしまいそうな
微かな残り火で、雲を赤赤と染め抜いている。
浅瀬に仕掛けられた漁のための仕掛けらしきものが、か細いシルエットをなして
夕映えに溶け込んでいる。
水面には、波一つなく鏡のごとくに光り輝いて、何も語らない。
静寂だけが雄弁に、物語を紡いでゆく。
それは、永い永い物語。
そして、ずっとずっと何ものかを待っている。
やがてすべてが終る日。
終焉がやってくる。
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