活字中毒のワタシの日記

2005年08月31日(水) 高橋 克彦『パンドラ・ケース―よみがえる殺人』★★☆☆☆

パンドラ・ケース―よみがえる殺人
高橋 克彦
文芸春秋 (1991/08)
売り上げランキング: 250,719
おすすめ度の平均: 3
3 青春時代を懐かしむ・・・
3 学生時代を思い出す・・・


ストーリーは面白かったので★3つでもよかったのだけど、ちょっと長い気がした(それほどひきこまれなかった。この著者にしては)ので2つ。

学生時代のサークル仲間で旅行した先で埋めたタイムカプセル。
そのうちの一人は行方不明になっており、不明になってから13年後、13回忌と称して17年ぶりに集まりタイムカプセルを開くことになった。

雪に閉ざされた旅館で、猟奇的な殺人が起こる。
犯人は誰なのか。
目的は何なのか。
行方不明の「パンドラ」はどこにいるのか。

主人公である研究者塔馬双太郎が、渦中にありながらその謎を解く。

タイムカプセルが埋められたのが昭和46年、1971年。
その年の最初ということなので、私の場合生後半年。
当時思い出に残った新聞記事を入れようという企画もし、入れられたものが時代を感じさせる。

よど号事件。
3億円事件。
三島事件。
大阪万博。
コインロッカー殺人事件。
ケネディ暗殺。
杉並の通り魔事件。
などなど。

そしてあの未解決の大事件がこんなところで…にびっくり。

ええーっっ?するう?そうしちゃう???
とインスタントジョンソンの真似してつっこみたくなってしまう。
この展開は鮮やかでした。

最後はなんだか『ダレン・シャン 12巻 運命の息子』の終わりのようで(ああネタばれ?すみません)けっこう気に入りました。

人物描写がもひとつなのか、いまひとつ絵として浮かばず、思い切り楽しめず。
ドールズが、めっちゃめちゃよかっただけに、ちと残念。
というわけで『ドールズ』の続きが読みたいです、私。



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2005年08月30日(火) アレックス・ロビラ フェルナンド・トリアス・デ・ペス『Good Luck』★★★☆☆

Good Luck
Good Luck
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アレックス・ロビラ フェルナンド・トリアス・デ・ペス 田内 志文
ポプラ社 (2004/06/22)
売り上げランキング: 1,706
おすすめ度の平均: 3.56
5 成功したいあなたにお勧め!!
5
4 幸せになるためには


ベストセラーということで、遅ればせながら読んでみた。

よくできた啓発書。

そおんなに売れまくるような本?

と思ったけれど、メッセージのわかりやすさ、シンプルさ、そして的確さには感心。
「書くのに8時間、考えるのに3年間」かかっただけはある。

幸運は、訪れるのをただ望んで待つだけではやってはこない。
「下ごしらえ」をして起こるようにすることができる者だけが、幸運を得られる。

そう、幸運は、得るもの。

待っているだけじゃ手に入らない。

この辺の目から鱗な話を寓話をモチーフに語ってくれる。

章ごとに重要なメッセージが語られているのだが、印象に残ったもの。

「幸運が訪れないからには、訪れないだけの理由がある。
幸運をつかむためには、自ら下ごしらえをする必要がある。」


「幸運を作るというのは、チャンスに備えて下ごしらえをしておくこと。
だがチャンスを得るには、運も偶然も必要ない。
それはいつでもそこにあるものなのだから。」

「幸運の下ごしらえは、自分にしかできない。
幸運の下ごしらえは、今すぐに始めることができる。」

与えられることばかり、楽なことばかり考えて、何も得ることができなかった黒騎士ノットではなく、自ら考え、時に与え、汗を流し、謙虚に待ち、そして幸運を手にした白騎士シドに、私もなりたい。

難しいけれど。

Good Luck

さて次は、こちらでも読もうかな。
もうひとつのグッドラック物語
アレックス・ロビラ グッドラックプロジェクト委員会
ポプラ社 (2005/03/19)
売り上げランキング: 16,930
おすすめ度の平均: 5
5 一冊の本が持つ影響力とは何か。
5 1冊の本との出会い。



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2005年08月17日(水) 高野 和明『K・Nの悲劇』★★★☆☆

K・Nの悲劇
K・Nの悲劇
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高野 和明
講談社 (2003/02)
おすすめ度の平均: 3.45
4 この本、結構怖いです!
2 拍子抜け
4 何でも書ける高野和明



出版社/著者からの内容紹介
男女の問題。性の迷宮。
生命の神秘。乗り移られる恐怖(ホラー)。
心の中の別の人。

『13階段』の著書が描く、戦慄に満ちた愛の物語。

夏樹果波は、幸福の絶頂にいた。
仕事で成功した夫、高層マンションでの新しい生活。
ところがそんな矢先、子供を身ごもった。予期せぬ妊娠だった。
中絶という苦渋の選択をした瞬間から、果波の精神に異変が起こり始める。精神の病か、それとも死霊の憑依なのか。
科学と心霊の狭間で、夫と精神科医が治療に乗り出すが、二人の前には想像を絶する事態が待ち受けていた――。

ホラーを超えた未曾有の衝撃!恐怖小説は新たな次元に突入した!
血も凍る温もりを、あなたのもとへ。

…というわけで、『13階段』の面白さに続いて楽しませてもらおうと読んでみた1冊。

プロローグから重苦しい雰囲気に包まれる。
小学生の女の子が二人、人気のない神社に忍び込み、猫の出産、胎盤排出を見る。
当時の記憶は忘れたかのように思えたが…。

ホラーのようで、ミステリーのようで、読者次第でもあるところがたまらない。
読んだ者同士、「あれは説明できる?」と議論できるのも楽しい。

読みやすくて、分かりやすくて、面白い。
ベタ褒めですけど、今の所はポイント高いです、高野和明さん。
一気に読めます。というか、続きが気になってやめられない。

グレイヴディッガー』の方がドキドキハラハラだったけれど、最後までどうなるかわからないところがどちらも楽しめました。まぁこっちの方はオチが読めたというか、「そうするしかないよね」といった感じでしたが。

前置胎盤になりそこねた私としては、早期胎盤剥離とか妊娠中毒とかいうキーワードが懐かしく思い出されました。

年間35万件もの中絶の事実も、子どもを授からないヨメへの仕打ちも、現実なだけに痛ましい。

それでも、最後はほっとできたお話でした。




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2005年08月12日(金) 高野和明『13階段』講談社★★★★☆

13階段
13階段
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高野 和明
講談社 (2004/08)
売り上げランキング: 14,553
おすすめ度の平均: 4.54
4 「うまくできた」作品
4 興奮正統派
4 幾数十人目かの問題意識先行型


出版社/著者からの内容紹介
宮部みゆき氏絶賛!!!
手強い商売仇を送り出してしまったものです。(本書解説より)
犯行時刻の記憶を失った死刑囚。その冤罪を晴らすべく、刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。だが手掛かりは、死刑囚の脳裏に甦った「階段」の記憶のみ。処刑までに残された時間はわずかしかない。2人は、無実の男の命を救うことができるのか。江戸川乱歩賞史上に燦然と輝く傑作長編。

…というわけで、読んでみました。
おもしろかったです。夢中で読みました。
二日かかりましたが、案の定夢で続きを見ました。(バイクででかけようとしてるのにヘルメットがな〜い、とおたおたするというのどかな?夢)

著者の言葉として、「少しでも楽しんでいただければ」とありますが、めっちゃ楽しませていただきました。
予測はことごとくはずされたし。(いつものことですが)

裁判の経過や刑までの手続きなどややこしい描写もあるのに、絵としてすんなり浮かぶし、登場人物にも厚み深みが感じられて感情移入できる。
横山秀夫さんとはずいぶんな違いです。(すみませんこの方のはちと苦手で)

傷害致死で服役した三上の背負うことになる、家族までも苦しめる現実。
刑務官として死刑囚の処刑に立ち会い、「殺人をおかした」と思い詰める南郷。
「正義が見たい」とできるかぎりの協力をする、まさにその死刑判決を書いた検察官。

そして、殺意を抱くある者。
逃げ仰せると思う者。
心がすでに死んでいる者。

勝手な読者の思い込みをこれでもかと覆してくれるストーリーの面白さ。
救いがあるようなないような。
著者の視点に感じる人間へのあたたかさ。
読み終えた時、あのヒトへの減刑嘆願書に署名したいと思いました。

この人の他の著書も、そして他の江戸川乱歩賞も読んでみたい!と思いました。
さっそく予約だわ。




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2005年08月10日(水) 多島 斗志之『クリスマス黙示録』★★★☆☆

クリスマス黙示録
クリスマス黙示録
多島 斗志之
新潮社 (1996/10)

内容(「BOOK」データベースより)
「パール・ハーバー」の記憶をいやでも呼び覚まされる12月のワシントンDC。
はじまりは、ある不幸な交通事故だった―。被害者の母である現職警察官は、加害者の日本人留学生カオリ・オザキへの復讐を誓い、姿を消す。
そして、日系FBI特別捜査官タミ・スギムラら警察当局と暗殺者との一大攻防戦の幕が切って落とされた!日米両国の狭間で翻弄される三人の女性の運命は。

ホラーです。
ミステリーでもあるのかな?あ、サスペンスか。
ドキドキしながら最後まで読み進めました。
最初、慣れるまでがちと読みにくかったですがストーリーの面白さでぐいぐいとひきこまれました。

イエロー・キャブと言われてもしかたないお気楽ブランド日本人留学生カオリ。
からかわれ逃げようとしてひき殺してしまった青年の母は、現職の警察官だった。
カオリの父は有力者。そのため国外脱出のために安全を期して護衛についたのが日系FBI捜査官のタミ。
この3人に、反日感情を抱いたアメリカ人、表と裏の顔を使い分ける上司、自分の頭で考え真実に迫っていく捜査官。
浅はかな私は筆者の用意した落とし穴に何度もひっかかりました。

でも、最後の方、自爆は怪しいと思ったよ。
その根拠が「ページ数がまだ余ってる」というのが情けないけど。

この夏、暑さを忘れるにはおすすめの一冊です。

クリスマス黙示録



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2005年08月08日(月) 蓮池 透『奪還 第二章』★★★★☆

奪還 第二章
奪還 第二章
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蓮池 透
新潮社 (2005/02/19)
売り上げランキング: 64,624
おすすめ度の平均: 4
4 著者は常に「防波堤」となって
4 拉致被害者の新たな苦悩


奪還―引き裂かれた二十四年』に続く闘いの記録です。

「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」事務局長としての苦悩、拉致被害者の家族(も被害者だが)としての苦悩、一社会人として、家族の一員として、彼が背負うことになった荷はあまりにも重い。

まだ残された人がいるということもあり、北朝鮮を刺激する真実を吐き出せない被害者。
やっと暮らせるささやかな毎日に「税金使って」と水をさす心ない人々。
それゆえに小さく、静かに、沈黙するかのように暮らさざるを得ない被害者。

こんなおかしなことがあっていいはずがない。

多様な立場の人が集まった家族会。
そこにもきしみが生じている。
まだ帰ってこない家族を待つ人、拉致被害認定も受けていない人、死亡と通告されてしまった人(私はあの情報はウソだと思っていますが)にとっては、蓮池さんは「一抜け」した人に見えてしまうのも無理はないでしょう。
そしてそれはある意味事実だし、喜びでもある。(現状復帰は当たり前で喜びとかいう問題じゃないという考えもあるのですが)
でも、拉致問題はまだ全然解決していない。
解決の目処もたっていない。
そこで蓮池さん自身もつらい思いをしている。

政治の空白で解決への時間も空白になってしまうことも許されない。
なのに。
なぜ動かないのか。日本政府は。
なぜ切り捨てて平気なのか。
そしてダニのごとく使える時だけ利用しようとする政治家がいるのか。(選挙の宣伝にしようとまた今度の選挙でも使おうとするのだろうか)

一人でも多く、この悲劇を解決しなくてはと思うことが必要だろう。
はやく、関係者の方々を心身共に自由にしてあげたい。
こんな忌まわしい事件から解放してあげたい。

自分も当事者だったかもしれないのだから。




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2005年08月06日(土) 東野圭吾『黒笑小説』★★★☆☆

黒笑小説
黒笑小説
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東野 圭吾
集英社 (2005/04)
売り上げランキング: 9,266
おすすめ度の平均: 3.89
4 漆黒のユーモア
4 ちょっと笑えないかも・・・
2 あれ?



東野圭吾さんのブラックユーモア小説は大好きなわたし。
今回のも笑わせてもらいました。
吹き出しちゃったのは「シンデレラ白夜行」くらいですが、全編に渡って展開していく売れない時代遅れの勘違い作家の話が自虐的でまさに「黒い笑い」で面白かったです。
でも東野さんは現実には売れっ子なので、まんまじゃないけれど、賞がとれそうでとれないところとか、経験を生かしてるなぁという関西人の捨て身の笑い取りみたいなものを感じました。

でもまぁこれよりは毒笑小説の方が素直に笑えてスキです。

面白かった順に並べると
1.シンデレラ白夜行
2.臨界家族
3.笑わない男
4.奇跡の一枚

いまひとつだったのは
1.ストーカー入門
2.モテモテ・スプレー
3.巨乳妄想症候群

残りはその作家シリーズなんだけど、全体としてまあまあかと。

これ読んだ方、読んでみたいよね、傑作『虚無僧探偵ゾフィー』。
「感覚が鈍っていて将来性がない作家グランプリ」の寒川先生の作品もいっこくらい読んでみたかったりして…。




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2005年08月05日(金) 金 賢姫『忘れられない女―李恩恵先生との二十ヵ月』★★★★☆

忘れられない女―李恩恵先生との二十ヵ月
金 賢姫 池田 菊敏
文芸春秋 (1997/10)
売り上げランキング: 316,627
おすすめ度の平均: 4.5
4 拉致被害者を早急に解放しろ!
5 金賢姫の心の成長


忘れられない女性、とは…

田口八重子さん。

北朝鮮に拉致され、大韓航空機爆破事件の実行犯である北朝鮮工作員金 賢姫の日本人教育化係をさせられた女性。
二人の子どもを残したまま、今も、北朝鮮にとらわれたままだ。

救出の機運が高まったものの、そこまで行きつかなかった現実。
このまま存在が忘れ去られる危機感から、金 賢姫は筆をとったのでした。

李恩恵(リ・ウネ)と過ごした日々のこと。
彼女の好きな物、時に流す涙、異文化への適応(犬を食べる話などビックリ)。
こっそり出かけた夜のこと、子どもへのまなざし、異国での排他的な空気の中での寂しさ、二人の間にめばえた情愛と壁。

読むと、過酷な運命を課されながら、生き抜いている一人の女性の存在が実感できる。
彼女を助けたいと思う。
日本に返して、日本の物を食べさせ、眠らせ、休ませたい。
これまでほっておいたことを謝りたい。
彼女でなければならなかった必然はなかったのだから。
わたしの母だったかもしれないのだから。

そのために必要な声の一つに、これもなれたらいい。





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2005年08月02日(火) 蓮池 秀量 蓮池 ハツイ『薫へ―届かなかった手紙』★★★★☆

薫へ―届かなかった手紙
蓮池 秀量 蓮池 ハツイ
新潮社 (2003/10/29)
売り上げランキング: 261,002
おすすめ度の平均: 4.5
5 愛するわが子へ 祖国より祈りを込めて
4 親が子を思う気持ちは歳月をこえていく


拉致という国家犯罪。
子どもを突然奪われた親の困惑、苦しみ、悲しみ、そして怒り。
読んで、言葉をなくした。

ご両親の愛情が、痛ましい。
何より、この二人を、何十年も放置して、なおかつ人道援助との名目で犯罪行為に荷担しているといってもいい日本政府。
父親秀量さんの切なる願いを込めた手紙も無視したりおざなりにしてきた歴代首相。
これらに非常に怒りを覚える。

ちょうど衆議院選挙がある。
郵政民営化も大切だけれども、もっと大事な「国民を守る」こと、これができる、する人を選びたいと思う。
しかし、いるのか?という気もするけれど…なんて悲しい話だろう。

一刻も早い解決を。
それからたっぷり支援したらいい。
これ以上涙を流させないで。






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2005年08月01日(月) 宇佐美百合子『今のわたしを好きになる本』★★★☆☆

今のわたしを好きになる本
今のわたしを好きになる本
宇佐美 百合子
サンクチュアリ出版 (2005/04/08)

ありのままの自分を抱きしめて…。

そんなメッセージが伝わってきます。

あたたかなイラストと、詩のようなメッセージ。
そして、心にすーっと入ってくる気づきの数々。

副題『心理カウンセラー・宇佐美百合子が贈る
あなたが知らなかった、あなた自身の愛し方27』

何かを求めている人には、何かしらひっかかるものがあると思います。
毎日ワクワク、周りに感謝、ひとりでも充実、自分大好き、という人にはピンとこないかも。

自分を好きになれない、嫌い、という人はけっこういる。
自分に自信を持てない人も。

そして、それを変えられたらいいな、と思っている人も。

そんな人におすすめの一冊です。



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