『きょうはみんなでクマがりだ』Michael Rosen Helen Oxenbury 山口 文生 マイケル ローゼン ヘレン オクセンバリー評論社 (1997/10)言葉の繰り返しを楽しむ絵本。クマがりに出かけて行く家族。川があれば渡り、ぬかるみがあれば歩き、森があれば通り抜け、そしてクマがいるらしき穴にたどりつき…。見返しにも絵がかかれていて、最初は明るい昼間の誰もいない海岸。そして終わりは月の光の中とぼとぼと歩いていくクマの姿。ヘレン・オクセンバリーの絵が見たくて借りた本なのだが、期待を裏切らない楽しく美しい絵だった。テクテクテクテクテク、ビュービュービュー、ジャブジャブ、ガサガサ、と言葉も楽しいので赤ちゃんでも喜びそう。3歳くらいならクマとの遭遇と逃げてく様にドキドキすることでしょう。大人でも「あっ!家についたのはいいけどドアしまってないよ!」とドキドキするでしょう(私です)。『きょうはみんなでクマがりだ』
『ぎょうざつくったの』きむら よしお福音館書店 (1996/06)思わず くすり とあったかい笑みを浮かべてしまう絵本。こどもたちが自分達でぎょうざをつくろう!とものすごい量のぎょうざをキッチンというより台所、をめちゃくちゃにしながら作って行く。できあがりかと思ったその時に、かなしい展開になり…。とにかくもう勢いと迫力のある絵が楽しい。うちでもやってみようかな、いやいややっぱりたまらんわこりゃ、と思ってみたりして。
ジャンルでまとめました→読んで捨てる片づける整理する掃除する! ジャンルでまとめました→本を読んで町へ出よう。 ブログ→捨ててスッキリ。キレイに暮らす。
『三毛猫ホームズの最後の審判』赤川 次郎光文社 (2003/04/10)ミレニアムを前に、浮き足立つ人々。そこへつけこむあやしげな宗教。三毛猫ホームズシリーズにしては、重めの内容。面白かった。いきなり晴美が殺される?とどきどきさせられたり。
『三毛猫ホームズの戦争と平和』赤川 次郎光文社 (2002/12/13)戦争にまきこまれたいつものメンバー。戦争はやめさせられるのか、真実は。短編が6つ。何も読む物がない時や、重い物を読んで疲れた時などに読むとふう、と一息つける本。石津さんが、私は好きだなー。
『子どもを伸ばすほめ方叱り方51のヒント―子育てがもっと楽しくなる本』中井 俊已学陽書房 (2003/06)心に残ったいくつかを紹介。人格ではなく、行動をほめよう「がんばれ」よりも「がんばってるね」プロセスをほめるやめさせたいときに、その場で叱ろう怒らないで、叱ろう人格を受け入れて言動を叱ろう私を主語にして叱ろうまず、自分のこころを育てよう毎日の平凡な出来事の中に、喜びを見つけよう子育てに苦労はつきものと覚悟をしよう子どもが生まれた時の謙虚さと決意を思い出そう……。ほんとに、そうね。少しずつ、少しずつ、いい方へいきたいね。『子どもを伸ばすほめ方叱り方51のヒント―子育てがもっと楽しくなる本』
『ちなみとたぬきの産む育てる。』毛利 子来 清水 ちなみ大和書房 (2003/06)えーと。毛利さんの育児本は「おかーさーん。がんばっちゃあだめですよー」というメッセージがラクにさせてくれて好きなのだけれど、これはいまひとつでした。酒場でがはは、とのりよくおしゃべりしたものを本にしただけ、という印象。本にするほどの内容だろうか。期待しすぎちゃったのかもね。ごめん。清水さんはしゃべる人というより、編集する人である方が能力を生かせるように思う。『ちなみとたぬきの産む育てる。』
『牛乳アンタッチャブル』戸梶 圭太双葉社 (2002/02)また読み返してみたいトカジ本といえば、私はこれ。帯より。『食中毒「寝てんじゃねえよ。経営陣」牛乳会社を突然襲った、大地震!無能な経営陣を倒すため、社員たちは決起する!!抱腹絶倒のサラリーマン・バトル!戸梶圭太がブッ放す怒濤のエスカレーションノベル!!!!!!!!』で、舞台になるのは業界一位の『雲印』。『極太カル太』の広告写真もぜひ見てみてね。こういうおばかな悪のりって、好きだわ。のりすぎると気持悪くなるけれど。タイトルも、見事。まじめな、危機管理とは何なのか、企業倫理とはどうあるべきか、企業小説としても得る所のある(と勝手に思う)、サラリーマンにもおすすめの一冊です。いや、ほんと。『牛乳アンタッチャブル』
『闇の楽園』戸梶 圭太新潮社 (1999/01)第三回新潮ミステリークラブ賞受賞。とにかくもう筆力のある方。パワフルにひっぱっていかれてそれがもう痛快。きらいな人はきらいだろうなぁ。過疎化に悩む町の町おこし策公募。それに賭ける会社をやめた青年。つけこむあやしい宗教団体。ろくでもないヤツラをいきいきと書かせたらこの人の右に出る人はいないんじゃなかろうか。ってこれほめてるんだろうか。町長とその周囲の正義感あふれたキャラクターもとても好き。しかしいつもながら、スプラッタはいやーんだわね。『闇の楽園』
『なぎら☆ツイスター』戸梶 圭太角川書店 (2001/07)急ぎ、図書館に返却にいかねばならないので(延滞。ごめんなさい!)ひとことのみ。新しいヤクザ小説、らしい。ヤクザ小説を読んだことがないのでわからないけど、これはおもしろいです。もうね、赤いちゃんちゃんこきた猿かと思った田舎ヤクザの組長の息子の自己陶酔ぶりに笑うだけでも読む価値あるかも。きらいな人はきらいかも。時々めちゃくちゃジャンクなものが欲しくなる(といってもコーラとポテチとかだが)。読書でいう「ジャンク」は今の私には戸梶圭太。読み過ぎると気持悪くなってほんとにはちゃめちゃで後味が悪くて疲れる悪夢を見てしまうのだけど、すっごく読みたくなる、そんな時ってある。ほんわか恋心も、いいね。『なぎら☆ツイスター』
『未確認家族』戸梶 圭太新潮社 (2001/10/31)急ぎ、図書館に返却にいかねばならないので(延滞。ごめんなさい!)ひとことのみ。ぶっとびクライムノベル。家族ってなんだろう、自分は大丈夫かな、と振り返らせられる。どーーーーっしようもないとんでもないヤツラがむちゃくちゃをやるんだけど、彼等に「家族愛」を感じさせられてホロリときちゃったりして、なんだかもう、わけわかんないけどおもしろかった。『未確認家族』
『溺れる魚』戸梶 圭太新潮社 (1999/11)新潮文庫ばかりだな、ここんとこ。と思ったら、そうだった新潮の100冊からテキトーに図書館に予約しまくったのを読んでいるのだった。その中で、はずれも多くありましたが、これは、あたり!相方は途中で放り出し、また森博シに戻っていきましたが、好きなのよこういうの、わたし。重くて暗くて痛い警察小説に疲れてた私を、救い上げてくれた本。なにもかもが、ぶっとんでる。ふざけてる。たまらない。すごく、スキ。主人公は謹慎中の不良刑事二人。一人は、趣味の女装のために万引き、一人は逮捕劇の最中に犯人の札束をネコババ。そして彼等に公安上層から公安刑事の内偵を命じられる。公安刑事が関わる企業の脅迫事件。登場人物もストーリーも、漫画のよう。ぼそぼそと描かれる本音が笑える。歩く汚物の刑事と、潔癖性の上司のやりとりなんかが筆頭。↑押すと続きが読める投票ボタンです。(ネタバレなし)読まれた方、アレは、いらんかったと思いませんか?(きついかな、ごめんね)あとは…おもしろいんだけど、ヒトゴロシの場面もさくさく軽快に描かれててつられてサクサク読んでからちょっとそれはまずいんでなかい自分、とぞっとする。その変の気持悪さが残りました。でも、久々にこれぞエンターテインメントだ!という小説に出会えてうれしー。次もさっそく予約しました。楽しみです。『溺れる魚』
『ストーンエイジCOP―顔を盗まれた少年』藤崎 慎吾光文社 (2002/08)面白かった。宮部みゆき『ドリームバスター』みたいな。といったら宮部みゆきアンチの相方は、「それは、ない」と言っていたけれど。近未来警察小説とあるけれど、舞台は警察業務の民間委託がされるようになった近未来。コンビニチェーン『4U(フォー・ユー)』のコンビニ警官滝田が主人公。ゴリラのような、類人猿のような、アボリジニのような風貌の巨漢。でもハートはあったかく、正義漢。お話もスピーディで面白かった。ぜひぜひ続きを…。あるの?ないの?ないなら書いてぇ。ドリームバスター同様、謎を残したままおあずけなんてつらすぎる。エンターテインメントの秀作に続けて出会えて幸せなわたしでした。さっき図書館から電話が。予約本が30冊もたまっているので早く取りにくるように、と。うわあ。明日行きます。『ストーンエイジCOP―顔を盗まれた少年』
『片想い』東野 圭吾文藝春秋 (2004/08/04)帯より。「帝都大アメフト部のOBの西脇哲朗は、十年ぶりにかつての女子マネージャー日浦美月に再会し、ある『秘密』を告白される。あの頃の未来にいるはずの自分たちは、変わってしまったのだろうか。過ぎ去った青春の日々を裏切るまいとする仲間たちを描く傑作ミステリー。」『「秘密」「白夜行」につづく待望の長編ミステリー』ということですが、そうですね、最初から最後まで、ずーっっとだれさせず、楽しませてもらえました。毎度ながら、お見事です。男であること、女であることはどういうことなのか。性同一性障害、罪を犯した仲間に対して自分は何ができるのか、そういったことをリアルに問いかけてくる。東野さんの小説はいつも、奇想天外でありながらひとごとでない感覚にさせてくれるのが、いい。いいけど、イタイ。そこが、いい。夢の中で殺人犯になったことが何度かあるんだけど、ばかばかしいことを真剣に考えて焦って。そんな感覚。この小説でいえば、美月の生理の場面。「手紙」でいえば、妻子がいじめにある場面。ディティールに手を抜かない、ミュシャの絵のようなこまかさ、見事さ。それに魅入られるのでしょうね、ファンは。私は。エンディングに向かう息もつかせぬ展開。ぬかりのない、幕引き。「敵」であり「仲間」の新聞記者の行動がまた、憎い。泣ける。私にも、あんな時代と仲間がいた。とても幸せなことだったのだ。でも。大切なのは、「今」だ。『片想い』
『凍える牙』乃南 アサ新潮社 (1996/04)直木賞受賞作。深夜のファミレスで突然燃え出した男性。遺体に残された獣の噛み跡。衝撃的なオープニングから期待しながら読み始めた。捜査に当たる主人公音道貴子に気持が…よりそえない。1/3ほどでつらくなってきた。ぎちぎちの男社会で孤軍奮闘する貴子。ヌード写真のカレンダーを平気で机に置いているような職場。これでもか、これでもか、と貴子をおとしめ、足をひっぱる醜い警察内部のオトコ社会。これらの描写が、私には、不要でした。今の私には、ね。ということでこの評価。横山秀雄さんだっけ、の『顔』がスキな人だったらきっとこれもおもしろいのでは。『凍える牙』
『家事をサッサと手放してしまう本』百瀬 いづみ講談社 (2003/05)家事に追われ時に憂鬱になる毎日を変えるためにできること。暮らしやすく、毎日気持良く過ごすために。小手先の技術を磨くのではなく、おうちや暮らし方を丸ごと構造改革。そう思い始めた人に具体的な指南をしてくれる本。サッサと読める本なので、是非どうぞ。ちなみに第一章*暮らし方を変えたら家事がラクになる第二章*自分の時間をつくるための家事対策第三章*家の中を合理化してすっきり暮らす第四章*無駄をなくして家事をシンプルにする手抜きしよう、こんな工夫をしよう、やらずにすまそう、とにかく捨てよう。こういうイメージをタイトルから抱くかもしれないけれど、たぶん違う。無駄を省いてゆとりを持とう、だけど、無駄なことでもそれが苦にならず好きなことだったらそれをするのも大事なこと。毎日できるだけ気持良く、笑顔で過ごせるように。あなたもわたしも、がんばりましょー。『家事をサッサと手放してしまう本』
『恋』小池 真理子新潮社 (2002/12)直木賞ということと、おもしろそうな筋書きにひかれて借りてみた。6時間程で一気に読んだのだけど、しんどかった。痴情のもつれということで殺人を犯した彼女が一生かけて守りたかった秘密。それがあきらかにされるまでの、ひっぱりひっぱりがきつかった。あっ、と驚く展開ではあったけれど、それ以前の登場人物のあり方に、へ?という感じだったから、それほどのショックも受けず。直木賞って…。著者入魂の犯罪サスペンスだということだが、入魂してない方が読みやすかったかな。入れてる方向と私が求める方向が違ってました。違うのあたってみようと思います。ただ、最後のあたりの犯人の孤独、そして少しだけほっとできるラスト。あれはよかったですね。『恋』
『大密室』有栖川 有栖 恩田 陸 北森 鴻 倉知 淳 西澤 保彦新潮社 (2002/01)余裕がないので、記録とひとことのみ。密室ものに法月綸太郎、貫井徳郎、北森鴻、倉地淳他が挑戦。おもしろいのもそうでないのも。印象に残っているのは、法月綸太郎『使用中』と山口雅也『人形の館の館』。密室好きなら、どうぞ。『大密室』
『悪夢の果て』赤川 次郎光文社 (2003/06/20)余裕がないので、記録とひとことのみ。傑作集とあるが、私もそう思う。重く、暗い、赤川次郎。ライトな赤川次郎も好きだけど、こういう重いのもたまにはいいね。
『七つの怖い扉』阿刀田 高 鈴木 光司 夢枕 獏 高橋 克彦 乃南 アサ 小池 真理子 宮部 みゆき新潮社 (1998/10)読み終えてから知った。このお話たちが、白石加代子さんの『百物語』のために書き下ろされたものだったこと。一度だけそのお芝居を見に行ったことがある。今でも彼女の周囲の空気の冷たかったこと、暗かったことを思い出し、ぞぞぞおっとする。誘ってくれたI先輩、その節はありがとうございました。書き手はそうそうたるメンバー。それでは面白かった順に紹介します。宮部みゆき『布団部屋』阿刀田高『迷路』小池真理子『康平の背中』高橋克彦『母の死んだ家』乃南アサ『夕がすみ』夢枕獏『安義橋の鬼、人を食らふ語』鈴木光司『空に浮かぶ棺』ちと、急ぎの用ができたので、これで。現実の困り事は、ほんと困るなあ。『七つの怖い扉』
『ハッピー・バースディ』新井 素子角川書店 (2002/09)痛い、それなのにどこかほのぼの、私のスキな、切なくなるお話。読書少女ではなかった私が思春期になって読みあさったのが、赤川次郎の吸血鬼シリーズと、新井素子さんのSF。奇想天外、しかも読みやすく、面白い。誰でも書けそうに見え、書けない。そして、多くの新井素子ファン同様に、私も「あとがき」が好き。帯より。『「いい気になるなよ」そのひとことが、わたしを殺す』『黄金の時。すべてのものが輝いて見える時。それは、愛すべき夫が作ってくれた幸せな世界。何よりも大事な世界が、あの日から崩れ始めたーー。』軽い気持で始まった、いやがらせ。いたずら電話。最愛の夫の死に目に会えなかった妻。新井素子風にいえば、さいっあいの、あたしなんかよりずうっとだいじな、うん、あたしなんてどうなってもいいから、きーちゃんを助けて。ほんっとに、ほんとに大事なきーちゃんだから。だから。きーちゃんがいなくなるなんて、そんなことあっちゃいけないの。そんなこと、だって、だって…。いたずら電話に耐えかねて、モジュラージャックを抜く。その間に鳴り続けた、そして届かなかった夫の事故を知らせる電話。私も似たような経験をしたことがある。届かなかったのは、肉親を亡くした恋人からの電話。今でも、「犯人」は許せない。意味不明な文章ですみません。とても面白いというか、読みごたえのある話でした。今も、いたずら電話でつまらな自己満足にひたってる「犯人」がたくさんいるのでしょう。それに苦しめられている被害者がたくさんいるのでしょう。もっと、楽しいことに目を向けようよ。くだらないこと、つまらないことはやめようよ。そうしたらもっと、毎日がつまらなくなくなるよ。きっと。「読書」が趣味で読むのにいそがしーなんて思えるようだったら、そんなことしなくてもいいかもしれないね。そんなに時間、もてあましているなら、ちょうだいよ。不足しているひとたちにわけてあげてよ。そんなこと、思った。『ハッピー・バースディ』
『すべてがFになる―THE PERFECT INSIDER』森 博嗣講談社 (1998/12)孤島のハイテク研究所で起きた殺人事件。ロボットに乗せられ花嫁衣装を着せられ、両手両足を切断された被害者は、天才工学博士真賀田四季。まったくの密室で行われた殺人事件の謎に、大学助教授犀川と女子学生萌絵が挑む。「理系ミステリ!」という噂を聞き,こりゃー相方向き、と借りてみた。↑押すと続きが読める投票ボタンです。(ネタバレ注意!)私はどうだったかというと、途中まで、つらかった。理系ミステリだけに?文系の私はさくさく読み進めることができず、えらい時間がかかった。とばしたらまずいかな?と思いつつ読んだ。まず導入部でひきつけて、ということらしいのだが、まずそこでつまづいた。さっぱりわからへん。つまんない。誰に感情移入したらいいの?気持がよりそえる人物がいないんだけど???でも読みかけてしまうと謎解きが気になるもので、最後までいけた。あっっと驚く、たしかに筋の通った結末だった。しかし。疲れた。この後もシリーズで続くらしいというか、すでに4冊借りてあるのだけど、相方いわく、↑押すと続きが読める投票ボタンです。(ネタバレ注意!)てことで、次はあるかなーないかなー。『すべてがFになる―THE PERFECT INSIDER』
『99才まで生きたあかんぼう』辻 仁成ホーム社 (2003/06)あかんぼうの、0才から99才までの人生劇場。見つめ続けるのは、「わたし」。カミサマ、でしょうか。人生の不思議さ面白さつらさもろもろが、1才ごとにカミサマのコメントつきで語られていく。面白かった。けど。なんかうまくいきすぎ?なんて思う私がネガティブ過ぎ?きっとそうなのでしょう。もうひとひねり、ほしかったな。『99才まで生きたあかんぼう』
『ゲームの名は誘拐』東野 圭吾光文社 (2002/11/19)久々の東野圭吾さん。読了。いいっ。おもしろいっ。よみやすいっ。すきすきっ。もっとよみたーい。期待通りに楽しめました。ラストが気になるんだけど、あれってどっちだったんでしょ?切り札を手にして、さあどうなる。悪い方には考えないでおこう。ゲームだし、ゲーム。あさはかな予想をしながら読んで、それが気持良く裏切られ、また裏切られ、そしてまたまたひっくりかえされ、読者はもう大変です。それが気持よく、ジェットコースターに乗る怖い物みたさみたいな快感を得られた。また読みたいな。『ゲームの名は誘拐』
『もうひとりの私をゆるしてあげよう―幸せなアダルトチルドレンになるために』金盛 浦子ベストセラーズ (1997/07)副題の、「幸せなアダルトチルドレンになるために」。そう。アダルトチルドレンかどうかだとか、免罪符だとか甘えだとか、そういうことにこだわることなく、ACでもそうでなくても、幸せになるために。そのためにできること。必要なこと。それを考えたい、知りたい。心の琴線にふれたところ。「私はね、自立って、周囲の人に上手に迷惑をかけられることなんじゃないかって思ってるの。それと、周囲の人がかける迷惑を、上手に、適切に背負えることかな。(略)なんでも自分で背負い込もうとするのは、ちっとも自立じゃないよね」(P75)「私はね、親が子どもに伝えてやれる最高の財産は、幸せな心もちなんだと思うように鉈んです。どんな場面であっても、不満や不平をいう前に、幸せの材料を見つけられる力。それさえあれば、この人生はどんなふうにでも歩いていったっていいんですよね」(P191)この本の中で、癒しの過程としてインナートリップが紹介されている。過去の自分のところへ行き、怯え、不信になり、孤独で泣いている子どもの自分をなぐさめ、認める。そして抗議するべき対象に正当な怒りをぶつける。(実際その対象にそれをするかは別)私は、知らなかったけど、やっていたようだ。行かなくても、こどもの方からやってきてた。感情が麻痺したり抑えられないような何かきっかけがあると、その子はやってきて、一緒に泣いた。一緒におびえた。ずっと一緒だった。ある時支えてくれる人が現れて、今の自分が今の自分でなんとかやっていけそうになった。そして初めて、その子に「大丈夫だよ」「泣かなくていいよ」と声をかけてあげられるようになった。今はかなりその子もたくましくなれたけど、それでもダメなところはあって、時々真っ白になる。自暴自棄になる。なにもかも、どうでもよくなる。誰でもまっさらな状態で生きてくことはできないし、それでいいのだろう。でも、不要な傷は増やさないでいきたい。ナイフを持たないのではなくて、ナイフの使い方を覚えることが大事。このテの本が、早くつまらなく感じられるようになるといいな。『もうひとりの私をゆるしてあげよう―幸せなアダルトチルドレンになるために』