抱擁の意味 |
朝、目覚めてすぐに、彼の声を聞く すると、私は彼の温かくて真綿のように包まれるその胸に抱きしめられたくなる。 彼の胸の中に包まれると、また心地よい夢の世界へと帰れる気がするからだ。
男の人は、セックスの後、それまでがピークの100%だとすると 終えた直後は一気にマイナス点まで降下するらしい。 それは、男女の体の仕組みなのだから仕方のない事だと私は認識している。 けれど、彼はいつもその後も私を優しく愛しむように抱きしめてくれる。 そんな彼が私には誇らしくベストと思える。 むしろ、私の方が彼より先にベッドから這い出すのだから。
今朝も、いつものように目覚めてすぐに抱きしめて・・・と言った。 彼は「ダメ」って。 「君は、俺を好きだから抱きしめられたいのでしょう?けどね、君が言うように君の心の中で理解していることと、俺が理解している事は違うのだよ」と。 私は、急に甘い夢から覚めたように「もうっ、いいっ」と言い放つ。 彼の小さな私に対する抵抗なのだろう・・・。
「ねぇ?こないだ、君が熱を出している時に、俺は寝かしつけたり、頬や頭を撫でたりしたでしょ?あの時、どんなこと考えてた?」と彼が聞いてきた 「うんとねぇ。具合悪いのに幸せだなって思って、これがずっと続くといいのにって思ってたよ、そして、あなたが俺がついているから大丈夫だよ、早く元気になるんだよって言っている気がした」と答えた。 「そっかぁ。けど、俺はね、ただ可愛くて仕方がなかったよ。もちろん俺がついているからね、とか守ってあげるとは思ってたけど、可愛いな〜って思ってたんだよな」と彼。
けれど、彼はあの時も私の甘えは許してはくれなかった。 甘えると私はどんどん悪化して、きっと病院に行くことさえしなくなると思ったのだと。 彼の思慮はいつもとても深い。 私の潜在意識の中にあるものさえ、自分で気付かない部分まで彼は見越してしまう。 それが、私にはちょっと悔しくて、変に負けたくない気持ちにすらなる・・・。
いつもの優しい彼に戻って「本当は、俺も抱きしめたいのにさ」という彼の言葉を遮るように私は「もうっ。ばかっ。」と言いながら仕事に行く彼を見送った。
ほんと、素直になれなくて可愛くないな・・・って自分でも思う。
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2005年03月31日(木)
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