hazy-mind

2006年12月04日(月) 無題

『不安定な矛盾』(仮)

あなたは世界のすべてが
世界のすべてだと思っていない

あなたは弱くて、臆病で、無力な生き物
私のそばにいればいい

私は、あなたが強くなってしまうことを恐れる
私がそばにいる理由がなくなってしまうことを恐れている。

私は
私はあなたに翼が生えてきたら
それを切ってしまいそうで寂しい
そしてあなたがそれを咎めないとわかっているのが寂しい

いつも私が後ろから抱きしめているのは
いつかあなたから翼が生えてきそうで嫌だから

あなたは世界のすべてが
世界のすべてではないと思っている。

私は
私があなたの世界でいられるうちに
あなたの根を
けしてはなれないほど強く、深く
私の身体にはりめぐるのを願いながら
あなたの背中を抱き
生えてくる翼を押さえ
代わりに根がおりてくるのをまっている。


なんにもこわくはない
だいじょうぶ

なんにもこわくはない
だいじょうぶ

まだ


ただ私は幸せであり
ただ私は・・・

臆病で無力なのは私だ

私は恐れている
とても恐れている

怖いのは、夜空ではなく、希望に満ちた青空

希望に向かってあなたがここを
飛んでいってしまうのなら、
ずっと、夜のままでいい。


私は人間で
あなたも人間だということは

それは

あなたに翼なんて生えないことを意味しているのか
私にも翼が生えるかも知れないということなのか

私はあなたの世界になれないということなのか
あなたの根が私に強く根付くことはないということなのか


マンドラゴラという植物は
世界から引き抜くと悲鳴を上げて息絶える
悲鳴を聞いた世界も息絶える

私はそれを望んでいるのか・・・

さみしい、かなしい、空想。

あなたは
世界のすべてが
すべての世界ではないことに気づいている。

見えるものと見えないものにしか
存在を二分できない私を可哀想とおもっている。

あなたは、弱く。臆病。無力。
私のそばにいることくらいしかできない。

今はまだ。


哀しいのは、夜空ではなくて、青空

あなたが人間だということと

私も人間だということ


そして
マンドラゴラになってくださいと
いえない私と

マンドラゴラになりたいと

いえない私


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