hazy-mind

2002年04月29日(月) 『無題』 詩


この世界はおかしいって
そんなこと、みんな知ってるよ
誰も言わないけど、みんな思ってるよ

だけど僕はここで生きていて
たまに、楽しいんだ
世界はどこか狂ってるけど
僕は生きてることが楽しいんだ

真実なんてどこにもないって
君はおもってるんだろ?
ごみ箱をひっくり返してみたって
落ちてこないって
思ってるんだろ?

僕らが探せば、それはきっとあるよ
僕は、それを君と一緒にみたいんだ

見つかるまで一緒にいたいんだ
見つからなかったら死ぬまで一緒にいようよ

君は、どこにもないって言うけど
僕はテレビのチャンネルを回して消すたびに
どこかにあるって思うんだ
探しにいこうって思うんだ

傍にいてくれないかい?
傍にいたいんだ

この世界が変だってみんな知ってる
真夜中に泣いてる赤ん坊だって知ってる

僕は間違ってるかもしれない

でも君がいると、うれしいんだ
いっしょなら見つけられる気がするんだ

見つかるまで一緒にいたいんだ
見つからなかったら死ぬまで一緒にいようよ

真実を見て君が笑ったら
僕はどうしよう






2002年04月27日(土) 『散歩』 詩





旅はよいです、ただひとりだとやっぱりすこし さみしいです

もうすぐ秋ですね、旅にはいけなくても

散歩しやすい季節です。散歩はよいです

今度都電の終点までちんちん電車に乗っていって

風景を見ながらゆったりと行きたいです

終点についたら今度はそこから、はじめに乗った駅まで

ゆっくりゆっくり歩いていきたいです

何時間かかるかわからないけれど

風景とか時間とか空とかを見ながら

隣に君がいたら、君といろんな話をしながら歩きたいです

あぁ、でももう君はいないんだね

じゃぁ、僕は、たまに笑いながら、歩きます

すこし涼しくなっていて欲しいです

その日は長袖を着て歩きたいから

そしたら自分の温度がわかって、すこし安心します

いろんなことを考えたり

何も考えなかったりしながら歩きたいです

知らない道だったらうれしいです

静かな道だったらうれしいです

公園があったら寄り道して

おなかが減ったら、牛丼を食べて

雨が降ったら本屋に入って

でも、いい雨だったら浴びながら歩きたいです

時々止まって、自分の位置を確かめて、家と人と犬と猫をみます

それから自分の手を見て、また歩きます

その時笑えたら、すこしうれしいです

早く着きそうだったら、遠回りします

君にいえなかった言葉を考えたり

君に言いたい言葉を考えたり

でも、もう君はいないから

僕はやっぱり笑って歩きます

その時、子供の笑顔が見れたら、すこしうれしいです

駅についたときもう日が落ちていて

終電が終わっていたらうれしいです

そこに誰もいなかったらうれしいです

誰もいない駅でこない電車を待つのはうれしいです

何も見ないで五分待って、また歩きます。

そこでもし涙が出たら、止まるまで待ってまた歩きます

家の近くまでついたら、コンビニに入って

ねむくなるまで立ち読みして

ねむくなったら帰って寝ます

そんな散歩を今度したいです



君は、たまに、歩いていますか

歩いていたら、僕はそれで、十分です





僕は急に泣くけど

夜に泣くけど

やさしい人になりたいです

おくびょうになってもいいから

いろんなことをたくさん考えて


やさしい人になりたいです




2002年04月26日(金) 『グッバイワールド・ハローワールド』 小説




日常、僕の日常は変わらない。


いいんだ。
安定、それがいい。
いつからこんな日常を過ごしているか憶えていないけど、
生活に安定をもとめだしてからは、不幸な目にあっていない。
だからこれでいい。

たとえばある日何事もなく世界が平穏無事に過ぎたとしよう。
それから後は毎日その日とまったく同じ行動をすればいい。
そうすれば、最初の日と同じように平穏無事な日を過ごしていける。
現に僕はそれを実行して今生きている。

・・・(そんなことはありえない)と思うかもしれない。
だけどね、もうずっと前のことだけど、わかったんだ。
毎日、駅の売店の女の子が僕にかける言葉はいつも同じだし、
出勤してオフィスに行くエレベーターに乗る同僚は、毎日同じ顔ぶれ。
そう、みんな僕と同じなんじゃないかって、
少なくともぼくの日常に登場する物や人はすべて、
みんな安定を求めて生きているんだって。

理想的な日常、環境

あきる?そんなことはない、常に少しのミスも許されない緊張感があるのだから。
そしてそれをこなすことで毎日達成感と満足感が得られる。
自己記録を伸ばしつづけるスポーツマンのようなものだとぼくは思う。

そして僕の日記はいつも一言だけ『異常なし』
僕はこの言葉を書くたびに最高に幸せな気分になるんだ。
そして幸せな気分のまま約束された明日へ眠りにつく。
今日も明日も明後日も毎日ずっと。




いつもどおりの時間に目を覚ます。
いつもどおりにパンと牛乳と栄養ドリンクを、腹に入れ。
いつもの順番で身支度をして会社に向かう。
ミスはない、完璧だ。
いつものように自信たっぷりで会社へ向かう。

いつもどおり駅の売店でタバコを買う。
店員の女の子はいつもの笑顔で言う「おはようございます」
あの子のあの笑顔も、日常を守れた喜びからなのだろう。
気持ちはよくわかる。


いつもどおりの時間に会社につき、
いつもどおりの業務をこなす。
みんな必死に働いている。もちろん僕もだ。
これも当然のことなのだ。誰かひとりのミスがみんなの日常を壊すことになるから。


それからもいつもどおり過ぎていった。


いつもどおりの時間に仕事が終わった。
後はいつもの人たちとエレベーターに乗って会社を出るだけだ。
だけと言っても、一日で一番緊張する場面だけど。

エレベーターに乗るのは僕が最後と決まっている。
ドアが閉まりそうなエレベーターに向かって、少し走りながらこういうのだ。
「まってください!」
(よし、ドアが開いたぞ、このタイミングが難しいんだ。でも今日も完璧だ。
次は「すいません」と笑顔で言ってエレベーターに乗り込む・・・・・・?) 
なんだろう?何かわからないけど、おかしい、
エレベーターの中の人たちがみんな少し青ざめている。
それにエレベーターの中の雰囲気がいつもと違う。

なんだ?ちがう!いつもとちがう!!


(・・・落ちつけ、落ちつくんだ。顔色が悪いのはたぶん体調が優れないからだろう。
それくらいの事ならまた明日もとの日常に戻せる。
・・・そうだ、僕がここで日常を止めてしまったら、みんなの日常すべてが無駄になる。
のるんだ!エレベーターに乗らなくちゃ!)

そう思って、一歩足を踏み出そうとした時。
エレベーターの中の人々が皆、不安げな視線を同方向に向けていることに気付いた。
そしてその視線の先(エレベーターの隅)に立つ女の子を見て、僕はまた足を止めた。
(・・・誰だ、この女の子は?いつもこのエレベーターに乗っていたか?
いや、いなかった!おかしいおかしいぞ。やっぱりこのエレベーターはおかしい!
いつもとちがう、ちがう!異常、異常だ、異常だ!
だめだこのエレベーターに乗ったら! でもどうしたらいいんだ?
僕の日常では乗らなくちゃいけないんじゃないのか?
・・・だけどあの女の子は今までの日常には存在しなかったはずだ。
嫌な予感がする。もしこのエレベーターに乗ってしまったら、
日常が、この安定した日々が壊れて、異常に巻き込まれてしまう気がする。
どうしよう、どうしよう、どうしたらいいんだ!?)


ガシャン



考えているうちにエレベーターのドアが閉じてしまった。
「あ・・・」
ゾクっとした。さっきまであんなにかいていた汗がすべて引っ込んだ気がした。

ようやく気が付いた。エレベーターに乗るにしろ乗らないにしろ、
それはどちらも日常とは違う行為であり、僕にはもう異常から逃れる術がなかったのだと。

(ダメだ混乱しちゃダメだ。これ以上日常を壊しちゃいけない。
落ち着くんだ、落ち着いて考えるんだ。とにかくすぐに会社を出よう。
そしてすぐにいつもどうりの日常に戻るんだ。そうすれば、まだ修正は出来るはずだ!)
そう思って僕は次のエレベーターに急いで乗り込んだ。

だけど、僕の頭はまだ混乱していたんだ。

そのことはエレベーターの中の人々の表情が教えてくれた。
彼らの反応は驚いたなどというものではなかった。
恐怖、そういったほうが適切だろう。
でも、誰一人として僕を責めたり、驚きの声を上げたりする人はいなかった。
みな、出来るだけ自分の日常を守ろうとしているから・・・。
僕は彼らまでも異常の渦に巻き込んでしまったのだ。
僕は誰にも見られずに自分の日常に戻るべきだったのに。

青ざめた顔をした彼らのうちの一人が閉まりかけたドアに気づき、
慌てて開くボタンを押した時、僕は自分のしたさらに大きな過ちに気づいた。
「どうも、ありがとうござい・・・・・・・」
そういいながらエレベーターに乗り込もうとした男から笑顔が消えた。
いや、正確には笑った顔のままだったけど、彼は明らかに動揺し苦悶していた。
多分僕もついさっきこんな顔をしていたのだろう、
彼が何を考えているかが手にとるように分かる。
僕は謝罪の気持に押しつぶされそうになり下を向いた。
彼に僕の過ちを教えようとは思ったが、そんな異常なことがいえるわけなかった。

そして、すぐに、本当にすぐにエレベーターのドアは閉まった。

下へ向かうエレベーターの中は絶望と怒りの空気でいっぱいだった。
それらはすべて自分たちを異常に巻き込んだ僕にむけられたもので、
もし彼らが日常を守ることを忘れていたら、僕は殺されているかもしれない。
異常を許すことなんて僕にたちには出来ないのだから。

エレベーターが下に着き、ドアが開いた直後に僕は走った。
とにかく一分一秒でも早くいつもの日常に追いつかなくてはならない。
僕のこの異常の原因になった女の子を捜して
「明日からいつもどうりにしてくれ」と言おうとも考えたが、
おそらく彼女も僕と同じでこの異常に巻き込まれただけだろう。
原因が何かなんて探している場合じゃない。


僕は走った、誰にも見られないように


(よし、間に合った。ここからもどろう)
そう決心して、僕はいつもと同じ時間に、いつもと同じ場所で
いつもと同じタクシーを止め、それに乗った。
全力で走ってきたから僕は少し息がきれていたけど、
運転手はそのことには触れずにいつもどおりに対応してくれた。
「毎度!いつものところでいいですね」
「はい!」
あたりまえのことなんだけど、いつもどおりの行為にうれしくて、
ついいつもより元気に答えてしまったが、このくらいは異常にははいらないだろう。
よかった、日常に戻れたようだ。


いつもどおり雑貨屋で商品をながめたり、本屋によってから、行きつけの店に入る。
いつもと同じメンバーが集まっていて昨日と何一つ変わらない。
僕はそれに混じって、いつもと同じ話に花を咲かせ、
いつもどおりの日常を過ごせたことにみんなで乾杯し、夜中まで騒ぐ。
すこし、エレベーターのことが引っかかっていたけど、
ここでいつも以外の行動をすることなんて出来ないから
僕もいつもどおり楽しんだ。

その後も僕は日常どおりに過ごした。
そしてもうなんの異常も起こらなかった。
帰りの駅のホームではいつもどおりの恋人たちのキスシーンを見て、
コンビニでパンと牛乳と栄養ドリンクを買って、
家のそばにある踏み切りで、左から右へ通過する電車を待って。


そして
いつもどおりの時間に家についた。
軽くシャワーを浴びて、酔いを覚ます。
それからテレビでいつものニュースを見る。
ニュースを聞いている間、僕は少し緊張していた。
「今日も、なんの事件も起こらず、いつもどおりの平穏な一日でした」
キャスターがいつもどおりの笑顔でそういったのを聞いて、ほっとした。
やっぱり大丈夫だったみたいだ。

(よかった。さぁ、後は日記をつけて眠るだけだ。いつもどうり日記に一言だけ・・・)


そう思って日記をつけようとした僕は、一瞬、
ほんとに少しだけ躊躇したけど、思い切って「異常なし」といつもどおり書いた。
だけど、いつものような充実した幸せな気分にはなれなかった。

(大丈夫さ、また明日からは昨日と同じ日常が過ごせるはずだ)
そう自分に言い聞かせながら、僕はいつもと同じ時間に眠りについた。


翌日


昨日と同じ時間に目を覚ます。

(さぁ、今日からまたあのすばらしい日常が始まる。昨日のことは忘れよう)
そう意気込んで僕は身支度を始めて、テレビをつけた。
朝のニュースを見るのが日課なのだ。
テレビなんだけど、僕はいつもラジオのように使っている。
つまり、音だけ聞きながら洗面所で顔を洗ったりするのだ。
そしていつもの聞きなれた声が聞こえてきた。

「おはようございます、○月×日、朝のニュースをお送りいたします」
(?・・・なんだろう)
いつもと同じ語りだしなのに、僕の中で何かが引っかかった。
数秒後、歯をみがいていた僕はその疑問の答に気づき手が止まった。
(日付だ、日付が変わっている!今までずっと○日だったのに、
今確かにキャスターは×日と言った!)
心臓の鼓動が低く重く体に響き始めた。
だけど僕はすぐに歯みがきを再開した。今のがただの聞き間違いだと祈りながら。
「みなさん、落ち着いて聞いてください」
(おかしい、いつもは『今日も一日穏やかな天気が続くでしょう』のはずだ)
「先ほどもお伝えいたしましたとおり、今日は、○月×日です。
いつもの○日ではありません。・・・日付が変わっています」

それに気づいたのは僕だけじゃないだろうが。
キャスターは平常心を保とうとしていたが、声はかすかに震えていた。


僕の全神経はもうすでに耳に集中していた。
目を開けているはずなのに何も見えていないほどに。
「結論から言います。異常です。異常がおこっています。」

『異常!』、その言葉を聞いた僕は、僕の脳は崩壊し、
ただ立ち尽くしていた。呆けるとはこういうことを言うのだろう。
その後も、キャスターは長々としゃべっていたけど、
僕の耳は断片的にしかそれを捕らえることが出来なかった。

「詳しい原因はわかっておりません、専門家など、いないのですから。
この日常を過ごしてきた多くの人がそうでしょうが、私の場合、
いつからその日常を続けていて、もう何度繰り返してきたのか覚えていません。
そして日常を始める前の自分の記憶も当然、思い出すことが出来ないのです。
しかしそんなことを疑問に思ったことなど一度もありませんでした。
何より、日常に満足していたからです。
・・・テレビの前のみなさん、繰り返し申し上げます。異常です。
今、すでにいつもの日常ではありません、あなたの一日は保証されていません。
どんな事件がおこるか誰にも分からないのです。
交通事故、仕事上のトラブル、強盗、殺人、何がおこるかわからないのです。
これは私個人の意見ですが、もし安全でいたいなら、
とりあえず今日一日は家の中でじっとしていることをおすすめします。」

僕は居間までテレビを消しに行った後、また洗面所に戻り歯みがきをはじめた。
だけどすぐにそれをやめ、ソファーに座りこんだ。本当に座り込んだ。
(どうする? どうする? どうする?)
そう、自分に三回問い掛けてみたけど、何も答は浮かばなかった。
当然のことだった。

僕はいつもどおり会社に行く仕度をはじめた。
ニュースキャスターは家でじっとしている方がいいと言っていたけど、
いくら異常になっているとはいっても、
僕にはやっぱりいつもと違う行為をするのはつらいことだ。

(とりあえず今日は出来るだけいつもどおりの行動をしてみよう)

そう決心し、僕はいつもと違う世界へのドアを開いた。


家から駅までの道、いつもと何も変わらない道、
いつもと違うのは僕がとても緊張していることだけだった。

そのままいつもと何も変わったこともなく駅についた。
駅の様子はいつもと何もかわらなかったけど、
僕も他の人達もまだすこし不安げな顔をしていた。

いつもどおり売店にタバコを買いに行くと、
店員の女の子は僕の姿を見ると、ほっとしたような顔をして
「おはようございます」と言った。
そのすこし不安げな笑顔を見た僕は思わず
「大丈夫だよ」と言いそうになり、すこし慌ててそこを離れた。
(こんな風に思うこと自体、やっぱり異常になっているのかな?気をつけなきゃ)
地下に下り、地下鉄のホームに行く。
ホームで電車を待っている人々は僕も含め皆、気持ち、辺りの様子を気にしていた。
だけどすぐにいつものホームの風景だとわかり、僕らはすこし安心し、
だけど、やっぱりすこし緊張しながら電車を待っていた。

電車はいつもどおりにダイヤ通りに正確にやってきた。
そして電車のドアが開く
その時僕の頭の中を昨日のエレベーターのことがよぎった
だけど、僕は意を決していつものように
電車に乗り込みまっすぐにいつもの座席に座った。
この駅は始発の駅に近いから、朝のこの時間帯でもすわることができるのだ。
そして心の中で深呼吸をして僕はゆっくりと車内を見た
車内の様子はいつもと変わらなかった。人もいつもと同じ顔ぶれ。
なんだかみんな、安心したような顔をしている。
(そうだよ、いくら異常が起こっているからって、
あの日常を過ごしていた人々がみんないつもどうりの行動すれば、
いつもと何も変わらないんだ!)

僕はうれしくなってすこし微笑んだ。みんなもうれしそうだ。
いつも電車の中は朗らかな雰囲気だから、べつにかまわない。

暗い地下を行く電車のなかはいつもよりすこしだけ明るい気がした。


会社のある駅まで一時間半ほどかかるから、
僕はいつも駅に着くまで眠ることにしている。
「つきますよ」といって起こしてくれる役の人がいるから寝過ごすことはない。
彼は会社の同僚で電車の中ではいつも僕の正面に座っている。
彼とは会社や他の場所では話したことはない、この電車の中だけの関係だ
いつもどおり彼が乗り込んできたのを確認し、
僕はいつものタイミングで眠りについた。



「つきますよ」
その声を聞いて僕が眠りからさめた時、車内から明るさが消えていた。
静かだった。さっきまでの賑やかさがうそのように。
そしてみんな外を見ていた。僕を起こしてくれた彼も。
(会社のある駅は地上にあるから、電車はもう地下から出ていた)
みんな無表情だった。
僕はすぐに後ろを向き、窓の外を見た。
・・・みんなのそれも、僕のも、いつもどおりの行動じゃなかったけど。

(雨だ。雨が降っている) そう思った
僕は異常が起きていることには驚かずに、ただ、そう思っただけだった。
僕が驚かなかったのは、夢を見たからだ。
さっき眠っていた時に、昔の夢を。
夢の中でも雨が降っていた。
そして僕はあの日常がはじまる前のことを思い出した。
そして僕は理解した。

電車を降りて駅を出ると、何人かの人々が空を見上げていた。
弱い弱い雨を浴びながら、すこしボーっとしながら、空を見ていた。
僕はその人たちの間々をとおり、歩いていった。
途中何人か傘をさしている人を見かけた。
それはみんな知らない人だったから、
たぶんあの日常に参加してなかった人達だろう。

会社に行くと、同僚の何人かが休んでいた。
たぶんあのニュースキャスターの言葉を信じた人たちだろう。


この日の仕事は大変だった。
小さなミスがたくさん起きたり、客からの苦情の電話も何本もあり、
休んだ人たちの分も働き、とても疲れた。
『日常』ではこんなことなく仕事もすべてうまくいったのに。
『日常』に出てこなかった人たちとたくさんあったが、
別になつかしくはなかった。当然だ。
たぶんニ、三日前くらいにはあっているんだから。


僕は理解した。あの日常がなんだったのか。

(こんな日がいつまでも続けばいいのに)
そう思ったことはない?
とても気持のいい天気の日で、
朝から気持のいい挨拶を売店の女の子がしてくれて、
仕事も何もかもうまくいっていて、
気の合う仲間達と酒を飲んで騒ぐ。

僕はあの日、そう思ったんだ。心から。
そしてそう思ったのは僕だけじゃなかった。
あの日に登場したすべての人達が、偶然(偶然としかいいようがない)
(こんな日がいつまでも続けばいいのに)
そう思ったんだ。
とても多くの人間の思う力が時をゆがめた・・・
ここら辺のことはよくわからないが、
とにかくみんながそう思ったから、あの日常が始まったんだ。

そういうことが起こったりしても不思議じゃないだろう。
現に僕らは体験したんだ。

なんとか仕事が終り、エレベーター乗り場に向かった
ちょうどエレベーターが来ていて、ドアが閉じかけていたから、
僕は「まってください」といってドアを開けてもらった。
「すいません」と言いながら乗り込み、ボタンを押してくれた人の顔を見ると、
それは何度も『日常』の中で見た顔だった。
まわりを見ると、他の人たちも皆同じで、
『日常』のエレベーターの場面とまったく同じだった。


「ぷっ」

誰か一人がふきだすと、みんな笑い出した。
僕もなぜかすこしおかしくて笑った。
そのうち誰かが言い出した。
「おれ、明日からがんばるぜ、『日常』に負けないくらい楽しい一日を作るために。
だっていつまた『日常』になるかわからないもんな」
それを聞いて誰かが言った
「そうだよな、じゃあおれは思い切って転職しようかな。
実はほんの少しだけこの仕事よりやりたい仕事があったんだ。
またいつか日常が始まるなら、一番やりたいことやってなきゃ損だよな」
また別の誰かは
「あたしは習い事をはじめる。テニスとかなんて面白そう」
「おれはめちゃくちゃはたらいて、金ためて、豪遊してやる!」
みんながみんな、ちょっと興奮していて、いろんなことを言っていた。

僕は何も言わなかったけど、一緒に笑っていただけだった。
でも、心の中では思ってたんだ。

(そうか、じゃあ僕は明日、売店の女の子に声をかけてみよう)


これからこのメンバーで飲みに行くみたいだ。
みんなで夢を語り合うらしい。
どうやら帰りは遅くなりそうだ。
でも今日の日記になんて書くかはもう決まっている。



『さよなら、あのすばらしい日常。
そして、こんにちは、いつもどおりの異常な世界。
僕はこの世界で生きるよ。
そう、過去のあのすばらしい一日より。
幸せになれるように。』






2002年04月25日(木) 『通過儀礼』 短編

昼過ぎ、家を出た。
もう少し早く行こうと思っていたけど、
あれこれしていたら、結局昼をすぎていた。

これに何の意味があるのかわからない。
意味なんてないかもしれない。
ただ、今日あそこにいこうって事は、
前から思っていたことだ。

川沿いの道をとおって、駅まで歩く。
いつもは川ばかり見ながら歩いているけど、
今日は行き交う人達の顔をながめていた。


冬なのに、今日は少しあたたかい。
天気予報を見ていたけど、雨が降らなくてよかった。


駅をすぎ、急だけど短い坂をとおって、
人通りの少ない住宅地に入る。
この道をとおるのも一年ぶりくらいだろうか。

目的地の公園はすぐ近くだから、
少し、ゆっくり歩いた。

去年、この道の右側に立っていた家が、
骨だけになっていた。
カタツムリのいた庭ももうない。
春にないていた蝉のいた木もない。
あの蝉は、誰かを見つけることが出来たのだろうか。

公園の入り口が見えてきた。
そんなに大きな公園じゃない。
あたたかい季節はいろんな人たちがいるけど、
今は冬だから、たぶん誰もいないだろう


・・・女の人が1人、三人がけのベンチに座っていた。
その人は寂しそうな目で誰もいないところを見ていた。
目からは少しだけ、涙が流れていた。

ほとんど何も考えずに、自分は隣りに座っていた。

そして手をにぎって・・・


・・・


うそだ。
本当は公園には誰もいなかった。
誰もいないベンチに1人で座った。


今日、まだ一度も笑っていないことに気づき、
すこし、笑ってみた。


今日はやっぱり、なんだかあたたかい。
寒い冬もいいけど、あたたかい冬もいい。


五分くらい座っていたけど、
立ち上がって公園を出た。

別に誰かをそこで待っていたわけじゃないから、
誰とも約束なんてしていなかったから、
誰もこないと知っていた。

これに何の意味もないことなんてわかっている。
でも、いいんだ。
自分が自分であるために、
これは無駄なことではないから。




道に止めてある車の窓にうつった自分は、
みたこともない顔をしていて、
(こんな表情もできるようになったんだ)
と、おもって。

笑って。帰って。寝た。



2002年04月24日(水) 『それは寂しいことだけど』 詩



夜 2つの大通りの交差点で ぼくは信号待ちをする
僕のまわりには人がたくさんいて 向こう側にも人 人 皆まっている

いろんなものが光っている 信号 車のライト 街灯 看板 店
僕はメガネをかけているから 光がすこしにじんで大きく見える

街のあかりの中でみんな時計をみたり 電話を見たり 下を向いたり
信号をみたりしながら まっている

逃げ場がなくなった 僕は 空をみた 月があった

月をみたのはいつぶりだろう 月はいつも上でかがやいていたはずなのに


信号はまだ赤だ


僕は周りを 一度 みわたして
また月を みて おもった


今、月が消えてしまったとしても
ここにいる人は誰一人として 空をみあげたりはしないんだろうな

でも もしここにある 光が
今 全部 消えたら みんな 月をみるんだろうな


信号はまだ赤だ



2002年04月23日(火) 『サボり』 短編


朝。

寝坊した
高校に入って初めてかな
とりあえず、学校へ向かう
冬なのに今日は少しあたたかい

駅。

いつもより少し遅いだけなのに
人がとても少ない
こんな駅だったんだ

電車。

いつもよりすいてる
座れたのは初めてかもしれない
まだ席がたくさん空いているのに
立っている人たちがいるのは何でだろう
ここから見たらまるで
一つの風景画みたいだ

風景。

満員電車の時はいつも下を向いていた
なにも見ていなかった
でも今は座って外を見ている
ビルとビルの間を走る電車
ビルの窓に電車が映る
まるで空を飛んでいるみたいだ
今まで気づかなかった
もうすぐ、学校のある駅
まだついてないけど立ち上がり
ドアの前に行く
駅に着き、ドアが開く

路線図。

なんとなくドアの上の路線図が目にはいる
そのままドアが閉じ、ついおり忘れる
でも、わざとかもしれない
この電車、こんなに遠くまで行くんだ
路線図みたのは初めてじゃないのに
家のある駅と学校の駅の間しかみてなかった

終点。

路線図に乗ってる名前も知らない駅
行ったこともない
このままあそこまで乗って行ったら
新しい何かが始まるのかな

次の駅。

ドアが開いたから
なんとなく降りた
学校へ行こう

でも
今日は少しあたたかいから
ここから歩いていこう



2002年04月22日(月) 『あめいぬ』 詩




生きていると、たまに(うそだ)と思うことがある
こんな現実はうそだと
認める、認めない、好き、嫌いじゃなくて



雨に打たれながら 犬がこっちをみている
雨宿りをしているぼくをみている



たまに歌を聴いていると(うそだ)と思うことがある
あぁ、この人たちはうそを歌っているんだ、と


雨犬にすこし近づいてみる


ぼくは、ぬらしちゃいけないものを持っているけど
ぼくはぬれてもかまわないから

カバンを置いて すこし 雨犬に近づいてみる



雨犬は動かないでただぼくをじっと見ている


近づいた 
けど 

あげる傘をぼくは持っていない


そこから少しも動けない


何のために 近づいたのだろう

雨犬もぼくも、雨がやむまで動けない





たまに生きているとうそをつくことがある
世界を変えたいと おもって





2002年04月21日(日) 『仮面』 詩

私は今 笑っています
とてもさみしそうに笑っています

自然な笑顔の仮面がほしいのです
誰にも嘘だと気づかれない仮面

私は今 笑っています
とてもいやな顔で笑っています

なんでこんな風に笑っているのだろう
なんでこんなにさみしいのだろう

あぁ そうか  今夜は満月だ

全部満月のせいにしよう



2002年04月20日(土) 『なやみのたね』 詩




ぼくははじめてあったキミから悩みの種をもらった
悩んだあげく、ぼくはそのタネをこころのなかに植えた


よろこびかなしみくるしみとまどいたのしみしあわせいかりいのり
まよいはがゆささみしさきたなさうまさねむさつよさ
よわさはかなさおもしろさしんじるうらぎる
ウソのホントとホントのウソ


どんな肥料をあたえても いくら涙をのんでも けして芽を出してはくれなかった
だんだん意地になってきた 絶対に花を咲かせて ゆっくり眺めてやろうと思った

さんざん悩んだあげく けっきょくぼくはキミに教えてもらうことにした



初めてキミにあった場所でぼくはキミをさがした 謎を解く鍵をさがすように
やっとみつけたキミは ぼくに気付くと軽く会釈 ぼくも反射的に会釈
とおりすぎていくキミ みおくるぼく 口から言葉はでない
ぼくの悩みの種は もう芽をとおりこして花になっていたから

その花は心の中に飾っているだけで ぼくをいい気分にしてくれた


咲いたりゆうはわからなかったけど その夜はひさしぶりに気持ち良く眠れた


次の日の朝 花をみようとしたぼくは おもわず微笑っちまった
心の中に花はなく まんまるい実のなかからたくさんのタネがこぼれだしていた



あぁ ナヤミノタネはふえるばかりだ



ねがわくば ぼくがこの世を去るときは


ぼくのこころのなかがいろとりどりの花で咲き乱れている瞬間でありますように









2002年04月19日(金) 『白身じゃないんだ』 詩 って言うかダジャレ


                黄身が悪いんだ
              まさか腐ってたなんてね
               気が付かなかったよ
                白身じゃないよ
                黄身が悪いんだ


                気味が悪いんだ
              まさか気になるなんてね
              恋じゃないはずなんだよ
              すこし故意だったけどね
                気味が悪いんだ


                きみが悪いんだ

               まさか泣くなんてね
                それは反則だよ
               理解かってるんだよ
             ぼくのほうが悪いってことはね
               理解かってるんだよ
              好きとは言えないけどね

              認めたくないんだけどね
              ただのイイワケだけどね

                きみが悪いんだ


                なんか罪悪感だ





2002年04月18日(木) 『かまきり』 詩



かまきりを見た
地面の上にたっていた

彼は死んでいた
生きていた時の姿のまま
地面の上にたっていた
彼の姿はなぜか悲しそうで、寂しそうだった

傷ひとつついてない彼の体
何よりも怖いものは孤独
何よりも深い傷をつけるものは孤独

彼の抜け殻が叫ぶ
「誰かが触れてくれるのなら
たとえそれが自分の体をむさぼる者でもかまわない」
冬は彼を弔うべきもの達を土の中へと閉じ込めた


彼は独り


独り


叫ぶ



さみしいから、うまれて
さみしいから、嫌われて
さみしいから、だれかをさがして
さみしいから、人をきずつけて
さみしいから、嘘をついて
さみしいから、有名になって
さみしいから、ゆめをみて
さみしいから、死のうと思って
さみしいから、死ねなくて
さみしいから、怒られてもうれしくて
さみしいから、何処にもいきたくなくて
さみしいから、さみしいから
さみしいから、


さみしいから、もっと生きていたかった



2002年04月17日(水) 『風船のように』 詩




      ふらふらと 風船みたく 生きませう




          雨が降ったら ぬれしおれ

          風がふいたら それにのり

          子供とあえば てをのばし

          糸つかまれば あんしんし

          糸が切れたら どこまでも

          どこか遠くへ ゆっくりと

          どこか遠くへ ゆっくりと

         雲に抱かれて ゆめをみて

          見えぬ所まで 飛んでいく




         そういうふうに いま生きませう











2002年04月16日(火) 『動悸と涙』 詩



知らない間は夢をみて遊んでいた
ぼくはべつに強さをもとめてはいなかったから

弱くても人は生きていけるのを知っていた
でも なにが弱くてなにが強いのかわからなかった


ギリギリまで息を止めてみた
限界なんてわからなかったけど 息を止めてみた
すぐに苦しくなったけど
その苦しみは ぼくの知っているものよりもちっぽけなものだった


死ぬ気はなかったから 死ぬ前で止めた


激しい動悸といっしょに
涙が流れた
とまらない 涙だった




苦しみを比べようとしたぼくもまた
誰ともちがうんだ




2002年04月15日(月) 『進化論』 詩




空の麻薬性に気づいたからぼくは翼を裂いた
もう誰も傷つけたくなかったからぼくは爪と牙を削った
海の誘惑に負けたくなかったからぼくはえらを塞いで鱗を剥いだ
えらそうな奴にはなりたくなかったからぼくは角を折った
余計なものが見えそうだったからぼくは目を悪くした
本当のあったかさが知りたかったからぼくは毛皮を脱ぎ甲殻を捨てた
命の大切さが知りたかったからぼくは身体を脆くした
もっとふらふらしてたかったからぼくは尻尾を切り落とした


なによりも本能のない生物に
なによりも生き方のわからない生物に
なにも知らない生物に
ぼくはなりたい



いろんなことを考えて
いろんなことを思いついても
ぼくはすべて捨てたから自分でそれをすることはできなくて
近くにいる誰かに笑いながらそれを話す


そんな奴になりたいんだ




2002年04月14日(日) 『人々がかさをさして歩いているよ』 詩



人々がかさをさして歩いているよ
空は曇っているけど、雨なんて少しも降ってはいないのに。


みんながかさをさして歩いているよ
誰の顔も見ないでいいようにって、下をむいて歩いているよ。


僕もかさをさして歩いているよ
無邪気な空を見ないようにって、かさの下のこの場所なら
誰も入って来れないからって、何も見ないように歩いているよ。



2羽のからすが不思議そうに見ていたよ
雨も降っていないのに、人々がみんな傘を差して歩いていたから
ただ黙って、じっと見ていたよ。

そして彼らは言ったよ
「みんな昨日、嫌なことがあったんだね」

僕に言ったよ
「君も昨日、嫌なことがあったんだね」って



空は曇っているけど、雨なんて少しも降ってはいないのに
人々がかさをさして歩いているよ。



2002年04月13日(土) 『ザンゲ』 詩



あざむいた? そう、夢を見てあざむいた

ぼくはそこでこう思った


神様何をしているの?
はきだしたいよ あなたに
あなたに 全部 吐き出したいよ
それであなたに考えてもらいたいよ
どうすればいいんだ?
あなたは全能なんだろ?
なぁ、ほんとの事ってなんなんだよ?
おれはなにがしたいんだよ?


もしこれで神様がなにかをぼくに教えてくれたとしたら
ぼくは必ずこういうんだろう



それが真実だって証拠が どこにあるんだよ?




2002年04月12日(金) 『冬が来て』 詩




冬が来て
街が少しずつ枯れていきます


都会は枯れていく街を
光で覆い、少しでも元気付けようとするけど
ぼくはゆっくりと枯れていく街を見るほうが好きです




枯れた街が
また生き返っていくのを見るのが好きだから





2002年04月11日(木) 『帰り道』 詩



帰り道
                 

帰りの電車の中
ぼくはドアによっかかって、かるくひらいた手をみつめている。
さっきまで抱きしめていた人を想いながら
誰にも見せたことのない冷めた目で
手を、みつめている。


(まだ物思いにふけっていたい)
ふと、そんな言葉がぼくの中にちいさく響いた。
一度、電車を降りて終電を待つことにした。


薬は、使いすぎると身体に免疫ができて
だんだん効かなくなっていく
クスリは、やりすぎると身体が忘れられなくなり
だんだん中毒になっていく
中毒・・・それで理由(いいわけ)ができるんだったら
むしろ、ぼくは・・・


そんなことを考えていると、終電がやってきた。
電車に乗ってる間ずっと、目を閉じていた。
べつに眠ろうと思っていたわけじゃない。
ただ、ナニかみたくなったから、なんとなく閉じていた。



駅を出ると、外はもう真っ暗になっていた。
雨が降っていたようだけど、ぼくには見えなかった。
ただ、頭をやさしく撫でてくれてることはわかった。
軽く、礼を言った。



もう家につきそうだったから、足をやすめて空をみた。
綺麗な月が雲にのまれるのを、黙ってみていた。
「形あるものはいずれ、消えていくんだよ」
そう、だれかがかっこよく言っていたのを、ふと思い出した。



そして思った
(それに形がなければ、消える必要なんて、ないんだよね)


そう、思った



そんないつかの帰り道





2002年04月10日(水) 『時』 詩


未来(まえ)はいつも道だらけで
自分で選ばなきゃいけないけど
どれがなにに通じてるかなんてわからない

僕には 決断力が無いから
目をつぶって歩いていくしかないんだ


過去(うしろ)はむしろ罠だらけで
自分でおいたにもかかわらず
どこになにがあるかなんて忘れた

僕には 勇気が無いから
もう、後戻りはできないんだ


現在(ここ)にはたとえば『君』と呼べる人がいて
自分で望んだことなのに
僕が君を愛してるいるかなんて知らない

僕には なにもないから
君のすべてを受け入れることができるんだ



時に願う
もう少しゆっくり歩いてくれないか
けして走ったりなどせずに
そうすれば 僕だけでなくあなたも
好きな人の笑顔をたくさん見ることができるんだ


どうだい? やってみないか?



2002年04月09日(火) 『空をみていたんだ』 詩




そっと 空をみていたんだ
誰か来るまで ずっとみていたんだ

誰も来ないってわかってたんだ
だから 涙をながしていたんだ

弱々しい風の夜だった


あったかいのかな? すずしいのかな?
わからないや さみしいだけだ

ぼくは ほんとうに空をみていたのかな?

あぁ ちがうね
目を閉じたら 終わってしまう気がしてたんだ
だからずっと みていたんだ

それで気づいたんだ
切なさを 心だけでなく 身体でも感じている自分に


(切なさが心からあふれて 身体中に広がっていくんだ)
(そして全部 心にもどっていくんだ)






2002年04月08日(月) 『静の世界』 詩


誰もいない『町』を見たことがあるだろう

何も聞こえない『時』を見たことがあるだろう

それは『静』の世界だ

自分の心臓の音すら分からない世界

目を閉じてしまえば すべての存在は消える

だけどそれは黒の世界ではない

ただ 何も無いだけ

あるのは 想ったことだけ ただ それだけ


大切な世界




2002年04月07日(日) 『作り話3』 詩










ぼくらは純粋に汚れていく (それを落とそうなんて思わない。絶対)







2002年04月06日(土) 『作り話2』 詩



      今日も罪を 体いっぱいに浴びてきました

        止められない時を 切ないほど感じてきました

       キレイな妄想を いっぱいもらってきました

    無力な涙だとわかっていたのに やっぱり止まりませんでした

             今も泣いてるんですけどね





        ねぇ  私の神様  教えてくれますか?

  自分の心がわからない私に 誰かの想いを理解できるのでしょうか?


            ねぇ 教えてくれませんか?

 人はなぜ  それでも  愛していけると思ってしまうのでしょうか?



       
         新しい夢が欲しい今日この頃です



2002年04月05日(金) 『作り話1』 一番最初の方に書いた詩 





        その歌が聴こえてくるだけで 僕の右目は切なさを流し
          その歌が聴こえてくるだけで 僕の左目は淋しさを流す

         忘れられない場所があって
             忘れられない人がいて
                 忘れられない思いが『哀しい』と歌う

        そこには笑顔があって
           そこには幸せがあって
              そこには嘘をついてでも手にいれたい『時』があった

   ・・・・つまずいた石ころは意外に小さくて・・・・
          ・・・・僕は何故だか泣きだしそうな顔で・・・・
                ・・・・それを優しく握りしめ立っていた・・・・

         そばにいるだけで 僕の右手は希望に溢れ
             そばにいるだけで 僕の左手は悩みで溢れた

        ほんとうの気持ちは誰にも見えなくて
           ほんとうの気持ちは伝えられなくて
              ほんとうの気持ちは『嘘』じゃなかった

   ・・・・うたれた雨は意外にあったかくて・・・・
          ・・・・僕は何故だか切なそうな顔で・・・・
                ・・・・濡れた思いを抱きしめ立っていた・・・・


            わかりにくい昨日に気づかれないように
                    わからない今日を漂ってみよう





2002年04月04日(木) 『独り言』 詩




君が存在してるって事は
君はなにかにひつようとされてるって事なのさ
もし、ソレがひつようとされていなければ
ポンッって消えていくから

「そんなことがあるはずがない」って、君は言うかもしれないけど
あたりまえだろ?ひつようのないものなんて
この世にはないんだから

だからもう、自分を責めるのはやめなよ



2002年04月03日(水) 『風』 詩



風にはなりたくないんだ
だって風になってしまったら
こうやって風を感じることができなくなってしまうから

ぼくは風を感じていられる今が好きなんだ



2002年04月02日(火) 『小さな反抗』 詩

「目標をもて」
そう言われた

「そこに向かって一生懸命やるんだ」
そう言ってた


そうなんだろうね
それがいいんだろうね


でもね
ぼくはおかしくて
ちっぽけなやつだから


本当は
何処にもいきたくなんてないんだ



2002年04月01日(月) 『キレイゴト』 詩




どこか遠くできみがわらう
きみのやさしい笑顔を見て、誰かがわらう
誰かの楽しそうな笑顔を見て、また別の誰かがわらう
そしてまた・・・


どこかですれ違った誰かのうれしそうな笑顔を見て、ぼくもわらう
そして、ぼくのしあわせそうな笑顔を見て、わらってくれる人がいる


いつか
世界中のすべての人々が
なんとなく微笑んでいる時が
誰にも気づかれることなくひっそりと
どんなに短かくてもいいから
流れていてくれたら いいなぁ



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ぺんぎん