言葉のサラダ
黄と藍



 汚いわたし


いくら洗い流しても
わたしの汚れは落ちない

汚いわたし
汚らしいわたし

あの日あの時
汚れてしまった

あの指とあの声
忘れてしまいたい

汚いわたしは
一生きれいに憧れて
真っ黒な指先で生きていく

汚いわたしは
周りまで汚してしまうのかしら

2006年07月29日(土)



 遠距離から伸ばした手


遠くから
見ていて

なんて
無理だった

遠くだと
触れない

だから
無理だった

リスカも
ODも
なにもかも

止められない

2006年07月28日(金)



 境界


それを越えれば楽になる
それを越えるだけで楽になれる

乗り越えたい
乗り越えよう

この境界ははっきりしていて
またいで越えればいいのだから

なんでここで立ち止まる?
目の前の壁は高くない

足が動かないんだ
重くて,コンクリートのよう


2006年07月26日(水)



 エネルギー


呼吸ひとつにもエネルギーの不足を感じる
腕に痛みを伴って明日は永遠にあたしのもの

ガス欠とも言う
人を困惑させて ああ快感

この有り余ったのか
空回転しているのか
あたしのエネルギーは
どうして安住の家を見つけるのだろう

(きっとあたしの中にはないね)

2006年07月23日(日)



 焦りと不安と何か


ねぇ 言って
何度でも
「だいじょうぶだ」って

ねぇ お願い
いつでもいつまでも
側にいて

こんなに不安なのに
どうして夜が来るの

2006年07月19日(水)



 絶命寸前


ずっと前から
あるいは
随分と長い間

体は悲鳴をあげつづけていたんだね
耳栓をしていたから気付かなかったよ
ごめんね

心が張り裂けそう
それに気付いたのもたまたまそう言われたからなんだ
ほんと ごめんね

2006年07月18日(火)



 膝を付いて許可を請う


止まない嫉妬心を許して
そしてその起源を探らないで

繋がろうとしない体を許して
そしてその根源を手繰らないで

溢れ出す記憶を許して
そしてその還元を忘れさせないで

2006年07月17日(月)



 落花生

君たちが落ちていく
止めることも出来ずに
ただ毎日見ては
嘆くこともしない

君たちが減っていく
補うことも出来ずに
ただ毎日見ては
泣くこともしない

君たちが移動して
追うことも出来ずに
ただ毎日見ては
呆けることも欠かさない

2006年07月16日(日)



 ばらばら


ばらばらだ

体が分裂している
この四肢が分かれたがっている
五体が別れを告げあっている

ばらばらになる
目も耳も鼻も口も眉も額も
亀裂が入り千切れていく

ばらばらだ
止められない
わたしは分裂して
個体ではなくなる

2006年07月15日(土)



 くもは夢をみる


くもは夢をみる
もう二回みた

それはひどく単純な夢だった
「わたしはだれだろう」
人に問いつづける夢だった

鳥は言った
「あなたはくもさんよ」

他のくもを見つけたとき
他のくもは言った
「おまえはくも以外のなんでもない」

個性はどこからくるのだろうか
それとも他人と見分けられないのならば
誰だって同じなのか

2006年07月14日(金)



 イメージ


イメージが
早送りで根を張る植物のように広がって
止まらない

これを想像力の発展と呼ぶか
あるいは
妄想力の暴走と呼ぶか

2006年07月08日(土)



 輪郭


ふと目を閉じてしまうと
君はいない

体で君を思い出そうと
必死で触れていたんだ

君の輪郭は美しい
美しい君よ,表れろ

2006年07月07日(金)



 二重まる


くぼんだこころ
どんどんくぼみがおちていって
むりやりしたふたのおかげで
いまは二重まる

2006年07月04日(火)



 ハッピーならいいじゃんか


順調も順調
いい波に乗ってきました

いいじゃんか
この感じ

ちょっと出遅れた上旬だけど
がんばって遅れを取り戻すよ

2006年07月03日(月)



 ひび割れたガラスのような生き物たちよ


みんな壊れている
壊れていることに気付いてない

誰も気付いてない
壊れているのに全く気付いてない

治そうと思わない
治そうとしない

だって
壊れている姿を見てない

目に見えてない分かってない
それともあたしが壊れてるかな

2006年07月01日(土)
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