膀胱炎再発・その2

 病院で薬をいただいた日から3日間、にょらはせっせとトイレに通いつめた。

 薬が効くまでしばらくかかるといわれてはいたが、見ていてつらかった。いったんトイレに入るとなかなか出てこないし、出てきてもまたすぐに入っていく。わたしがのぞくと、困った顔でこちらを見るのだ。あまりにかわいそうなので、何度も病院に電話してしまった。そして当初1日1回だった薬を1日2回にふやすことになった。

 おかげで4日目には落ち着き、にょらの表情も明るくなった。

 にょらに薬を飲ませるのは半年ぶりぐらいだが、わたしの腕はおとろえていなかった。100%の成功率。しかも一瞬で終わるので、にょらもいやがらない。喉の奥に薬を落とすところをあやまって上あごにくっつけてしまい、にょらが暴れはじめた場合でも、ひるむことなく指で薬をはじいて奥に落とし成功。

 きょうは感受性試験の結果を聞きにいった。にょらを苦しめたのは大腸菌の一種だった。そして今まで飲ませていた抗生物質がその菌に効くことがわかったので、もうしばらく同じ薬を続けることに。

 大腸菌ということは、もしかしてお尻を不潔にしていたということ……? そう思い、先生に聞いてみた。すると、大腸菌というのはどこにでもいる菌なので、健康な状態なら防御機能が働いているから感染することはないが、たまたま防御機能が弱まっているところに菌が入ると感染してしまうのだ、だから防ぎようがないのだといわれた。そういうものなのか……。わたしのせいではなかったのでほっとしたが、努力しても防げないというのは残念。年をとるとどうしても防御機能が弱ってくるし。

 がんばってしっかり治そうね。



2003年04月22日(火)



 膀胱炎再発・その1

 にょらが吐く音で目が覚めた。午前4時半。あわてて飛び起き、ティッシュを持って走る。いつもは何度も続けて吐くのだがきょうは1回だけですみ、吐いたものを始末してベッドにもどった。

 しかしなんとなく気になり、またベッドから出てにょらの様子を見にいった。すると、わたしがベッドにもどるときにトイレに入ったはずなのに、また入っていくのだ。おかしい。そしておしっこの音もしないのにトイレから出てきた。膀胱炎が再発したんだ。すぐにそう思った。どうしよう、まだこんな時間。病院があくまで4時間以上もある。

 とりあえずおしっこを採らなければと思ったが、一度に1〜2滴しか出ないのである程度の量になるまで待っているうちに、うんちもされてしまったため断念。そうこうするうちに血尿が出はじめたので、こんなことしている場合ではないかもと思えてきた。おしっこを採るより、菌がほかに感染しないうちに診ていただいたほうがいいんじゃないかしら。そして、まだ5時半すぎなのに病院に電話してしまった。

 携帯に転送され、留守電になっていたのでとりあえずメッセージを入れて待つ。しばらくすると先生から電話があった。

 わたしのあせる気持ちとは裏腹に、先生はとても落ち着いたご様子。なんとかして尿を採ってから連れてきてくださいとのこと。
「なんだか先生、冷たいじゃん〜」
ちらっとそう思ったが、にょらも少し落ち着いてきたので様子を見ることにした。そして考えているうちに、膀胱炎ぐらいで騒ぐこともなかったんだ、朝早くから電話して申し訳なかったなあという気になってきた。

 少量ではあるがなんとかおしっこも採れ、病院があくのを待ってにょらを連れていった。検査の結果はやはり膀胱炎。塗沫染色した細胞の顕微鏡写真をモニターで見せていただいた。白血球が菌を食べようとしているところもあっておもしろい。

 ふつうは抗生物質での治療だが、薬の種類によっては効きにくい場合があるので、治療をより確実にするためには感受性試験というものが必要らしい。尿の中にいる菌を培養し、そこにいろいろな種類の抗生剤を投与して、どれが菌を殺すかを調べる検査だ。ここで検査費用をけちって慢性化するといけないので、検査をお願いすることにした。結果が出るまで1週間ほどかかるので、とりあえずの抗生物質をいただいて帰った。

 猫が頻繁にトイレに通うときは、膀胱炎や結石症が考えられる。オス猫の場合は尿道が長いため結石が尿道に詰まりやすく、おしっこがまったく出なくなって尿毒症を起こすこともあり危険だが、尿道が短いメス猫は結石が詰まりにくいし、細菌感染による膀胱炎の場合でも、おしっこが出ていないように見えても実際は少しずつ出ているので、一刻を争うほどでもないらしい。あわてて時間外に病院にかけこんで応急処置をするよりは、病院のあいている時間にきちんと検査したほうがいいとのことだった。いやぁ、1年前ににょらの膀胱炎を経験してはいるものの、血尿が出てあわててしまっておはずかしい。あんな時間にお電話して(それに、冷たいなんて思って)、ほんとにすみません。



2003年04月14日(月)



 8時間軟禁事件

 このところネタがないので、古い話をひとつ。

 その日わたしにはやるべきことがあり、朝からそれにかかりきりになっていた。時間に追われていたので、ほかのことにはいっさい気持ちが向かなかった。そういえば、しばらくにょらを見てないなあ……。そう気づいたのは、夕方近くになってからだった。

 ふだん、日中はどこかで寝ていることが多く、姿を見かけないのは珍しいことではない。しかしその日は朝起きたときに見た記憶しかなかった。いくらなんでももう出てきてもよさそうなものなのに……。ちょっと心配になってきた。

「にょらちゃ〜ん!」と呼びながら、にょらが入りそうなところを捜してみる。返事がない。もう1周同じところを捜し歩いていると、どこかで遠い声が。その声を頼りに歩いていくと、なんとクローゼットの中から聞こえるが戸は閉まっている。ま、まさか……。恐る恐る開けてみる。

「うにゃ〜〜〜!!」

 頭上からけたたましい声。にょらちゃん、あんたなんでそんなところに……。にょらを抱いておろしながら、記憶をたどってみる。朝わたしはこのクローゼットを開けただろうか、それとも閉じ込めたのは夫……? にょらは(猫はみなそうだと思うが)暗くて狭いところに入るのが好きで、足音もたてずにやってくるから、クローゼットを開けたすきに入ったのに気づかず閉めてしまったのかも。そこではっと気づいた。にょらは上の棚にのぼっていた。ということは……。その下にかかっている洋服をかたっぱしからチェック。

 が〜〜〜ん!! わたしのお気に入りのワンピースがぁぁぁぁ。よりによって、このワンピースに爪をたててよじのぼったらしいのだ。無残にもワンピースの袖と肩のところに引きつれと穴が数箇所……。く〜〜〜 (T^T)。

 わたしがいた部屋とこのクローゼットは離れていた。呼んでも叫んでも開けてもらえず、必死でよじのぼったのだろう。たぶん、閉じ込めたのはわたしだ。朝からだから、ざっと短めに見積もっても8時間。罰としてはちと厳しいが、犠牲になったのがワンピース1枚でまだよかった。にょらもよくがんばったよ……。ふぅ。

 後日、問題のクローゼットを開けて探しものをしているとき、ほのかに覚えのある臭いが……。いやな予感。臭いのもとをつきとめるべくあれこれ探っていると、どうやら新品の下着類をまとめて入れてあるカゴがあやしい。取り出して中の下着を1枚1枚めくってみる。……やはりあった。ころころのうんちが。8時間も閉じ込められていたのだから無理もないよねえ。にょらも後ろめたい気持ちがあったのだろう。ちゃんとそれらしいところにして、上に丁寧に下着をかぶせておくところがいじらしいではないか。さいわい硬いうんちなので下着もそれほど汚れていず、虫もわいていなかった。

 それ以来、クローゼットを開けるときは十分注意するようになったのはいうまでもない。



2003年04月02日(水)
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