ジョージ北峰の日記
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2004年04月18日(日) イラク復興支援-1

 日本人人質が無事解放されたことは、本当に良かったと思う。今回、日本の政府はよくやった(正しい対応をした)と考えている。これはある意味で日本が世界の人々から信頼されていることを示唆する象徴的な出来事になったと考えたい。しかし、そのことばかりを喜んでいるわけにはいかない。本当はこれからが大変である。日本に対する世界の期待が大きければ大きいほど、その果たす役割が増大するからである。イラク問題の解決は、イラク国民だけではとても解決できないほどの多くの問題を含んでいるように思える。私は政治の専門家ではないので、おそらくピントの外れたことを考えているかも知れないが、問題が複雑化している原因は、おそらくアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、中国、ロシアなどの国々の利害が微妙に食い違っているからだと考えざるを得ない。とするならば、これらの国々の話がまとまらなければ、決してこの問題は解決しないだろう。
 これは、これらの国々がアメリカに協調して単に軍を派遣することではなく、つまり今後の問題解決に共通の(理解しあえる)考え方を共有すると言うことだろう。前回も述べたように、軍事力だけならアメリカ一国でも十分統治できる能力があると考えるが、それだけで人の心を征服することは出来ない。軍事力だけでは、たとえ相手が間違っていたとしてもそれ正すためには恐怖政治をすること以外(それは虐殺を伴う)方法がないかもしれない知れないからである。だから自由と民主主義を標榜する先進国の首脳は、(歴史上に誤解を残さない為にも)一国の軍事力だけで他国を支配することを避け、可能な限り意見を異にする国々の意見に耳を傾ける謙虚さがあったのではなかったか。アメリカは、殊更そのことに注意を払ってきた国ではなかったのか。だからこそ世界の国々アメリカを信頼してきたのではなかったか?
 今回のイラク戦争については、アメリカはこのバランス感覚を失っているように思える。これも、やはり9.11事件のショックが尾を引いているからだろうか?
 とにかく日本はアメリカに出来るだけ早く冷静になって世界と対話をするよう薦めるべきであろう。そして世界の国々と、イラク問題の解決法についてコンセンサスを得、その上で今後の行動の枠組みをつくるよう忠告するべきである。アメリカの高官が言っていたように、まさにアメリカ抜きでは国連の活動は何の力もないのみならず、イラク問題は解決できないからである(アメリカの軍事力は国連にとっても絶対に必要な存在であることを忘れてはいけない、と思う)。
 しかし、アメリカのような超大国が軍事行動する場合、絶えずその正当性を明確にする必要がある。その正当性こそ国連において承認されるべき要件なのである(面倒かも知れないが)。その意味において国連の存在意義があったのではなかったか?
 フセイン政権を打倒するまでのアメリカの軍事行動は(すべてではないにしても)理解できる範囲内であった。しかし、今になってはその範囲を超えつつあるように思える。
 最早、アメリカを中心とする占領軍だけでは、イラクの新しい国家建設は不可能なようにさえ思えるのである。何故なら、今その戦争の正当性が曖昧になってきているからである。
 現在、国連では占領軍からイラクへの政権の移譲に向かって話が進められようとしている。しかし、これも決して上手くいかないと私は考えている。話は逆である。つまり、まず国連が仲介しなければならないのは米、英、仏、露、独、中、それぞれの国々にまたがって存在するわだかまり(問題)を解決する事こそ優先するべき事柄である。そして信頼を失っている国連の権威をまず復権すること、それこそがこの問題の解決の早道であると考えるべきである。
 そして、次に日本が果たすべき役割は第二次世界大戦の敗戦国である日本の経験こそが重要な意味を持ってくると考えている。

    つづく。


2004年04月12日(月) イラク人質事件

 日本人ジャーナリスト、NGO活動家がイラクの武装グループ、サラーヤ・アル・ムジャヒディンによって拉致され、日本の自衛隊が3日以内にイラクから撤退しなければ3人の人質を殺害するとの報道がなされた。それからの日本政府の対応はかならずしも間違っているとは考えないが、もう少し突っ込んだ対応をするべきではないか。アメリカやアラブ各国に協力を要請するといったやり方は、それはそれで有効だろうが、日本は自衛隊を何のためにイラクに送ったのか犯行グループの人達と、日本の高官が(できればK首相)が会談する用意があると何故言わなっかたのか。
 日本は戦争を悪化させるために自衛隊をイラクに送ったのでない、イラクの紛争をできるだけ早く終わらせる為にどうすれば良いかを日本人が身をもって知りたい為であった、のではないのか。もし自衛隊がサマワから撤退して、そのことがイラクの平和につながるのであれば、日本政府はそのために自衛隊を撤退することに何のためらいもないと正々堂々と述べればよいのではと、考える。それこそアメリカを含む世界の国々にすぐにでも紛争をやめるように説得すると報道すればよいのではないのか?
 人質にされた家族の人に言いたい。あまり女々しい態度を取るのは本人たちに(拉致された人質)」たいして失礼なのではないか。本人たちは、ほとんど死ぬ覚悟で活動しているのだと思う。あんな女々しい態度を見せると彼らの本当の活動の意味が世界の人達に伝わらないのではないか。あの3人は今時の日本人には珍しい英雄的な活動をしているのに、何か国家レベルの話でなくつまらないホームドラマになってしまうではないか。どこかの馬鹿息子が人の忠告も聞かず大事件をしでかし、助けてくれといっているように見えてしまうではないか。それは本人たちの本意ではないと私は信じたい。
 ある意味で私は、彼らの行動に拍手を送りたかったのに、いまは戸惑っている。
 日本政府は、彼らを本当に助ける為に真剣に、何処かの国に頼むのではなく、政府自らが(政治家が)行動を起こしてこそ、サムライ日本国ではないのか。日本の真意をイラクに出向いて彼らに話す勇気はないのか?日本は戦争の為に自衛隊をイラクに送ったのではないこと、そしてイラクに平和が来ることを祈念していること、その為に自衛隊が撤退できるのなら喜んで撤退すると、もっと明確なメッセージを送ってほしい。
 彼ら人質3人を日本のやり方で救出することが、今後の日本の進む道を決めるといっても過言ではない。
 どうか政治家の皆さん、立派な日本人若者を助けてやってください。今回初めて日本にイラクからメッセージが送られてきたことを肝に銘じてください!


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