与太郎文庫
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2026年07月23日(木)  望外の日々 〜 Days Beyond All Expectation 〜

>望んでいた通りの人生を送っていますか?<
 
 眠くなれば横臥し、聴きたければパソコンで(過去の録音を)聴く。
 読みたければ、過去に書いた旧稿を、ほとんど音声で読みかえせる。
 書きたければ、すぐにブログ《与太郎文庫》に書込める(受送信可)。
http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/list?id=87518&pg=000000
 
…… 85歳を過ぎても元気な人たちの共通点とは(イメージ)。
 日本人全体の平均寿命は84歳(男性が81歳、女性87歳。厚労省簡易生
命表・2024年)。この壁を越え、85歳をすぎてなお元気な人たちにはど
んな共通項があるのか。
 
「歩行力」の重要性。
 やのメディカルクリニック勝どき院長の矢野 宏行医師が多くの高齢
者を見てきた経験から感じるのは、まず「体重の増減が少ない」ことだ
という。
 
「ダイエットを頑張ったり、無理に痩せようとしたりしてこなかった人
が多いことを実感します。高齢になると、ただでさえ筋力が落ちやすく
なる。痩せるとますます筋力が落ち、歩く力が低下して、転倒リスクも
高まってしまいます。少しふっくらしているくらいの人のほうが体力の
余力がある印象です」
 
 歳を重ねると“粗食こそ体にいい”と考えがちだが、「85歳の壁を越
える人たちは違う」と矢野医師は言う。
 
「高齢になると味覚が鈍くなり、噛む力も飲み込む力も弱くなります。
そのため食べることが“義務”のようになり、気力も落ちてしまいがち
です。その点、元気な人たちは“食べたい”という意欲が旺盛。食べる
ことが生活の楽しみになっているように思います。特に肉や魚をはじめ、
卵や納豆、牛乳、ヨーグルトなど筋肉の元となるタンパク質を十分に食
べている人が多い」
 
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 その結果として、ほとんどの人がキープしているのが「自分で歩く力」
だ。
「歩行力というのは足腰だけの問題ではなく、心肺機能、視力、バラン
ス感覚、空間把握能力など全身の機能が健全に保たれていることの現わ
れです。元気な人たちはよく外出するし、家の中でもじっとしていない。
掃除や洗濯を自分でやっている人も多いと感じます」(矢野 医師)
 
 外出の頻度と会話の多さ
 シニア生活文化研究所代表理事の小谷 みどり氏が共通点として挙げ
るのも、「よく外出する」ことだ。
 
「シニア向け食堂に来る80代後半以上の人は、家に閉じこもらず、外に
出ることを大切にしています。この人たちは情報収集もすごく上手い。
パソコンやスマホを駆使しつつ、高齢者センターなどの公的施設で聞く
とか、『区民だより』など自治体が出している広報紙、あるいは人づて
などで、無料や低コストで楽しめる場所を見つけてくる。外出を面倒く
さがるどころか、こちらが驚くくらい好奇心が旺盛なんです」
 
 外出の頻度と比例するように、元気な人たちは「会話」も多いという。
 
「みなさん、とてもおしゃべりです。同じ話を何度もするし、自慢話も
よくします。85歳を越えて頭も足腰もしっかりしている人の自慢話は嫌
味にならない。65歳なら煙たがられるような自慢話でも、85歳で御達者
な人がすると“よくぞここまで”と好意的に受け止めてもらえる。周囲
の見方も変えてしまうのです」(小谷氏)
 
 この点については矢野医師も同意見で、「会話の多さが脳の活性化に
つながっている」と指摘する。さらに特徴的な共通点として、小谷氏は
「不良性」を挙げる。
 
「酒を飲む、ギャンブルをする、街に出る、踊る、遊ぶ。知り合いの88
歳の男性は銀座でダンスイベントがあると、はるばる茨城からやってき
てオールディーズの曲で踊っています。品行方正なだけではつまらない。
少しの不良性は人生のスパイスになるのだと感じます」
 
 入浴を面倒くさがらない。
 85歳の壁を越えた人たちには「外見」にも共通点がある。
 
「おしゃれをする人もいれば、普段着で出かける人もいますが、みなさ
ん身なりがきちんとしていて、だらしないと感じることはほとんどあり
ません。きっと人に会う習慣が、身だしなみや清潔感を保つことにつな
がっているのでしょう。逆に人前に出なくなると、そうした意識が落ち
やすいように思います」(小谷氏)
 
 清潔さにも関連する点として、矢野医師が大事な共通項として挙げる
のが「入浴習慣」だ。
 
「高齢者にとって入浴は負担が大きいものです。服を脱ぐ、浴室に入る、
体を洗う、浴槽をまたぐ、からだを拭く、そして服を着る。
 こうした一連の動作には体力も気力も必要なので、歳を重ねると入浴
をしたがらなくなるケースも増えます。しかし、85歳をすぎても元気な
人は入浴を面倒くさがりません。毎日入浴しているということは、体力
や気力が低下していないことの現われと言えるかもしれません」
 
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 矢野医師によれば、入浴習慣とともに「睡眠リズム」が安定している
傾向も見て取れるという。
 
「もちろん高齢になると眠りが浅くなるし、夜中に目覚めることもある。
 それでも元気な人は毎日ある程度決まった時間に寝て、決まった時間
に起きている。昼寝もしますが、日中の活動リズムが整っているように
思います」(矢野医師)
 
 とはいえ、睡眠に限らず、加齢とともに自分の思い通りにならないこ
とが増えていくのも事実だ。
 
「いくら元気でも、85歳を越えてまったく不調がない人はいません。腰
やひざが痛い、耳が遠い、目がかすむなど、何かしらの不調はあります。
 それでも、そうした不調に生活全体を支配されていないのが元気な人
の特徴です。“まあ、こんなものだろう”と受け止め、そのなかででき
ることを続けている。くよくよせず、いろいろ不具合があるなかでも自
分に満足して生きている」(同前)
 
 体調の変化にも敏感な人が多いという。
 
「普段から自分の体重や血圧をしっかり測っている人が目立ちます。急
な体重増減や血圧の不安定さなど“いつもと違う”ことにいち早く気づ
きやすく、かかりつけ医に相談することを躊躇いません。結果、思わぬ
重病リスクを回避している面があります」(同前)
 
 お金のことでくよくよしない。
 ファイナンシャルプランナーの深野 康彦氏によれば、金銭面でも共
通項が見て取れるという。
 
「お金に対する執着を手放しているというか、お金のことでくよくよし
ない。生活費もコンパクトで、お金に困っている人はほとんどいない印
象です。特に自営業者の方では、スムーズに次の世代に権限を委譲して
いるケースが多い。そういう人たちは本当にお元気で、生きているのが
楽しそうです」
 
 人はつい自分の活動に社会的意義や価値を見いだそうとしがちだが、
小谷氏が見てきた85歳越えの人々は違ったという。
 
「日々の活動について、『何の役に立つのか』といった点を考えていな
い人が多いのです。目的意識が薄く、成果も求めていない。ただ『楽し
いからやっている』という境地で、これが老後の活力や幸福感に繋がっ
ているように感じます」
 
 小谷氏はこんな共通点も見つけた。
 
「自分の年齢について隠すことなく、むしろ積極的に語ります。85歳を
すぎると“何を成し遂げたか”よりも“この歳まで元気でやってきた”
こと自体に価値がある。若く見られることより年齢そのものを称賛され
ることが喜びになる。老いを恥じる段階を越え、老いを誇る段階に入っ
ているとも言えるでしょう」
 
 老いと向き合いながら明るく堂々と生きる。それが85歳の壁を越える
秘訣なのかもしれない。── 《週刊ポスト 20260724・31日号》
 
(20260723)


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