与太郎文庫
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1990年02月20日(火) |
辞世のことば 〜 生と死とことば 〜 |
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19900220 …… 世上にしばしば辞世とされて流行しながら、真偽のほどが確認し がたいことばも採用したことである。あえて採用したのは、伝承する心 意の方が、真偽にこだわる理屈より大切だと考えたからであった。豊臣 秀吉(四六ページ)や太田道港(四九ページ)のものなどは、とくに疑 わしい。しかし火のないところに煙は立たない。その火を探してみると、 火はありありと生の中に見える。その意味で疑わしいものは一つもない のである。 畢竟、死は一つの生にすぎない。その一つ一つの生をこえるべく、人 々は多くのことばを語ってきた。そこからわれわれが何をうけとるべき かが、当面の示唆深き課題である。 なお年齢は便宜上、数え年で統一した。(viii) 目次
一 刑に臨む ……………………………………………………… 3 磐代の浜松が枝(いほしろのまつがえ) 有間 皇子 5 ももづたふ磐余の池(いはれのいけ) 大津 皇子 8 古来の一句 日野 俊基 11 白日青天 千 利休 14 風さそふ花 浅野 長短 17 身はたとひ 吉田 松陰 20 孤軍 謹言絶えて(たすけたえて) 近藤 勇 23 ただ皇天后土 江藤 新平 26 二 力に生きて …………………………………………………… 29 倭は国のま秀ろば(やまとはくにのまほろば)倭 建命 31 業鏡高く懸げ 北条 時頼 34 人間五十年 織田 信長 37 逆順無二の門 明智 光秀 40 四十九年一睡の夢 上杉 謙信 43 露とをち露と消へにし 豊臣 秀吉 46 かかる時 太田 道灌 49 おもしろきこともなき世 高杉 晋作 52 腹いたや 山岡 鉄舟 55 三 日裁 …………………………………………………………… 59 なよたけの風にまかする 西郷 千恵子 61 うつし世を神さりましし 乃木 稀典 64 愛の前に 有島 武郎 67 水蹄(みずばな)や 芥川 龍之介 70 池水は濁りににごり 太宰 治 73 ぼくは神の手に 田中 英光 76 私は歩み去ろう 原 民喜 79 散るをいとふ世にも人にも 三島 由紀夫 82 四 漂泊の果て …………………………………………………… 85 鴨山の岩板し枕ける 柿本 人麻呂 87 つひに行く道 在原 業平 90 生くべくも思ほえぬかな 和泉 式部 93 願はくは花の下(もと)にて 西行 96 眺むる月 飯尾 宗祀 99 旅に病んで 松尾 芭煮 102 行列の行きつくはて 萩原 朔太郎 105 五 入滅 …………………………………………………………… 109 無覚の聖衆来迎(しやうじゆらいがう) 空也 111 常陸の人々ばかりぞ 親鸞 114 みづから一念発心せんより 一遍 117 それ 道に 夢窓 疎石 120 虚空地に落ち 絶海 中津 123 平生は長詠短歌の中 一休 126 六 知性の死 ……………………………………………………… 129 士(をのこ)やも空しくあるべき 山上 憶良 131 思ひおく言の葉なくて 黒田 如水 134 心平等といヘビも 契沖 137 今よりははかなき世とは 本居 宣長 140 十二万年夕月の夜 岡倉 天心 143 余ハ石見人森林太郎トシテ 森 鴎外 146 おみやげを買わなくていいか 高見 順 149 僕の身体が 七色のしゃぽん玉に 細川 宏 152 七 詩心の行方 …………………………………………………… 155 出でて去なば 源 実朝 157 白梅に明くる夜ばかり 与謝 蕪村 160 草の上に螢となりて 良寛 163 人魂(ひとだま)で行く気散じや 菖飾 北斎 166 我が家の犬はいづこに 島木 赤彦 169 露草や赤のまんまも 泉 鏡花 172 雪の上に 前田 夕暮 175 八 戯と俳の中に ………………………………………………… 179 木枯や跡で芽をふけ 柄井 川柳 181 ほととぎす鳴きつるかたみ 大田 南畝 184 われも秋 柳亭 稔彦 187 世の中の厄をのがれて 瀧沢 馬琴 I90 朴散華(ほほさんげ) 川端 茅舎 193 松朽葉(まつくちば) 原 石鼎 196 誰彼もあらず 飯田 蛇笏 199
── 中西 進《辞世のことば 19861220-19900220 中公新書》 http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4121008243 中西 進 古典文学 19290821 東京 /奈良県立万葉文化館館長、田辺聖子文学館館長 (20080503)
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