『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2007年11月25日(日) あたらしい場所、踵の鎖。

眠るのに乗り遅れた夜で

みみなれない音が、でも朝を告げる。

おわらない旅行をしているような気持ちのまま少しここまで来たらしい、
けど

……ほんとうにはじまっているのか、と
そのことも、信じられなくなりながら

乗り遅れた朝、
ひきとめるきみは何者


きみがふかい息をするたび
ぼくは
捕え所ないものに手をのばして
触れることができなかった。

音のしない時計とシンクロしたい。
自転とともに呼吸しようとじたばたし
こころみるだけで、頓服の小さな山、
役にたてなかったまるい小さな幾つかのくすり

携帯の画面、結露してくもりながらあかるくひかる。

もう、地球の、何回転するぶんだけ
その歩みから遅れたろう。


早朝、真火



2007年11月13日(火) 冬先、藍空の手紙

マグカップを、両手でくるむ季節です。

・・・・・・・・・・

くもりぞらばかりたくさんみている、
ひるまの灰色に、星なし夜、月なし夜。
ぼくの回帰する居所をうしなったらしい
山積みになっているたくさんの時間の上に座って
どれを切り取っても見覚えのあるような、ないような
わからないことを確かめる素材

まぜあわされてしまうキノウ
まぜあわせてしまうキノウ

「どこだらう、どこへいるのだらう」

…………。

容赦なくじかんは波飛沫をたてて全部をおしながす
のりおくれたまま、それなら溺れるかと
水のひとつぶがときにささやく
甘くて、つめたい音を立てて耳たぶからひびく
墜ちていった赤く呪われた機体もて
この日も、また

・・・・・・・・・・

おしあわせに、なんて
言われたらたぶん凍ってしまう
針の目をつつくように
とがりきった言葉はふりかかるだろうか
なにもかもこわがるおろかしい
このしんぞうのなかに

みなの通り過ぎた道のしろい砂に
うずくまって眠る影
しずかに

・・・・・・・・・・

庭の朝顔がまだひらいているよ
……苦笑ではなくて
縮んでゆくけれど色を変えながら、それでもまだ
いきのびていること……を

だれかに言いたかった

とても遠くにある国や、大きな手で
そらをなぜているあの場所からくる手紙のやうなもの
ぼくが目をひらきかなしみのなかを歩くならきっと
それらを、うけとることは、できるだろう
しあわせでいてください
あらゆる頸城から解放されて、どうか

ささやかな記憶と思い込みに支えられた、
うつくしい、手紙の数々



2007年11月06日(火) エンドロール。

遠出、
たかが1時間、でも
はてないように思って足がすくむ喉がつまる、
痺れた脚ひきずって、逃げそうになりながら

でも
行けよ
おわりにするな?

たましいが身体に邪魔されているのか
身体にこころが縛り付けられているのか
区別なんてよくつかない
ただ時速80キロで滑っていくぼくで
それは夢のなかみたいなこのところの毎日の景色に
ひどく、似ている気がする。

かつてとてもしたしんだ暗い窓に
顔をよせて闇と眼と文字だけになりながら

たいせつなのはふみはずさないことです
きょうとかあしたとか、つながっているらしいルートを
脱線しないようにやわらかく耳をふさぎ目をとじて

あなたを
だれかを
顔さえおぼつかないきみを
かなしませないように

自分の意志なんて、いまは見ないほうがいい
なにもないがらんどうをのぞいてもたぶん
息苦しさに負けることくらいしか、拾えそうにない

小雨のち、晴れ、
おしまいの日

やりつくせない気持ちだけのこして、
迷子のまま、
走っていく


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