『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2006年02月27日(月) むきだしのからだ

何年ぶりかくらいのキツイ胃炎もどきで
うごけないで、はんにち。
ゆるやかに時間があたしをはじきだす、
おまえはいらない、と
とうに承知してること耳元でがなりながら
なに喰わぬ顔して。

おようふくがあたしを
すくってくれない

優しい三日月のかたちのギター
しみじみとしたメロディに乗せて
容赦なくかなしい苦しいことばを
うたった

恋しいから、
恋しいので、
もう泣くようなこともない

なんにも
したくなかった
したくない

病院だけはゆこう
せめてゆこう、行かなくちゃ
笑いながら叱られるにしても

不眠期
不眠症
インソムニア

今日の薬物、は
いつもよりたくさんで
でも、なんにも効かない

すこしだけかなしい

……なにごともなかったみたいに
顔をつくって、涙をひっこめて
朝の挨拶をしにゆかなければならないから

あのね、あたし
消えていい気がしたよ
このあちこちに散らばった錠剤少しずつのみくだして
どこにもいないものに変わっても構わない気がして

執着をさがそう
ぼくは、カムパネルラだけど
まだ
タイムリミットじゃないんだ
まだ違うんだ
ちがうんだから
だから




2006年02月26日(日) キッチン


ここはどこだろう。



すらりと飾られたねぎみたいに
そらを
仰ぎたかった


早朝
あたしには
なにが残ってる

すくなくともきみのぬくもりはない
どこにもない

そう言い聞かすのが
きっといいことなんだ、と
握り潰されても
そう考えよと



さざなみ
はいいろな繰り返し

痛いってなんだろう。


早朝



2006年02月23日(木) 現実。

たぶん、もう、
あのひとはぼくをいらないのだなと思って
かなしくなった。

出会えばかならず
別れるときは、くる。

かなしくなることなんてないのに。
現実に噛み付いて抗うことなんて
馬鹿げてるのに。


するするとれいせいにときがながれてゆく。

のりおくれたあたしがゆびをくわえて
とおざかってゆくひとたちを、みている。

(そこからはここが、みえますか。)


苦い口の中思い切り噛みながら目をそらした。
ああもうそこにはうすぐらい海とくもりぞらしかない。




2006年02月22日(水) 人形遣いの午前四時

昨日もまたこわれたみたいに
笑い泣きさまよって眠り
だれかにころされる夢をみた

目覚めたら夕暮れ、身体が重たい
末端のほうは死んでいるみたいなリアルさを違う違うと
首をふりつづけて、脱皮するように
あたしが夢を脱ぐ
拭い去る

だけどとりきれないたくさんの微細な残骸がまとわりついて息してる

あたし泣き笑う
こわれた人形なら
まだよかった

眠れないでいたら
しにがみ、がきます
あたしのところに派遣されるしにがみさんは
まだ見習いくらいなちびでしかなく
ひかりがあれば寄り付きもできず
遠くからこっちを見ているだけの
弱いくらいの生き物で……

それでも、力をふるえる、と
うっすら笑えるくらいにあたしを
見つめることに長けたいきもの。

例えば、しずかな夜明け
だれもみんな寝静まるあと
最愛のひとさえも助けにならないころ
かれが
せなかから近づいてあざやかに振るった鎌の、痕

あたしがまた、少し、
あなたに忌まれるものになった
なってしまった気がする、から

ごめんなさい。
ごめんなさい。

春に降る雪みたいに
潔くはかなく
消えれば


今日は、どんな日かな
また
くるったみたいに
笑い泣きさけぶ、嵐、なのかな

……ねえ、


早朝



2006年02月20日(月) 妄想少女

ただ

つらいとだけ



笑い顔はりつけて片手にぬいぐるみ片手にナイフ

息をしていける場所がどんどんせまくなる

歩いていけるとこがどんどん細くなる



目を閉じたい。


君は氷をくれるばかり。





2006年02月19日(日) 薄紫に染まり、そして

寒さのマントにくるまれました
SOSは届かないよ
耳元で囁かれ
それでも思い浮かべようとする腕だけど

なかったよ
あなたの勝ち
床に転がって天井あたりをみてる
そこにはなにもみえなくて
ただ
カラダの内側を暴れ回る彼の
わたしはきっと餌だった肥料だった

くるしい

それしかわからない餌だった

・・・・・・

たとえば目の前に恋人がいる
わたしはわからない
冗談に紛らして時間を続けていってるけど
あたしにはわからない
好きだったはずの花も空もみんなみんな

愛情とか、大切とか
そんな気持ちは失せたらしくて

日々くるくると変わるあたしの
虚いすぎるこころのありか
誰を何をすきだったの大切におもってたの
……わかんないよ

ただここにいないひと思って泣いた。

血よりも痛みよりも
近くにあるべきだったもの
思いつかない
求めたらいけない

……かみさま、もう、いいですか。

診察を終えて外に出れば夕暮れ
立ち止まったらなじられる
だから、もう、目を閉ざして歩くんだ

躓いたら、空色うすむらさき
ああどうしたら消えられる?
まなこは走って、場所をさがした
たかいビルもない夕方。

タスケテ

返事のない記号。
オクスリと絆創膏だけ
みかただった。


早朝



2006年02月18日(土) ねむり。

吐き気が止まらんよ、って
涙目になりながら
ヒトリ。

胃が痛むよ、って
だれかに言えるわけでもなくて
ヒトリ。

こわれた想い出きらきらひかる
それを恋と呼んだってまちがいでなかった
気がつくのは
いつも
手遅れになったあとで

あたしはいらない
もういらない

こわれた台所でぼんやり立って
苦みの消えてくれない口のなか、噛んだ

サヨナラはいつも
唐突に降りました
そのたび飽きもせず
ぐずぐずになるあたしでした

ねえ
じぶんにやさしく、って
どうすれば
いいの。

道ばたの猫がにゃあと鳴く
ファインダーがくもって
くやしなみだ。

きえてゆくくらいしか思いつけない
だけどあたしはまだ生きてて
たくさんオクスリ、たくさん病院、なんにもできず
持っているのはキズと血とわがまま
あなたを、みんなを、困らせている。

たすけて

くりかえしてくりかえして
からっぽの顔で
わらって

……サヨナラが近づいてくる


18日、早朝



2006年02月15日(水) ほんとうの日記。

お薬で成り立っているわたしってなんだろう。

そう、思った。

そう、ほんものの日記に書いてみた。

相棒さんに言ってみた。

お薬で成り立ってるわたしって、なんなのかなあ。

応えはなくって
やっぱりなくて

悔し涙を枕で拭いてから
やさしいうたを聞いて
ねむった。

・・・・・・・・・・

車も電車も人もみんな
くるくると時間の軸を巻き戻したように
怖くて怖くて怖かった日に。
ピルケースをぱちりとあけて飲み込む一錠も。

泣き叫んだあとの、おちつかないうろうろの時間も。

からっぽのわたしがだいどころでふらふらしてる。
危ないのに。

そっちにはいっちゃいけない。



2006年02月11日(土) 500円、桜、喜屋武岬

二月沖縄行きを決行して
ただいま、
と言い。

東京にもどってもしんどくならないように
いろいろたくさん仕入れてきた旅で
別にココで買わなくてもいいのかもしれないけれど
ウチに帰ったらきっとあたし何にも買わないから
国際通りのCD屋さんで、ニライカナイからの手紙の主題歌を買った。
500円ぽっちだった。

でも、桜の花とか見えるんだよね。
ゆらゆら、あの、
島の郵便局のポストとか自転車とか
そういうものが。
たった500円ぽっちで。

宝物。

今回は、とても、とても、
強気に強硬な予定を組んでしまったので
ちょっとつらかったみたいで
ほんとうはつらかったみたいで
耳をふさいで泣き叫んだあとのブスな顔が
鏡にうつってて。

もう死のうとおもっても腕があがらなくって
この腕をどうしたらいいのかぼうっと見つめてた、お風呂場。
良い絵かもしれないと頭の隅でおもっていた。
右にしたらいいのか左にしたらいいのか
どうしたらいいのか。

こころをどこかに落としてきたからっぽなからだが
からっぽなまま日課をずるずるとこなしていくみたいな
そんなふうな時間がどんどん続く。ああ幽霊だ幽霊だ。

那覇で最後に買った「BEGINの一五一会」を
ずうっとくりかえしながら
薄暗いところでおふとんをかぶっている。
じっと、自分の内側をみていると
うつろな闇の中に、ゆっくり、ゆっくり、
片端から忘れっぱなしで狂いそうだった
きのう、のことが
少しだけ思い出せそうな気がして必死で目を瞑っている。

つかれました、
つかれました、
未来は見えないし
明日はあるかわからんし

でもいっぱい謝ってきた祈ってきた
海の向こうにあたしは祈ってきた
つめたい風に吹きまくられてたくさん泣いて
目をあけたら、空が青かった。

万が一のときはまたきっとあそこに行ったらいいのかもしれない。

もぎとられるようにしんでゆくひとは
だれも
しあわせなんかではなかったと想い
まだ、もぎとられていないあたしは
ごめんなさいごめんなさいと
百万回くらいくりかえしつつ
涙を殺して息を殺す。

南の果てで。

柵のむこうの卒塔婆に墨の字はうすれ
なぶられる髪の毛をおさえながら海を見た
どうして目の前にいるのに潮の匂いがしないのか
また、同じことを
ふしぎに思った
喜屋武岬にて。

苦しいということがもう少しでこの手につかめそうな気がしたあのとき。


そうしてまた東京、
ここはいつも苦しくて
痛い。

というまに寝付きながら
こころがしんでいった。

あたしのからだはまだいきているようで。



2月11日、夜



2006年02月02日(木) 習作のための。

高速回転のあとには減速がきて
そうしてすっかりとまってしまう

いうことを頭ではちゃんとわかっているのに
どうしてもとめられないんだ

つくりごとの好きなこの身体で。

あたしがことことと刻むのはイメージ、
振動するなにか、砂粒みたいに
今までにそそがれたかなしみやことばにしなかった理不尽な
頭上からふらされたたくさんたくさんのあなたからの腕を
ふらされなかったキスを抱擁を
これはちがう
あれもちがう
そう拾っては捨て拾っては捨て
しながら

ずるり、と
扉をでてゆく少女のはだしのくるぶしが視えた
そのあとを追うようにしてまとわりつき去る
白い裾と、そうして
ひきずられていく、紅も

ああ、これだきっと
あたしがみたいのは
これだ

少女のあとを追いかけて
あたしは
くらやみのなかでぎらぎらと目をひらき
ひとつぶのかけらも見のがしてはならない
形無い自分のなかを探り探り探り
あたしがあたしになるための、かたち、を
たださがしつづける
たださがしつづける

疲弊

それだけがのこって
小指ほどのイメージが
わたしのなかに残ったなら

それをたいせつに抱きしめて
ほほえむだけ。

ほほえみたい。

ほほえみたいから


真っ白なノートとみがかれた鉛筆がただ
わたしには必要です、どんなたべものよりも
わたしには入り用なのです。


2月2日、夜


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真火 [MAIL]

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