『 hi da ma ri - ra se n 』


「 シンプルに生き死にしたかった 」


2004年05月19日(水) どこに行ったんだろう?あのバカは

この場所のログイン数字(もらったときのまま変えていない不思議な羅列)を
まだ指が覚えているということが、不思議です

……自分の家の電話番号は忘れるのに。

春、がきて
あっという間に
どっかに行っちゃった
どっかに行っちゃった

自分の文章に吐き気がするのであんまりなにも書きませんでした
十数行のメールを書くのに、一時間、
もしくはそれよりももっと。
単語ひとつぽつりと書いて厭味に見えて
それだから消して
一行書いて嫌になって消して
すすまなくて

書くということは感じるということとも似ていて、
頭の中がうす灰色のもやみたい
感じることがへたになる

あんまりトンガっていることはどうかと思うんだけど
それって鋭敏すぎてまわりにも自分にも厳しすぎるから
(厳しくないとんがり方ができたらと思うけどまだ知らない)
余りにもとんがっていない自分というのは
つまり
いとも簡単に倒せるということにつながっているみたいでした
しばらく気付かなかったけど。

何も生み出さないということ
ただ醜いだけじゃないかと
言い切ってそれ以上を考えられないこと
眠れない時間が続くと襲ってくる「思い」に対して
どんどん弱くなっていく

……そうだねこの気持ちは自分を囲っていったときのそれにたぶん、似てる

春の少し前くらいにたしか
つぶれかけていたと思う
好きなひとがまたその場所からいなくなって
前の傷跡をなぞって切り開くみたいに
ぽっかりと、つめたくかなしくなった
たとえばおばあちゃんとか
近い将来にかならず見送らなくてはならないひとのことを
次々に考えて、すごくバカな話なんだけど
それらの死が積み重なってゆくのがあんまりに怖くて
自分が死にたかった

死ぬことを考えることと死ぬことを感じることのあいだには
ものすごくひどい差があるんだなということをよくよく噛みしめる
今は、死を、そんなに近くに「感じて」いるわけじゃないから
こんなことも書けるんだけれど

本当に感じてしまったとき、っていうのは
なんだか
一瞬にして、すべてうちのめされてしまうので
それだけで、何もかもおわる
あんまりそれの傍に居るから
細くて暗い、長い長いトンネルの中に
頭をうつむけて立っているだけだった
見えない内側が痛いから上を見ることができなくて
胸元の暗がりくらいのことしか視界に入らない
なんにもない
いたくてつめたくてかなしくて
色んなことが全部渦巻いていて何もかもあんまりありすぎて
かえってなんにもなかった
自分を消せるくらいには、なんにも

……あんまりこわいから。

どこに居るのかちょっとよくわからない。
どこまで流されてきたのかよくわからない。
感じることをやめて、考えることをやめて、
書くことをやめて、いろんなことをやめて、
ひどくみじめったらしいなあと思うんだけれど
友達とも相棒さんとも連絡を取らなかったら
気がついたらかなりひとりで
ちょっと、空恐ろしくなった

この場所にわたしをつなぐものなんてかなりいいかげんだから
自分で力をこめてつかんでいないとみんな飛んで消えてなくなる
ふうせんみたいに。

……ばらばら飛んでいく

ああなんだかとてもとてもかるくなってしまったなあ

そんな春のこと。


目がさめたらそこは冬じゃなくて
わたしはもう死を感じていなくて
ぞくぞくと芽を出してくるみどりが
つらいくらいに眩しかった

春だから春だからわたしはもう歩けるはずだと思う、だからそうする。


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とりあえず今のわたしの外側は文字通りごみだらけであって
そのごみは自分の身体が生み出すものなので仕方ないのだけど
自分のからだをごみだと感じるのはあまり気持ちのいいことじゃない。
そうしてその思いをどうにか中和してくれるはずの内側が
春のひきつづきにからっぽに暮れている
季節が来て、痛いことが続けば、
まっすぐにひねくれてゆく
わたしはわたしがひどくきらい。

……なんていうかそれを止めるのはつまり今の場合じぶんしかありえないとか。

とりあえず真剣に病気になってしまう前に。

気が狂うんじゃないかと思う
ささくれた身体が今日はないから
こんなことも考えられるし
今できると思ったときにやっておかないと
明日も同じという保障はどこにもないので

ささくれじゃなくてトンガリがわたしは欲しかったんだとか
そういうことを少し思い出したから
こんなつまんないことをつぶつぶと
今日は書いてもいいことにしてみた
すごくすごくつまんないこと。


……雨の音がとぎれて、消防車のサイレン。


脱皮して落屑がひどいのは
これからからだが上向きになる
証拠だって考えることにします



5月19日、夜 真火


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