『北緯四十三度の神話』 浅倉卓弥 (文藝春秋) - 2006年03月15日(水) <“読書は人を成長させてくれる。”そう確信した1冊。> 前作『雪の神話』はファンタジー要素が強い作品であったが、本作は読者にとって身近に感じられる究極の姉妹愛を描いた女性読者必読の感涙作品に仕上がっている。 この人はこれからどれだけ巧くなっていくのであろうか?と余計な心配をしたくなるほど物語の構成が巧みである点は読まれた方なら必ず賛同していただけるであろうと確信している。 なぜなら前作より読者の胸がより締め付けられる作品に仕上がっているからだ。 題名の北緯四十三度はやはり札幌のあたりであろう。北海道生まれの著者ならではの情感たっぷりと一気に読ませてくれる。思春期特有の心の揺れから大人への成長となんといっても2人が手に取るように読者にわかるところが一番の読ませどころなのであろう。 本作の成功はやはりテンポよく挿入されている和貴子のDJ部分。 舞台が寒い北海道だから余計に心がぽっかぽかになるところが本当に憎いのである。 それにしても亡くなった恋人って素敵な2人から愛されて本当にしあわせものですね。 姉妹の幸せを天国からずっと見守っているのでしょう。 是非映画化希望、大ヒット間違いなしだろうな。 美味しい役は誰がゲットするんでしょう(笑) 本作を読んで浅倉ワールドがすでに完成の域に達しつつあることを強く感じた。 たとえば“せつない小説を書く作家を5人あげなさい!”と言われたら迷わず浅倉さんの名前をあげたいと思う。 男性読者の私がそう感じるのであるから、とりわけ女性の方で姉や妹がいらっしゃる方が読まれたらそれぞれの視点で語られているので必ず共感できるんじゃないでしょうか。 素敵な物語は読者の心のビタミン剤である。 読後、自分の本音を語れる人って何人ぐらいいるのであろう?と考えてみた。 読書は人を成長させてくれる。 そう確信した1冊である。 評価9点 オススメ この作品は私が主催している第5回新刊グランプリ!にエントリーしております。 本作を読まれた方、是非お気軽にご投票いただけたら嬉しく思います。(投票期間2006年8月31日迄) ...
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