すずの日記        

すず                       




 ウイルスパニック!

今日、仕事場が隔離されました。
そのままの野放しでは危険だから、ちゃんとそれなりの対処するようにと お達しがきた。

『●●課、風邪だって?』
『●●課、インフルエンザだって?』

そんな声がひそひそ、廊下では囁かれている。
あたしは、知らないフリをして仕事場へ戻る。

「あの、なんか廊下騒がしいですよ」
『うん、そうだね』
彼はパソコンに もくもくと向かう。

「いいんですか? えらい勘違いしてますよ」 
と言うあたしも訂正をしないんだけど…
『いいんじゃない? 面白いから』
やっぱり この人好きだなぁと思った。

「あと、10台お待ちかねでーす!」

パソコンの駆除に、まる一日かかったのはいうまでもない。





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2002年11月22日(金)



 おいしいお茶

今日、エライらしい学校医さん達にお茶を出した。

熱過ぎてもぬるすぎても いけないんだわ。
いつになく気を使って 気合いを入れてお茶を入れた。
のに 思ったより、先生はこなかった。

誰か飲んでくれよ。
職員さんに入れてあげようかと思って聞いたら、
『今 いい』だって。

けっ…

やけになって、飲んだら お茶はおいしかった。
さすが、来賓用。そんじょそこらのと違うらしい。

『ねえ、今日 先生たくさん来た?』
「はい。だから お茶の葉 思ったより使っちゃいました」

そんなわけないじゃん。
あたしは、日本人です。 あたしが飲みましたさ。





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2002年11月20日(水)



 辺境の地?

12月と1月の仕事先が決まった。

あたしは、初めて その場を訪れて、頭をかかえた。
天然記念物もん石の建物。
ああ…

扉を開ける。
あああああ・… 選択を間違えた。

ここは、倉庫か?

すきま風邪が寒い。
みんな毛布のような膝掛けを持参している。

担当のひょろっとしたメガネ男は、仕事内容をたんたんと説明する。あたしの頭の中で、ドナドナドナが流れる♪ 
会話が聞こえる。

「ダメ、ダメよ こんな極寒の中で働くきなの?」
『お金のためよ』
「大した額じゃないんだもの。そこまでしなくっても…風邪引くわ!」
『たった2か月 最初で最後の経験よ。こんな天然記念物で働けることなんてめったにないの。ネタになるわ』
「あんた、風邪の季節よ インフルエンザよ!病気になったらもともこも―」

あたしはネタを選んだ。
クリスマスの頃には、あたしの選択が正しいかどうか いずれもはっきりするでしょう。





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2002年11月19日(火)



 サイドビジネス【携帯にかかってこないお友達】

最近、うちの電話に友達という者から電話が かかって来る。

『私のこと、覚えてる』
「うん、わかるよ」

『私ね、今 サイドビジネスってやつ やってるの。楽しいから一緒にやってみない?』
「興味ないし、忙しいからやらない」

『女の子には聞いておいてもらいたい話なの。やっぱり元気な赤ちゃんとか産んでもらいたいし…すごくいいお話なの』
「時間作れないから無理だよ」

『じゃ、携帯番号だけでも教えてよ』
「携帯変えるし、教えられない」

『美容とか興味あるでしょ』
「ないことはないね」

『欲しいものとかあるでしょ?』
「…まあね 欲しいものがない人なんていないでしょ?」

『夢とかあるでしょ?』
「は? 急に夢って言われても困るよねー。ないね。
ところで そういう■ちゃんの夢は何なわけ?」
『……』

「ごめん、ホントホントにホントに無理だから。そういうサイドビジネスって言って何度も電話かかってきてさ、●くんにも断ったし、みんなに断ってるの。役に立てなくてごめんね。そういうことだから…」

サイドビジネスって、流行ってるんですか? 
いったいなんだ?

都合のよいお友達にされては、困ります。





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2002年11月14日(木)



 黒服の人

書類、郵便物などを取りにいったら、
黒い服を着た人が、何か書類を入れていた。

あたしに気がつくと 慌ててそそくさと出ていった。
去りぎわに、ぼそっと『よろしく』とだけ行って…

闘病の甲斐なく… 
療養中でしたが… 
薬石の効なく…     『訃報』が3枚。

あたしは、いつものように必要な分だけコピーをとる。 
そして配る。

たいてい、その文章はゴミ箱行きだと知りながら。
まれにある「オレ出すわ」という言葉に、
やるせないむなしさを覚えながら。

ねぇ、今日は何人生まれて来ることができますか?





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2002年11月12日(火)



 みかんさん【拾い食い】

寒い、寒い、寒いから 外へ出るのは、あたしは嫌なんだけど、我が家のワン子 みかんさんは、元気だ。

いつもの所定の場所へつれて行ってくれ と言う。
あたしとしては、裏口の塀のところでいいと思うんだけど、
こだわりがあるらしい。

ムシャムシャ、ムシャ。

あたしは、みかんさんの顔を覗きこんで ハッとした。
拾い食いだ!

「やめて!みかんさん、ダメ そんなもの食べないで」
『いいじゃない、ケチケチしないでよ』

ガルガル ガブッ

「みかんさん、痛いよ。血出たじゃない!」
『だって、かっぱエビせん…』
「ぜんぜん 違うから〜」

みかんさんは、干乾びたザリガニを吐き出した。
あたしは かっぱエビせん を買ってあげようと思った。





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2002年11月10日(日)



 おばあちゃんの新しい家

あたしのおばあちゃんは、いつの頃からか、
あたしのことを「すずちゃん」とは呼んでくれなくなった。

あたしの知らない名前で呼ぶ…。
へんな感じだった。

そして、一人で散歩に行ってしまうようになりました。
だから、おばあちゃん 新しいおうちに行くことになった。

とっても綺麗なおうちで お友達も もうできたとか…。
料理が上手だから、たまに電気コンロでフライパンを使うらしい。お天気には洗濯物を干すらしい。

夕食のお買い物にも、つれて行ってもらえるらしい。
それが 楽しいんだって。

あたしは、おばあちゃんに忘れられてしまっても、
おばあちゃんが笑っているならそれでいいです。
十分です。

今度、おばあちゃんの新しいおうちに遊びに行こう。





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2002年11月08日(金)



 我が家消失?

家に帰ったら…我が家が我が家でなくなっていた。

広告が、ビリビリになっていた。
つまようじが、散乱していた。
じゅうたんが、ボロボロだった。
ボールペンが、かじられていた。
お吸い物の素が、食べられていた。

犯人は、パソコンの前に すました顔で座っていた。
器用なことに、自分で電源を入れたらしい。

「おまえがやってることは、まるっとお見通しだ!」
(* あー TRIC劇場版 試写会 面白かったぁ)

あたしが言うと、素直に犬は、はいた。
『申し訳ございません』ではなく、ゲロゲロ吐いた。

よく見ると、洗剤の粉も散らばっていた。
我が家が消えるのも時間の問題です。





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2002年11月06日(水)



 FAXの番人

ガコガコガコガコ ピーヒャラヒャラヒャ〜
ガコガコガコガコ ピーヒャララララ〜

遠い相手の伝えたいことが、紙にのってくる……。
今だに、納得できないと思いながら 私はFAXの番をする。

いろんな文字が届いたのを見てきた。

ガコガコガコガコ ピーヒャラヒャラヒャ〜
ガコガコガコガコ ピーヒャララララ〜

「生徒の成績表を紛失してしまいました。申し訳ございません。今から保護者に謝りに行って参ります。」
先生は、バカタレがって あきれてた。

ガコガコガコガコ ピーヒャラヒャラヒャ〜
ガコガコガコガコ ピーヒャララララ〜

そして、今日は、重たいダークなFAXが届いた。
なんか難しいことが書いてあった。
要するに「破産する前に、400万返せ」ということが言いたいらしい。間違いFAXだった。

ガコガコガコガコ ピーヒャラヒャラヒャ〜
ガコガコガコガコ ピーヒャララララ〜

明日は何が届くのだろう。
あたしは やっぱりFAXの番をする。

もしかしたら、送信者なんて最初からいないんじゃないかと、疑いながら。 FAXが勝手に… そんなことを考えている。





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2002年11月05日(火)



 飼育係博士

どうしてかしら? 
最近は、なんだかんだ、資格が必要でうるさい。

あたしの資格は、漢字検定3級、英検4級、運転免許。
唯一、役にたちそうな運転免許も 大して乗っていない。

で、あたし もう少し資格がほしいんです。
誰か認定してくれませんか?

『飼育係博士』なんていかがでしょう。

あたしこれでも、
カブトムシ、カブトムシ幼虫、クワガタムシ、鈴虫、カタツムリ、
アリ、ハサミムシ、ダンゴ虫、トカゲ、青虫、ミミズ、コオロギ、
バッタ、かえる、ザリガニ、メダカ、フナ、どじょう、金魚、鯉、
ハムスター、にわとり…… 他、多数。

現在は、犬、モルモット。

いかがでしょう?
これらが あたしが飼っていたものです。

さすがに、ゴキブリ・なめくじ・ヘビは飼えませんでしたが…
いち時期、観察日記なんかもつけていたりしました。

オホホホー どうだ!!





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2002年11月03日(日)



 歯医者【もしもの話】

『ほんと、歯白いよね。表現するのに難しい色だよね。
さし歯作るの大変だったよ。』

「そう、なんですかね? …あたし 牛乳飲んでたりしますから

『じゃあ、今日で 治療終わりだね』

「あの、もしもの話ですけど、親知らずが虫歯だったらどうします?もしもですけど…

『抜くよ』

「そうですか… ありがとうございました。」

『はい、口大きく開けて』

「いや、?もしもの話ですから」

『では、もしかしたらってことで、口を…』

犬に折られた前歯は、さし歯として よみがえりました。
親知らずは、全部抜かれることになりました。

先生は、とても満足そうでした。
あたしは、不満いっぱいです。





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2002年11月02日(土)
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