さくら猫&光にゃん氏の『にゃん氏物語』
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2003年07月29日(火) |
にゃん氏物語 葵02 |
光にゃん氏訳 源氏物語 葵02
左大臣家にいる葵夫人は こんな源氏が心多くて当てにならないのを 気に入らないが あまりにもあらかさまで言ってもしょうがないので 深く恨む事も無い でも夫人は妊娠していて気分が悪いし心細かった 源氏は そんな葵夫人に 新しい愛情を感じ始めていた そして嬉しい事と思いながら不安に思う舅夫婦と共に 安産を祈った こんな時は源氏にも心の余裕が無くて 忘れてはいないが訪ねて行く ことのできない恋人の家が自然に多かっただろうと思われる
そのころ前代の加茂の斎院が退下して 皇太后腹の院の三の宮が 新たに斎院になった 院も太后も 特に愛していた内親王だから 神にお仕えする身分に なるのを親心に辛く思ったが 他の姫宮に適当な方がいなかった 斎院就任の儀式などは古くからのお決まり事で簡単に行われるのだが 今回は とても盛大に行われる 斎院の人柄によるものと思われる
御禊の日(斎院が加茂川で行うみそぎの儀式)に供奉する大臣は 定員の他 特に宣旨があり 源氏の右大将も加わった 物見車で出かける人達は その日を心待ちにしている
一条大路は物見の人と車で隙間も無い あちらこちらにできた桟敷席 (さじきせき)は思い思いの趣味を凝らして競い合い 御簾の下から 出された女の袖口もそれぞれの特色があった
左大臣家の葵夫人は そのような所への外出を好まず 気分もよくない 時期だったから 見物することなど考えていなかったが 「それではつまらない 私達だけで見物に行くのは張り合いがない 関係の無い人でさえ 今日の見物は大将殿を見上げるのに興味があり 労働者も地方の人も 遠い国々から妻や子を連れて上京してくる それなのに奧様が出かけないのは あんまりです」 と女房達が言う
それを母君の宮様がお聞きになって 「今日は貴方の気分も少し良いのだから 出かけない事は女房達が 物足りなく思うだろうし 行ってらっしゃい」 こう言うので 急にお触れを廻して 葵夫人はみそぎの行列の物見車の人になった
さくら猫にゃん
今日のはどう?
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