わたくしのやうな独りじゃうずは、他にはゐますまひ。
ラヂオはけふも慎ましやかに退屈を奏で わたくしのやうな暇人は法螺貝に耳をあてるが如くそれに聞き入るのです。
午後のけぶる陽射しを避けて 生々しい機械音をたてわたくしは腐り続ける脳を皆々様に披露するのです。
そうして皆々様においてはけふのやうな心地良い気だるさを まるで冷や水を飲み干すが如く払拭なさるのでせう。
脳が 脳が 脳が
腐ってゐるのです。
ドォナツ盤は熱で歪んでしまひました。 わたくしの一等のお気に入りでございましたのに。
想ひが過ぎるといふことは 足りぬよりも具合が悪ひ。
こひしくて堪らなかったあの御方 今はいづこにいらっしゃるのでせう
こひしい こひしい こひしい
交わした契りはわたくしを脳を腐らせてゆくばかり 困ったわわたくしまるで童女のやう
あの御方が頬笑む度に わたくし頬が林檎のやう 厭だわわたくしみっともない まるで片恋の小娘のやう
言葉に出すのは容易ひけれど 貴方はもっとずっと尊ひ
けふのやうにけぶる日は 貴方を想ひ裾を割る
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