季節は巡ったのですね
僕は大人になり
君は人魚姫
泡粒になって
小さな
大きな
泡粒になって
海を揺らした
僕の血だらけの手は
小さな希望を幾度となく掴んだ
ポケットに仕舞い込めたのはわずかではあったが
僕の血だらけの手は
汚してしまった
綺麗なもの全部
けれどけれど。
貴方はその血を丹念に拭き取ってくれたね
自身が汚れるのを厭わず
貴方に全て救われた
貴方、貴方の言葉に
僕の人魚姫
どうか消えないで
いつまでも寄添って欲しいんだ
僕の人魚姫
泡粒になるなんて
優しい残酷物語
消えてしまうならばいっそ触れなければ良かったものを。
巡る季節を浮かべては
涙と共に語るでしょう
そしていつかは君のように
このお話は泡粒となり
時の中に溶けるでしょう
君だけが僕の真実
そうであったと信じたい。
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