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無頓着な男

私は無頓着な男に弱いということを、今更のように思い出した。
この場合の「弱い」は、「惚れる傾向にある」という意味と「はまってしまう」という意味を合わせ持っていて、危険だ。
要するに、好きなタイプなんだけど、ここでの問題は、はまってしまった男が無頓着(と同時に鈍感な男が多い)だということだ。
彼らは、人の話しは聞くし、理解しようともするが、何故私が怒っているのか、何故突飛な妄想に支配されているのか、理解できないで困った顔をする。
無頓着ゆえの悪気のない行動に、私はいちいち余計な詮索をし、悩んだりする。
しかし、無頓着な男は私が落ち込んでいることすら頓着しない時があり、それは、ますます私を不安にさせる。
私の事なんて、どうでもいいんだ、と。
しかし、彼らの言い分によると、「ただの妄想にいいわけしても仕方ないじゃない」なんだそうで、確かにそうだと思う。
私が勝手に悪い想像をして、勝手に不安を覚えたり怒りを感じたりしているに過ぎない。
彼らとて、自分ではない、私の頭の中の男の事にまで責任持てないだろう。
でもそう思わせる要因を作ったのも無頓着な彼らゆえの事のような気がする。


彼らは時に、私を狂わせる。


しかし、その無頓着さゆえに、一本の電話で私の不安を解消してしまうのもまた事実である。



2002年12月28日(土)

当たり前

12月28日。AM6:30。
寝るっつってるのにまだ寝てません。
ダーリンと離れて過ごす日々がはじまりました。
っつっても、29日にはうちの家族とダーリンとご飯食べに行くし、
31日から1日には初詣に行く予定なんだけどさ。
でも出張以外で彼と離れて寝る(つまりは彼は自由)のは久しぶりで、
元来心配性で、嫉妬心大で、妄想癖な、ダークサイドな私が顔を出してきて
嫌になります。
新大阪で彼と別れて帰り、0:30頃
「今、会議真っ最中。時間がないのでまた明日電話するね」
とメールが来たのです。で、私は素直に
「家族会議?がんばってね。電話待ってるよ」
と、返したのですが、本を読みおわって暇になり、寝ようとすると、
妄想がむくむく。
彼は、もしかすると、私が前働いていたスナックに行ったのかも。
「兄貴の子供に」と買ったお土産持って。
でもでも、だとしたらどうして嘘を?
いつも行く時は、隠さず、行ってくるって言うのに。
うしろめたい事でもあるの?なんで?
なんて。行ったという根拠もないのに、勝手に妄想して、勝手に落ち込んで。
だめだな。
離れると、不安になる。
いつも一緒にいるのが当たり前になっていて、その「当たり前」が当たり前でなくなったとき、不安にかられる。
ふたりの間の「当たり前」は心地よいけど、
実は私の勝手な思い込みで「当たり前」と思っているのではないか?
そして、仮にそうだとしたら、
私と彼の関係って、ものすごく希薄で、隙だらけなんではないか?

そんなこと考えて眠れない。AM7:00。





2002年12月27日(金)

冬の思い出2(バリ・お間抜けエステ編)

垢すりの事をエロバカ日誌に書いたら、ロゴロゴ様から楽しいメールをいただきました。
ありがとうございます!

で、ロゴロゴ様のメールを読んで思い出したのです。
あの12月の思い出を。

19歳の時、バリに長期滞在(つっても2週間ほどですが)して、帰国する二日前、
「さっぱりして帰っか!」
と思い立って、滞在していたホテルの近所にあった怪しげなエステサロンに行ったのです。
そこは、日本語のチラシを配っていた所だったので、日本語OKだと思って。
ところが。
行ってみると、さっぱり日本語が通じない。
身振り手ぶり、お互い片言の英語で、全身エステ、フェイシャルエステ、ネイルアートの三つを注文して、料金を先払いし、案内されるまま店の奥の個室へ。

昼なのに薄暗い部屋に通された私は、私の担当らしい女性が、部屋にあるバスタブにシャワーで湯を張るのをぼうっと立ち尽くして見ていたのですが、彼女は、私に服を脱げと身振り手ぶりで指示したのです。
ま、エステだしね、という事で、素直に全裸になろうとしたら、彼女は変な顔をして彼女は部屋を出ていったのです。
しかも私が着替えている最中にドアを開けて。
え、ちょっと?脱がなくても良かったわけ?いや、そんなことはあるまい。きっと私の脱ぎっぷりがよかったからびっくりしただけだ。
と、気を取り直して全裸に。
ドアの向こうには、この店の人らしい男性が二人いて、ドアが開いた一瞬、目が合ったのですが、ま、旅の恥はかきすてと言う事で、ちょっと位いいやと、気にしなかったんです。
で、全裸になったはいいのですが、担当の女性がなかなか帰って来ない。
全裸で手持ち無沙汰になった私は、お湯がたまりつつあるバスタブを見て、
「もしや、『私がいない間に、シャワー浴びて綺麗にしとくのよ!』って言ってたのかなぁ。」
と思い、バスタブに入ってシャワーを浴びたのです。
そこに彼女が登場。
シャワーを浴びる私を見て、一瞬ぎょっとして、
「#$й¢Я@〜!」
と訳のわからない事を言い、笑っています。
「・・・もしや・・・シャワー浴びなくても良かったの?こっぱずかしぃー!」
余計な事をする女。それが私。
ま、旅の恥はかきすてっつー事で(何回かきすてるつもりだ)気を取り直し、彼女に促されて台の上にねっころがりました。

で、エステ開始。

それがもうスンゲー痛ぇの!
二の腕とか、ふくらはぎとか、ゴリゴリされると痛い所を、

「今日旦那さんと夫婦喧嘩でもして来たわけ!?」

っつーくらい、これでもか、これでもかってゴリゴリするんだわ。
悶絶しながら、身振り手ぶりで
「痛いから優しくして。」
と伝えると、彼女はまた変な顔して、今度は腰のマッサージに。
それがもうスンゲー痛こしょばいの!
もともと腰痛持ちなんだけどさ、気持ちいいっつーか、マッサージ慣れしてないせいもあるけど、
「うはぁ!」
ってなるんだ。
思わず台の上でもじもじ。彼女は
「変な日本人だ。」
とでも言いたげに困惑顔。

で、マッサージが済んでぜぇはぁ言ってる所に、ヨーグルトパックが施されたのですが。
まずはうつ伏せでパックされたのですが、パックが始まって、いよいよ動けない時に、別の女性が部屋に入ってきたのです。
全裸で丸腰で地獄のマッサージを受けて、必要以上に厳戒態勢だった私はびっくりしてドアの方を見たのです。
入ってきた女性はいいよ。女性は。

ドア、開けっ放しですから!!
さっきの男性二人組みがこっち見てますから!
しかもドアの方に足向いてますから!
尻からナニから丸見えですから!


うぅ・・・察してケロ。お願いだから締めて・・・(泣)

男性二人は別段にやにやするわけでもなく、渋い顔でなにやら話し合っておりました。
それも正直微妙にショックであり。(こんな所だから、女性の裸に慣れてたのかも知れんが)

怒涛のごとく、全身エステは済み、体中についたヨーグルトパックを、さっきのバスタブ(お花が浮いててラブリーだった)で洗い流し、ジンジャーティーを飲み、次はフェイシャル&ネイルへ。

別室に通された私は、ここでも恐ろしい体験をするのです。

まず、低い寝台に寝かされ、フェイシャルエステが始まりました。
と思ったら、ネイルも始まりました(爆)
え、え、ちょっと?同時進行なわけ??
顔やられてると、ネイルがどんなんか見えないじゃないですか!
とか思いつつ、もうすでに顔を彼女らに預けているので抗議もできず。
しかも、顔と手足を固定されて、ちょっとしたガリバー気分です。
まぁいいか、と思ったその時!
フェイシャルをしている女性がアルコールのような液体で私の顔を拭いた後、医療用メスを手に取ったのです。

え!ちょっと!整形なんて頼んでないよ!!やーめーてー!!

とか思っていると、彼女は私の顔の吹き出物をそのメスで削ぐように潰しだしたのです。

いやいやいやいや、それもそれで問題だし!え?ちょっと、そんなとこ、吹き出物なかったよ!なんで削ぐのさ!

とか思っていると、ネイルをやっていた女性が、爪ヤスリ(金属製)で、爪の間をパチンパチンと音をさせながら磨きだしたのです。

いでででで!爪割れるってば!つーかそれ以前に生爪剥がれるってば!
え?え?いってぇ!!甘皮剥くの強引過ぎ!切れる切れる!

とか思っていると、またフェイシャルの方に問題発生。
なにやら怪しげな人工の匂いがする液体をハケで顔に塗りだしたのですが、それが乾燥するにしたがって、皮膚に激痛が!
特に鼻息があたる鼻の下がピリピリピリピリと神経症のように痛むのです。

いでででで!いでーよバカ!なに塗ったんだよ!

ついにバカ呼ばわりです。
つーか、言葉が通じれば、
「じゃ、今からパックいたしますね。ちょっとしみるけど、大丈夫ですから〜」
とかって説明もあって安心できるんだろうけどさ、なにせお互いがなに言ってるか解んないから。
あ、とはいえ、上の暴言は口に出して言ってませんよ。「いででで」とは言いましたが。

あぁ、もう終わった。
私はきっと、ボロボロの顔で2週間ぶりに彼氏に会うハメになるんだ。と絶望感に打ちひしがれた時、追い討ちをかけるように、乱暴にタオルでそのパックをぬぐい始めたのですが、それがまたピアスにひっかかって耳がちぎれそうになってね。

そんなこんなで怒涛のごとく、フェイシャル、ネイルが終了。

呆然としながら、どういう過程か見られなかったネイルを見ると、これまた脱力しそうなネイルアート。ニコニコと笑うネイリストの手には爪楊枝が。
笑顔が引きつりながらも、
「べりー・・・びゅーてぃほー・・」
とお世辞を言い、エステサロンを出るとスコール。

「傘を貸しましょうか?」
というエステサロンの人の言葉を、
「ホテル近くだからいいです」
と断り、雨に濡れながらホテルへと帰る。
雨に濡れながら、二日後の帰国時の自分の肌コンディションを思い、呆然。
素っ裸を見られた事なんて、この時にはすっかり忘れていました。

一緒に行ったメンバーの一人は、送迎バス、豪華昼食付のゴージャスエステ(日本円で1万くらい。)に行って至福のひと時を過ごしたそうな。
ちなみに私のエステは、日本円で大体2000円位。
・・・美容に関してはケチってはいけません。

ま、面の皮が厚い私は何事もなくツルツルの顔で彼氏と再会しましたが。

12月になると、お間抜けながらも楽しかったバリ旅行の事を思い出しては、また行きたいなぁと思うのです。
・・・あのエステサロンにはもう行きませんが。
2002年12月06日(金)

冬の思い出1

だーれのせいでもありゃしないーみんなあいつが悪いのさーでんでろでんでろりーん。

冬になると小学校の事を思い出す。
え?え?上の歌はなんだったんだって?なんでもねぇよ。小学校の時の思い出と共に当時志村けんが歌ってたのを思い出しただけだよ。


とにかく、冬には小学校の事を思い出すのだ。
冬の、ストーブの匂いと、あの先生の事を思い出すんだ。


小学校一年の時、私はどうしようもない生徒だった。
ま、今でもどうしようもないけどさ。
とにかく、忘れ物は日常茶飯事、宿題なんてまともにやった事なかった。
普通さ、小学校一年生とかって、教えて貰う事の一つ一つが新鮮で、楽しくって仕方ないじゃない。
ま、私も授業中は、指先までピンと伸ばして手を上げて、先生の「わかる人〜」という甘い言葉に自分が指名される事に、情熱をかけてたよ。
でも、その情熱も学校でだけ。
家帰ってからの宿題ってやつが嫌だったんだ。
私、小学校一年、二年と、ママが仕事行ってる間、幼馴染で初恋の君であるY君の家で預けられてたんだよね。
で、学校終わって、Y君ちいって、ママが迎えに来る6時ごろという短い時間、いっぱいいっぱいにY君と遊びたかったんだ。
だから、Y君と一緒に通ってた公文は休まないで行ってたけど、宿題はしなかったの。宿題やる時間があったらY君と遊びたかったから。
恋する乙女に宿題は障害だったんだよね。


で、そんな毎日が続いた冬のある日、先生に
「放課後ちょっと残るようにネ」
って言われたんだ。
もうその頃にはガスストーブが出されていて、生徒が誤って触って火傷しないよう、ストーブはまるで獰猛な動物みたいに檻に入れられてた。


私が放課後残るように言われたその日、ストーブの檻の上に、アルミホイルで包まれた謎の物体が乗せられていた。
生徒達が口々に、
「先生これなんですか?」
と聞いても、先生は、
「内緒。」
と笑うばかりで、生徒達はそのアルミホイルの中身を詮索するのに躍起になってた。
「やきいも?」
「内緒。」
先生は、頑なに秘密を押し通した。
その頃、先生に「秘密」があるなんて思ってもみなかった私達はちょっぴり衝撃を受けて、休み時間になるたび、ストーブを囲んでこの中身がなんなのか、議論を交わしあってた。


そして放課後。私は先生に言われたとおり、教室に残った。
誰もいなくなった教室は、ひどく広くて、心細かった。
先生は、
「リカちゃん、どうして忘れ物をするのか、宿題をやってこないのか、怒らないから言ってごらん?」
と、優しく問いかけた。
私は、怒らないから、とか言いながら、先生は怒ってるから私を放課後残したんだと思って、緊張してしまって、何も言えないでいた。
もともと何も言う事がないんだ。
Y君と遊びたいから、なんて、理由になるわけもないし、なったとしても怒られるだけだという事を、わかっていたように思う。
この頃の私は、どっちかと言うとおとなしく、すぐ泣いてはY君に守って貰うというような子供だったし、一人で、先生に対して何か意見すると言う勇気もなかった。
私が泣きそうな気分で黙っていると、先生は
「寒いわねぇ」
と言いながら、ストーブの所へ行き、例の秘密のアルミホイルを手に取った。
そして、私の所へ戻ってきて、
「秘密よ。」
と笑いながらアルミホイルを剥いた。


中から、焼きいもが出て来た。


先生は、それを二つに折ると、半分を私に手渡した。
「放課後、リカちゃんと食べようと思って、乗せておいたの。どうぞ。」
私は、さっきまでの、「怒られた」という緊張した状態から、急に優しくされて、緊張が緩んで、また泣きそうだったので、飲み下すのに苦労しながら、焼き芋を食べた。
先生は、それ以上、どうして私が宿題をやってこないのか聞かなかった。
ただ、帰りしなに、
「明日から、ちゃんとやってこようね」
と、言ったきりだった。


帰り道、私は、先生と秘密を共有した事が嬉しくて、ワクワクした気持ちでY君の家に帰った。先生と秘密を共有する事は、私にとって、とてもドラマチックなことだったんだ。
だけど、大好きなY君にも、ママにも、焼き芋の事は秘密にしていた。もちろん、他の生徒達にも。
その日から、私は、ちゃんと宿題をするようになった。


あの日の焼き芋の味は覚えていない。
泣きそうな気分だったから、味なんてわからなかった。
だけど、冬になるたび、あのガスストーブの匂いと、焼き芋をくれた先生の事を思い出しては、あの日と同じように、泣きそうな気分になるんだ。

2002年12月05日(木)

宝物 / リカ

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