恋文
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小鳥の声が かまびすしい
半夏生の まぶしいような
髪が じっとり 重くなる
週末の夜
重いカラダになる あれこれと 考えるあいだに
すらりと伸びた 花の傍らを その色を 見送って 足早に通り過ぎる
奇妙な夢を さまよっているうちに 戻れなくなる
すっきりしない 一日を終わる 雲ばかりの空
もじずりの 花がのぼる 真昼の空
ひとしきり 雨が降った
風が冷たくなって 喜んでいたら
また蒸してきた
朝顔が咲いたので 花びらに伝う 雨を見ている
窓をあけて 音だけ 聞いている
どんどん 遠ざかる たくさんの 車の姿を
たどってゆく どこか
いつか見た 夢がよみがえり 繋がってゆく もうひとつの 世界にいる
無言で 日が 照っている
山の上の 白い山のような雲 道の向こう
そんなに 悪くない これまでだった
きっと これからも そんなに 悪くないだろう
朝と夜には 窓を開けて 風を迎える
自分をなだめる
ゆっくりと
闇のなかに 歩みだす気配
町のなか 音のひびきも 雨にくるまって
目覚めると 聞こえてくる 囁きのような
境目のない 夢のなかに 朝の光を 見ていた
いつでも ふと 不安になる
なにも 確かではない
いつまでも 仮のわたし と
思う いつもの日々
なるように なるだろう
なりたくなくても
なってしまえば なっている
空っぽが いつも 通ってゆく
窓を開けて まだ 冷たい 風を迎える
遠くの騒音
聞こえる音を 聞き 見えるものを 見る
人ごみに 目がくらむ
すずめの声が かまびすしい
こんな 街の中なのに
濃密な 草木の匂い
陽のしたの 立ちくらみにも似て
わたしが わたしになる
声にだせなくても
変わることを
ひとりで 見つめている
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