恋文
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2011年12月31日(土) 台所

ぎんなんが
ぷつん と跳ねる
ヒスイ色

夕暮れの台所


2011年12月30日(金) ちぶさ

わたしを
おんなというからには

どこかに
おんながひそんでいる

いや ひそんでいるのではない

あからさまに

おんなであったり
するのだが

ちぶさがあるはずのところ

ふれても かすかな
ふくらみ


2011年12月29日(木) 一日

一日なんて
なにもしなくても
過ぎていってしまう

気づかないまま


2011年12月28日(水) また あした

あ 雲が
いつか厚くなって

夕焼けも
ないのだった

かすかに
空の名残


2011年12月27日(火) いちにち

いちにちの
終わりのために

いちにちを
過ごす

また
いちにちが来る


2011年12月26日(月) 冬の朝

カーテンから
洩れてくる光

朝と知りつつ
まどろむ
冬の朝


2011年12月25日(日) 青空

空が青い

向こうの
山も青い

心を穏やかに
過ごしていたい


2011年12月23日(金) 歩く

歩くあいだ
なにも
考えていなかった

何か考えようと
思っていたのに


2011年12月22日(木) 長い夜

星が見えない
長い夜

あなたからの
短いメッセージ

約束を待っている


2011年12月21日(水) かけら

ひとつにならない
わたしは

ほろほろ
めぐる

かけらのまま


2011年12月19日(月) 夜の道

クリスマスの
イルミネーションも
冷たい色

夜の道


2011年12月18日(日) 昼下がり

誰も
焦らない

誰も
押さない

冷たい風が
吹いても

ゆっくり
時間の流れの
なか


2011年12月17日(土) トンネル

トンネルを
いくつもくぐる

夜から 夜へ

知らない場所にいる


2011年12月15日(木) 毎日

何事もなく
過ぎてゆく毎日

波紋はいらない


2011年12月13日(火) 青空

透かし見る
青空の
まぶしさ

記憶と
遊ぶひととき


2011年12月12日(月) 夜のバス

バスの窓に映る
外と中の顔

知らない町を
見ている


2011年12月11日(日) ひかり

光と翳との

あいまいの
あいま

木と木と
葉と葉と

透かして
やってくる

遅い午後の
ひかり


2011年12月09日(金)

水の音を
聞きながら
まどろむ

ベッドの中の
暖かさ


2011年12月08日(木) 冬の花

いまもまだ 咲く
さつきの生垣

思い出したように
咲く 朝顔

雨は 黙って
降る


2011年12月07日(水) 先のこと

明日のこと
週末のこと

それから
一月先のこと

考えているけれど

何年も先のことは
考えられないのね


2011年12月06日(火) 雨の夜

雨のなかに
歩みだす

風もいっしょに
ついてくる

街灯のひかりが
きらきら煙って


2011年12月05日(月) 海の思い出

堤防の ここから 先まで

歩いてみましょうか

波が 寄せては ゆき

空は どんな色だったかしら

風は 冷たかったかしら


2011年12月04日(日) 真昼

真っ青な空に
白い月
ぼんやりとして

冷たい空気


2011年12月03日(土) 雨の午後

洗剤から
湧き上がった泡が

目の前で
消えた

雨の日の午後
台所は
もう 暗い


2011年12月02日(金) 雨の日

水溜りをよけて
蛇行する

足元からも
湿ってゆく

傘のなか


2011年12月01日(木) 冬の雨

忘れていたみたいに
ぽつん ぽつんと
花が咲いている

さつきの植え込みに
雨がふりそそぐ


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