恋文
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2011年08月31日(水) 夜だから

カーテンが隔て
窓が隔てる
向こう側の

ここにある
ここではない
世界の

息吹を
膨らませている

今日も


2011年08月30日(火) 夜の目覚め

遠くの国道から
響いてくる

音に
押されるようにして

浮かぶような
沈むような


2011年08月29日(月) 沈む

なにが悪いと
言えなくても

沈潜する

得体の知れない
なにか


2011年08月28日(日) 暮れる

木々の
ざわめきに
紛う

すずめたちが
木立の暗がりに
帰って

空は
ゆっくり
暮れる


2011年08月27日(土) 夜に

風といっしょに
入ってくる

虫の声だけでなく
街のざわめき

きょうの終わりを
迎える


2011年08月26日(金) 激しい雨も

静かな雨は
好き

だけど
激しい雨も

風が
運んでくれる

しぶきを
受けていようね


2011年08月25日(木) 夕暮れ

取り残されたような
気分になる

秋の気配の
夕暮れ


2011年08月24日(水) 雨風

入ってくる

風のおと
雨のおと

眠くなる


2011年08月23日(火) ここではないところ

ここではない
夢をみる

遠くでも
遠くでなくても


2011年08月22日(月) 夜になる

さっきまで
鳴いていたのは
せみ

いま
鈴虫が
鳴いている

夜になる


2011年08月21日(日) 海の似姿

波を分けてゆくような
音を聞く

山裾の
この街に

雨が
運んでくる


2011年08月20日(土) 秋の声

もう
秋の
声になる

窓を
開けたまま


2011年08月19日(金)

雲に すっかり
隠れてしまった

山並みから
風を受け取る
雨の街


2011年08月18日(木) 泳ぐ

ゆらゆら
水のなかの
ひかり

時間から
離れてしまっている


2011年08月17日(水) 夏日

ゆらゆら
水面に浮かぶ
さるすべりの花

蜂が行き来する
陽射しのなか


2011年08月16日(火) 真っ直ぐではない

全部の
わたしのために

歪め
撓め

切り
削り

まっすぐ
ではないけれど

わたし


2011年08月15日(月) へび

へびが
渡ってゆく
川の流れ

日射しに
ぬるむ水


2011年08月14日(日) 川遊び

子供たちが
遊んでいる

川の流れは
きらきら光る

緑の岸辺に
日は照りつけて


2011年08月13日(土) 曇り空

雨を待つ

せみの声
聴くばかり


2011年08月12日(金) 夏空

さるすべりの
並木道を行く

空の青


2011年08月11日(木)

音だけ
響いてくる

空の雲は
厚くなって

それでも
どこか遠く

のどかな
午後の日


2011年08月10日(水) 彼方

夕日といっしょに

沈んでゆきたい

山裾の

その向こうのほう


2011年08月09日(火) 夢見る

わたしを
夢見る

夢見る わたし

昼下がり
セミの声

真っ白く
切り取られた
陽射しのなか


2011年08月08日(月) さるすべり

真昼の 夢です

さるすべりの
並木道を

みんな
歩いてゆきました

見知った人は
いたでしょうか


2011年08月07日(日)

暑さに
酔って
歩いているよ

空は すぐ
暗くなって

雷の音が
聞こえてくる

みんな
ざわめきの
まんなかで


2011年08月06日(土) お祭りの後

お祭りの
ざわめき
遠のき

雨になる


2011年08月05日(金) 雲の峰

山並みの上に
重なる
雲の峰

雪のような
空のひかり


2011年08月04日(木) 雨の午後

雨になり

午後の時間は
なおさら

ゆっくりと
過ぎる


2011年08月03日(水) たそがれ時に

少しずつ
熱は
冷めていった

風のなか

まだ
熱をもった
身体から

一日を
終わろうとする


2011年08月02日(火) 街灯

冬の夜にも

夏の夜にも

街灯の光は
冴え冴えとして


2011年08月01日(月) 夜の間も

夜の間も
消えない
音も光も

どこか
だれか

生きている


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