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こんなところで 出逢えたのね
語り合う 一瞬のあいだの
永遠
花の傍らを 通り過ぎる
風と一緒に 歩く道
ゆらゆら 揺れるひかり
街の ざわめきに
押されるように 過ぎてゆく
雲に すっかり 覆われて
山は そこに ないかのようだ
普段どおりの 朝が 始まる
短い夢に しばし留まり
今のなかに 歩き始め
どことも しれない ところまで
一喜もすれば 一憂もする
その姿の 自然
群青の空
見えない 風は 音ばかり
誰かの声が きれぎれに 聞こえている
押されたり 戻されたり
よろよろ 歩く
光が溶けて ぼやけた空
木陰は ゆらゆら
眠たげな
枝毛の 分かれる
まっすぐに 落ち着かない
自分の そのまま
朝顔が咲く 曇り空のした
青空のように
夢のなかの あなたに 逢いにゆく
きっと わたしではない わたし
薄いカーテンの 向こう
風も 音も ゆっくり たゆたう
暗くなった 空のした
灯りも たゆたう
あちこちに 置いてきてしまった
思い出は
順番に 消えてゆくとしても
まだ 身近なような
その町、森や川
交差点を すれ違ってゆく
たくさんの ただひとり
同じ景色のなか
季節は 少しづつ 変わる
わたしは どんなに 変わるだろう
霧の朝
何の予感もない
今日に 立ち向かう
夜の風に 浸っている
ときに 静かに 拒まれるとしても
明け方に さまよう
夢の 奥のほうへ
今朝の 雨の この風のなかで
うなだれたような 花びらといえ
伸びてゆく 枝の どこにでも
まだ 堅いままの 小さな蕾
夜を過ぎて 風が冷たくなる
そのまま 雨を連れてくるだろう
街の音が くぐもっている
窓を 開け放す 夜の街に
声を 聞いている
世界が 生きていること
外からの 風と音
生活も 自然も ないまぜになって
眠る前の ように
暮れてゆく 空は
細い 隙間の向こう側
窓に映る 中と外と
どんな不安な 一日も
過ぎてしまう
眠りに 帰ってゆく
ふきを切る
香りに
今日を 終えようとする
もういっかい 眠ろ
いい夢 見たいのん
怖い夢は いやなん
うとうと 朝のひかり
ぼんやり いつか
また 夢のなか
手紙を 捨てる
そんなにも 遠い ところ
もう戻らない
いま ここに いるだけで
つまらない日々 空の色のまま
彼方まで 続いている
どこにも 行かない
そのまま 夢の内に
はいりこむ
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