恋文
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2009年06月30日(火) 平穏

何も変わらない
わけではない

けれど
なにごともない
毎日がすぎる


2009年06月29日(月) 静か

動いても
影もないみたい

静かすぎて


2009年06月28日(日) 光も 影も

光は まっすぐ

テーブルに
影をつくる

その影も
まっすぐ


2009年06月27日(土) いちにち

いちにちの 長さ
一日のまま
暮れてゆく

何か 
したような

しなかった
ような


2009年06月26日(金) 皮袋

おなか いっぱい
わたし
皮袋に なったみたい

でも、
人って
ふだんから
皮袋なんだよね


2009年06月25日(木) うもれたもの

埋もれたものは

持ってゆけるだろうか
消えてしまうだろうか

もう 見つかることだって
あるだろうか


2009年06月24日(水) 花の香り

外に
一歩 踏み出す

顔に突き当たるように
やってきたのは
風ではなく

青いような
花の香り

暖かさが
戻ってきて


2009年06月23日(火) 雨粒

いつでも
降り出しそうな
雲の色は

そのまま
町の色のように
なる

風が
しぶきのような
雨粒を
乗せてくる


2009年06月22日(月)

季節が
後戻りをする

風のなかに
立っているあいだ



2009年06月21日(日)

わたしは
魚なのに
海が 怖い

怖いけれど
懐かしい

寂しい気持ちの時には
わたしは
海のようになり

漂う 波のあいだ


2009年06月19日(金) いい

音や
影や

触れられないものは

いつも いい



2009年06月18日(木) 夕立

こどもたちの
声が消え

雨のおと
ばかりになる

今日の
白い帳が
おりる


2009年06月17日(水) イルカ

知らないうちに
消えてしまった

すり抜けて
去ってしまった

海に
帰っただろうか


2009年06月16日(火) 毎日

なにも起こらない
毎日は

夢から目覚めて
また 夢にはいるように

いつか
目覚めたら

消えてしまうだろうか


2009年06月15日(月)

ブラインドの隙間から
わずかに光がはいる

雨の音も
かすかに

思い出のなかに
座っているみたい


2009年06月14日(日)

切ってもらった
髪は
捨てました

肩の上で
なんだか
たよりない
けれど

くるんと
束ねると
たわしの先の
ようです


2009年06月13日(土) 始めるために

まだ 胸まで
とどかない
髪だけれど

また 切ってしまおうか

もう いっかい
そこから
始めるために


2009年06月12日(金) 風景

見慣れた
風景も

いつか
見られなく
なるだろう

思い出のなかに
また
ひとつ 残る


2009年06月11日(木) よどみ

こんなに早い
流れのなかでも

よどみで
くるくると
回っている

いずれ
また 流されるとしても


2009年06月10日(水) 時間

ここと
どこかで
時間の流れも
違うかもしれない

まるで
知らないところを
思ってみる


2009年06月09日(火) 日々

雨と 雨の 
あいだに
過ぎてゆく

晴れ間の
空にも
雲のかげ


2009年06月08日(月) 夜の音

ささやきのように
降る雨が

一日を
見送ってくれる

夜の音に
溶け合って


2009年06月07日(日) 逢う

どれほど
たくさんの
時間だろうか

生きている
あいだに

まだ
逢えることが


2009年06月06日(土)

子供達の声が
聞こえる

ときどき
妬ましい
くらいに

明るい

泣いていたって


2009年06月05日(金) からだ

からだの
かたちも
はたらきも

自然のままに
あるから

うとましいことも
ある


2009年06月04日(木) 逢いたい人

眠る間に
逢いに行った

それでも
久しぶりだったのだ

あまり話せないうちに
目覚めてしまった

こんど
いつ逢えるだろうか


2009年06月03日(水) 記憶

滑り落ちてゆく
記憶のすき間を
わたる

遠く
影のように
まだ ある


2009年06月02日(火)

花のかおりが
入り混じって
夜の匂いになる

少しづつ
暗闇がひろがる


2009年06月01日(月)

丘の緑に
繋がるように
雲が覆っている

雨が降ってもいい

鳥のさえずりも
混じって

囁くように
降る雨に

少し 濡れていようか


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