恋文
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2009年03月31日(火) チュニック

夕刻は まだ
あかるかった

風は 少し
つめたかった

たたずんでいる ひとの
チュニックの襞が

やわらかな
波を えがいていた


2009年03月30日(月)

記憶のなかに
紛れてしまう

遠い国の
春のすがたを

探っている


2009年03月29日(日) 丸く

少しづつ
すり減ってゆくのは
あたりまえのこと

疲れてしまったら
休んでいよう

まんまるくなった
自分に
なってしまいたい


2009年03月28日(土)

ただ 雨のなか

濡れたまま

音もなく


2009年03月27日(金)

いつでも
落ちてしまう

石は
遠くに

見えなくなる


2009年03月26日(木) 日々

始まるとともに
終わりを待つ
毎日

日は そうして
進む


2009年03月25日(水) 目覚め

目覚めたときの
夢にもどったような

あいまいな
いちにちです

もう一度
目覚めましょうか


2009年03月24日(火) 行き止まり

すとんと
行き止まった

壁のまえで
うろうろしている

立ち止まらなければ
どこに
ゆこうか



2009年03月23日(月)

雲のあいだに
のぞく 
空が
逆さまになった
池のように
光っている

落ちてしまいそうに


2009年03月22日(日) 部屋

それは
主のいない
部屋で

みんな
いつものまま
佇んでいて

歩み入ると
そのまま
いつものとおり


2009年03月21日(土) 変わる

変わったのは

世界でしょうか

わたし自身でしょうか

変わらないものが
どこにあるのでしょうか

明日 わたしは
どんなになるでしょう



でも、きっと
誰も知らない


2009年03月20日(金) 霧の中

道しるべが
ないとしても

だれかの 姿
だれかの 声

たどって
歩いてゆく


2009年03月19日(木) 夕日

短い草が
鉄路のあいだに
広がっている

雲のなかから
夕日がのぞく

風が
冷たくなった


2009年03月18日(水) 陽だまり

いずれ 
雨も降るだろう
嵐にもなるだろう

いまは まだ
陽だまりのなか


2009年03月17日(火) 道行

霧の中を
歩くのにも似て

いま 目の前の
道のりを進み

目に見える
角を曲がる


2009年03月16日(月)

倒れた木にも
芽吹く

春のひかり


2009年03月15日(日) 一歩

過ぎてしまえば
もう
怖くはない

また 一歩を
すすめる


2009年03月14日(土) ひとり

灯りの下で
じぶんを 見る

ぽつんと
いる


2009年03月13日(金) 浮気

春のきざしが
好きだと 思った

冬も
好きだったのに

なんだか
浮気をしたみたい


2009年03月12日(木)

すこし
外れていると

知っているし

だから このまま
進んでゆく

道の まんなかでは
ないけれど

道に
沿っているから


2009年03月11日(水) いちにち

わたしの
いちにちが
終わります

なにが
変わったわけでも
ありません

また 明日を
待つのです


2009年03月10日(火)

あなたの ところ
どんな 
空なのでしょう

こちらは きょう
まだ 暗いままで

雨が また
降りました

わたしは
雨のなかの
ひとりです

空は つながっていて

そこに
たどりつくでしょうか


2009年03月09日(月)

濁流になって
去ってゆく

大きな枝も
流れてゆく

また 雨が
やってくる


2009年03月08日(日)

風で たわむ
木々

ざわざわと
波の音が
聞こえる

まぼろしの


2009年03月07日(土) わからない

わからない

ものごとは
過ぎていって

あとで
わからなかった と

わかった

わかったことは

わからない


2009年03月06日(金) みぞれ雨

雪にならないうちに
地面に
沈んでいった

短い
ひとすじの
ひかり


2009年03月05日(木) リズム

雨だれの 音が
時計の 音に
かさなる

暗い 朝

もう 
眠りの リズムには
ならない


2009年03月04日(水)

なにも
聴いていないように
おもう

明るくなった
朝に
小鳥はさえずっていたのだろうか

ひとりで
舗道をたどっている


2009年03月03日(火) 不安

眠っているあいだ
忘れていよう

少しの不安は
慣れてしまうだろうか

また 明日がくる


2009年03月02日(月) 乖離

わたしは
素直では ない

眼差しは
どこかに
さまよっている

ふたりの
わたしと
また 歩いている


2009年03月01日(日) 不安

いくばくかの
不安と寄り添って

いちにちは
そうやって
過ぎる

明日も 
またね


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