恋文
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2009年01月31日(土) 待つ

なにも
起こらなくていい

氷のように
かたまって

春を 待っている


2009年01月30日(金) もうすぐ

ブラックバードが
ちょんちょん と
跳ねていく

暗い 朝なのに

気づくと
もう 鳥のさえずりを
聞いている


2009年01月29日(木) 流れ

どうしようもない
流れのなかに
いるとしても

考えもすれば
あがきもする

流れの果てを
見てみようか


2009年01月28日(水) 聞こえるものは

慌しく
すぎてゆくあいだ
なにを
聞いていたのだろう

ふつりと 音が
途切れる
そのとき



2009年01月27日(火) 目覚め

浅い眠りは
そのまま
目覚めになる

変わらない
暗闇のなかに
歩みいる


2009年01月26日(月) こわい

ひとつのことが
こわくなる

あれも これもと
こわくなって

じっと
うごけない


2009年01月25日(日) ひとり

すこしづつ
ひとりに
慣れる

ひとりでなくても
ひとりに
なることを
覚える

ずっと いっしょにいる
ひとりを
思う


2009年01月24日(土) 戻る

懐かしい
小鳥の声が
聞こえる

記憶は
帰ってゆく

それから
また 始まる


2009年01月23日(金)

プラットホームを
白い光が 照らしている

誰も いない

わたしも
いなかった

そこから
どこに 行けただろう





2009年01月22日(木) 軌道

出会った間もなく 
離れ始める

ふたつの
重ならない 軌道

残した声も
遠ざかる


2009年01月21日(水) 夜への始まりに

もう光を失った 空に
雲は ただの 影になる

ぽつんと 星がひとつ





2009年01月20日(火)

すこしづつ
濡れてゆく

雨と
寄り添って
歩く


2009年01月19日(月)

佇んでいるあいだ
辺りは影ばかり

ぽつんと
わたしがいる


2009年01月18日(日) あなたがいない

あなたが いない日に
風は 大きく枝を揺する

あなたが いない日に
雨が 草をなぎ倒す

あなたが いない日に
遠くの丘は 霧のなか

あなたが いない日は
誰もいない 家のなか



 


2009年01月17日(土) 冬日

しん と
蒼い色になる

雪の 森の道


2009年01月15日(木)

思い出は
影のようだと
言ったひとがいる

その影だった
わたしたちが
思い出す

たくさんの
影たち


2009年01月14日(水) まぼろし

過ぎてしまえば
まぼろしのように
思える

まだ 見ない
まぼろしを
思いつつ


2009年01月13日(火) 過ぎる日

離ればなれに
過ぎてゆく

時間 それだけが
ひとつの
世界のように

すれ違うこともない
ままに

また 一日


2009年01月12日(月) ふと

交わす言葉も
遠ざかる

気づくと
どこかに
迷い込んだように

目の前の 空間を
見ている


2009年01月11日(日)

こんなに 切っちゃうなんて

もう 背中には触れなくて

肩で 揺れている

ちょこんと 跳ねて


2009年01月10日(土)

料理中に
切ってしまったみたいです

右手親指 二センチくらい
まっすぐに

なんだ 血はでていないんだ

薄っすら 赤い
切り口が 見えて

痛くなかったのに

気づいたら
痛くなった


2009年01月09日(金) 眠りのまえに

下ろした髪を
梳いている

朝の 
ほんのわずかな
フレグランス

ふと 香る


2009年01月08日(木) ぶらんこ

高く たかく
振りあがるのが
楽しかった

いまは もう
怖くなって
しまった


2009年01月07日(水) 春までは まだ

一日は
すぐに
過ぎてゆくのに

春は
きざしもない

足もとが
凍る


2009年01月06日(火) 雪道

いくつもの
足跡を

たどり
越えて

帰って行く


2009年01月05日(月) 一日

始まりも
終わりも

暗くて
見えない

まるくなる


2009年01月04日(日)

凍った道をたどり
くすんだ空のした

丘は まだみどりのまま
ゆるやかに
つづいている

まだ たどる
その先へと


2009年01月02日(金) 一瞬

一瞬のなかに
いるけれど

その一瞬のなか
どんなに
たくさんのことが
過ぎてゆくのだろう

捉えて 留めて
いる暇もない


2009年01月01日(木) 歩く

昨日は どこに行ったのか

青い空のしたで

凍った地面を踏んで

遠い山並みを見ながら

歩いてゆくよ


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