恋文
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2007年08月31日(金) 遠く

今朝は きれいな
青空でした

歩くと
ひんやりと 風があたります

見慣れた 景色だけれど

なんだか どこかとおくに
来たみたい




2007年08月30日(木) 眠る

自分の体温と
馴染んでゆく

目を閉じて
暗闇と
馴染んでゆく

するすると
落ちてゆく
内へ と


2007年08月29日(水) 雨の朝

水のなかに
漂っているように
運ばれて

夢のなかに
なにを
残してきただろう


2007年08月28日(火)

誰も座らない
椅子は
草のなかに
濡れる

みどりの草と
赤い花が
いっしょに
濡れる


2007年08月27日(月) いちにち

いちにちが
はじまる

なにも
かわらない

いつまでも
つづきそうな
気がする


2007年08月26日(日) 歩く

歩く 歩く

赤い実が なっている
ピラカンサの枝がある
むくげの 遅い花が咲いている

林を 通り抜ける
緑の 木陰

川に出会い
透きとおった 流れ

苔に覆われた
倒木をまたぎ
水に運ばれてきたばかりの
砂地を行く

どこにも たどり着かない

歩いている




2007年08月25日(土) 解く

髪を解くと

肩にかかり

わたしに 
戻る


2007年08月24日(金) 赤い実

白い花が
咲いていた

緑のあいだ
小さな赤い実

ひんやりと
朝の陰に

ほんのり
灯る


2007年08月23日(木) 朝の空気

ふと 目眩のような気がして

目の前を 大きなトラックが
走り抜けていった

一瞬に 轢き潰されてしまうだろう
と 想像してみた

なんにも起こらなかった
ひんやりする 朝の空気のなか

まっすぐ歩いている


2007年08月22日(水) わからないこと

どこでもない
ところ

いつでもない
時間

そこに佇んでいる と
考えてみようか

いつでも
どこにでも
行けるのか

いつまでも
どこにも
行けないのか

わからない


2007年08月21日(火)

音もなく
降る雨は

息のなかに
しみこんで

からだが
しっとり
重くなる

そとも うちも
ひっそりとなる


2007年08月20日(月) 一日

すずめが降りてきて
啄ばんでいる
緑の草原

雲に覆われている


一日が
ゆっくり過ぎてゆく

解けない気持ちも
そのままに


2007年08月19日(日) 結ぼれる

髪が
結ぼれてしまい

揉んだりして
じわじわ
解きたいので

目が まっすぐに
なる

やってたけれど
もう やだ

結び目の
先っちょ

ぷっつん と
切ってしまった


2007年08月18日(土) 遠く

枝が揺れているから
夕日が
きらきら 光る

遠くの空は
とても 遠い

なんにも
聞こえなくていい

なんにも
見えなくていい

遠くは
遠いままで

なつかしい


2007年08月17日(金) 髪をいじる

行き詰ったり
困ったり
すると

いつも 髪をいじってしまう

それとも 鏡の前で
梳いている 

永遠に
たどり着けないところを

知っている


2007年08月16日(木) 青空

その青空を
想ってみる

空は 
木々のうえに
とても
高いだろう

ここからも
見えるように


2007年08月15日(水) 夏の一日

どの一日も
ただひとつの
夏の日だった

唐突に
思い出す
くっきりと
静かな影


2007年08月14日(火) 眠るまで

どこにも
たどり着かない
考えは

暗がりのなかに
広がって

どこにも
消えてゆきもしない


2007年08月13日(月)

日本のニュースでは
真夏日を伝えている
そのあいだ

夏でないような
夏が過ぎてゆき

ふと
去年を思い出す


2007年08月12日(日)

洗い物を
するあいだ

排水口を
泡が 塞いでいる

なにか
詰まっているのだろか

と 見ても
なにもない

泡も
消えたくない


2007年08月11日(土) 彼方

こんなに 速くて
濁って 見えない

流れる 
向こうの

ずっと 向こう


2007年08月10日(金) 雨の音

あのときも
そのときも

雨の思い出を
つないでゆき

今日の
雨の音を聴きながら

どこにでも
ゆける


2007年08月09日(木)

ひっくり返すたび
にゃぁー と鳴く

おもちゃが あって

いま ときどき
頭を うごかすと

にゃぁー って
鳴いてるみたい


2007年08月06日(月) オレンジ

ピンクより 
オレンジ

今日のワインは
ロゼなのに

薔薇じゃない

風が ざわざわする
音が
聞こえないのに

木々が揺れている

風がとまった
瞬間に 見えた

オレンジの空




2007年08月05日(日) きのう、きょう、あした

そうやって
過ぎてゆくあいだ

わたしがいると
おなじように

そこに
あなたがいる

いちにちを思う


2007年08月04日(土) はじまり

わたしの

始まりの
はじまりは

なんだったのだろう

みんな
違うというけれど

わたしは

草でも
石でも
よかった


2007年08月03日(金) ジブラルタル

ジブラルタルの水夫 
という 小説を読んでいて
思い出した

ジブラルタルは
スペインに あって
イギリスである

いつか 国境の長い行列を待つのに
倦んでしまって
帰ってきてしまったのだ

まだ 見ていない
ジブラルタルを

また 見てみたいと思う


2007年08月02日(木)

ふいに
置き去りにされてしまったみたいな
気がした

暖かい
日差しのなかに
鳩が降りてくる

一瞬の翳りのなか


2007年08月01日(水) 変容

夏の日差しは
まざまざと
変容など できないのだと
告げるのだが

肩から 落ちて
ひかりに 透けている
髪をみていると

まだ 変ってしまいたいと
思う


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