恋文
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2007年06月30日(土) とまる

ひかりが
なにもかも
とどめている

影は なんにも
動かない

透き通った
葉っぱも
動かない


2007年06月29日(金) 変容

いくらでも
変ってゆく

なにを思っていたのだろうと
考えるまでもなく

変ってきたのだろうか

ふと みた
じぶんの腕が

こんなに
細いなんて


2007年06月28日(木) 坩堝

この世界が
坩堝だとして

溶けてゆくのは

喜びだとか
悲しみだとか

憎しみも
赦しも

みんな 抱いたままの

しずかに
とけてゆきたい と
おもう

ひとりの
わたし






2007年06月27日(水) 夢の中で

毎日 
別の世界に
いるみたいに

違うわたしが
生きている


2007年06月26日(火) ひかり

ブラインドの
隙間から
洩れてくる

ひかりは
雨の色がする

また 風がでてきた

もうすぐ
雲と同じ色になる



2007年06月25日(月)

雨でも 小鳥は
やってくる

緑は 首を
うなだれて

軒には いくつも
水の珠

羽は しっとり
重いだろう


2007年06月24日(日) 歩いて

もう 戻れない
立ち止まれない

そこにいた
わたしは
もういないから

いくらでも
背負うしか
ないではないか

まだ 歩いてゆく


2007年06月23日(土) 特別

普段 しないけれど

夜更かしをして

食べてもいいや と

口にする
なにもかも

美味しいのね


2007年06月22日(金) おと

森閑としている

なかから
聞こえてくるような
幻のような
おとが

からだの かたちを
なぞってみる


2007年06月21日(木)

暗がりに
帰ろうとする

記憶をたどる

いつか
夏の夜の香り


2007年06月20日(水) 風に

とつぜんの
風に揺れる 枝から
花心が 
落ちてくる

まだ 雨の前に
雨のおとのように


2007年06月19日(火) 泥のなか

干潟の
さかなの ように

少しだけ
泥のなかを
進んでみよう

どこにも
泥しかないから

どうやって
進もうか

息だけは
してみよう


2007年06月18日(月) 木の実

落ちた木の実
雨が
さらっていった

しずくと
いっしょに また
落ちてくる


2007年06月17日(日)

風が でてきた

空は ミルクのように
重くなってきた

揺れている
木の枝、草

わたしと
いっしょ

暮れてしまうまで



2007年06月16日(土) 形見

あなたの
形見に
触れる と

まだ
ここに いられる


2007年06月15日(金) 異郷

曇ったガラスの
向こうは

いつか 梅雨の日
寒かった

同じ空 みたい




2007年06月14日(木) 一日

雨も 風も
やんで

みな
影になる

眠りにつく
まえに


2007年06月13日(水) 知らない道

通り過ぎるだけの
町のなかに
通りが
のびている

途切れた屋根
森の木々

思いを巡らせば
知っている道に
つながってゆくだろう


2007年06月12日(火) 夢の

覚めるのが
億劫になって

しばらく
夢の住人に
なってみる


2007年06月11日(月) 薔薇

雨が音をたてて
降って

濡れた木立の
かたわらに

そこだけ
光があたっているみたい

紅い
薔薇のしげみ





2007年06月10日(日)

雷の音がする
空は暗くなって

わたしは
ふんわり ふんわり
髪を梳かしている

風が止まったみたい
とっても静か

なのに もうすぐ
雨が降るだろう

わたしは 髪も梳かしたから
もう 眠ってしまおう


2007年06月09日(土) まだ

振り返ったら
まだ
あなたたちが
いるから

まだ
振り返っても
いいのかなぁ


2007年06月08日(金) 夕立

夕日が
いくつもの
かけらになって
降ってくる

草も木も
夕日に
きらきら
濡れている


2007年06月07日(木) 行き止まり

行き止まりは
どこを どうしても
行き止まりで

押しても
引いても
しかたがない

とぼとぼ
徒労をかみしめて
帰ってゆく


2007年06月06日(水) 夏の匂い

夏の匂いに
近づく
ふんわり香る
木の下を
歩いて


2007年06月05日(火) 夢は

夢を
さまよううちに
朝に
たどりつく

辿りつけない
夢は いまも
さまよっているだろうか


2007年06月04日(月) 行方

どこに
行くだろか

どこも明るい
街角に

ふと
見失う
行方




2007年06月03日(日) あなたへ

あなたの一日が
過ぎてゆくでしょう

わたしの一日も
何の過不足もなく
過ぎてゆきます

毎日 あなたなしに
過ごしているのに

どうして
思い出してしまうのでしょうか


2007年06月02日(土)

安心の
音がする

雨は
どこでも
いっしょの
音で

濡れていたい
気がする


2007年06月01日(金) 雨が降る

どこに
眠っているだろう
鳥たちは

濡れたまま
木も 草も
そよがない

止まってしまった
夕暮れ


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