恋文
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2006年02月28日(火)

雪を のせたままの
草の あいだ

黄色い花が
のぞいている

まだ そらには
雪の気配


2006年02月27日(月) 迎えにゆく

灯りだけが
白々と している

トラム駅には
だれも いない

帰り道を
たどりながら

そこにも 行こう
どこにでも

迎えにゆく


2006年02月26日(日) 台所

水をながす
音だけを
聞いている

そとには
雪がふって


2006年02月25日(土) おもいで

なにもかわらない
いちにちだけど

すこし また
おもいでが
ふえた


2006年02月23日(木) 春のお祭り

コンフェッティが
地面に
散っている

もうすぐ
花も咲くように


2006年02月22日(水)

かたちに 
ならない
わたしを
みている


2006年02月21日(火) 雨上がり

もう 花芽が
でている

産毛に
露を
たたえて


2006年02月20日(月)

風のなかに いる

髪を 
はらはら
梳かして

もう むこうに
行ってしまった


2006年02月19日(日) 眠る

わだかまった
嫌なことは
忘れる

たくさんの
好きなことを
思う

そうして
眠る


2006年02月18日(土) 春へと

もう
冷たくない

風は 
はげしくても

森は
どよめいていても

ぽつぽつと
歩いている

聞こえる ことを

きいている


2006年02月17日(金)

見えないから
なお
いたましい

手を どこに
さしのべれば
いいのか

待つばかり


2006年02月16日(木) 夜のおと

おとは
雨に 
とけてあって

ひかりも
いっしょに 
とけてしまった
みたい

夜のおとを
きいている


2006年02月15日(水) 頼りない

どこに
向かえば いいのか

ぐらぐらと
定まらなくて

おろおろと
たよりない

ふとんを被って
真っ暗の なかで

じぶんの
匂いだけに

まるまっている


2006年02月14日(火) 写真

モノクロームの
または 
褪せたカラーの

夢に よみがえる
記憶の 
ような

そのまま
わたしたちの
表情


2006年02月13日(月) 春へと

まだ 氷は
厚い

もう 朝は
それでも
とけてくる

鳥たちが
帰ってきた

声をきく


2006年02月12日(日)

あなたと
見に行くことが
できなかった

その港を
思い出す

岸壁には
ゆったりと
波が
寄せているだろう

かもめは
いつまでも
空にとどまっている


2006年02月11日(土) どこでもない

そこを
歩いていよう

少し坂をあがると
森の入り口があって

そのまま
歩いてゆく

木々は枝を 
のばしている
その小道

あなたが
寄り添っている


2006年02月10日(金) メタモルフォーゼ

まぼろしを
みている

そのまま
みていたい

たどりつけないと
しっている


2006年02月09日(木) 夕方

夕方の
あかるさが
すこしづつ
もどってきた

雨も あがって
雲のあいだが
うすく 朱い


2006年02月08日(水) 約束

あなたから
あずかった

それは
あなた だから

わたしと
いつも
いっしょにいる


2006年02月06日(月) かたみ

かたみに袖をしぼりつつ

そのほうが いい

わたしたちの
かたみは
おたがいの
はんぶんの
わたしたちのこと

末の松山に
浪は
越すことはない と


2006年02月05日(日) あなたがいない日

あなたに
かかわるものに
触れてゆく


2006年02月04日(土) あの頃

きっと
失っては
いなかった

まだ そのままの
わたしたち


2006年02月03日(金) 新しくなる

ずっと
つながっていた
いままでの
その さき

ふりかえりながらも
たどってきた
その まだ
むこう

あたらしくなる
わたしたち
いつでも


2006年02月02日(木)

にじんだ
窓のあかりを
見るともなく
とおり過ぎてゆく

雨かとおもう
冷たさが
かすかに
しみる


2006年02月01日(水)

まだ 雪が残る
こみちを 歩く

わずかに ひかる

霜なのか
雪なのか

草は じっと
うごかない

木の枝も
まだ 影のまま


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