恋文
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2005年09月30日(金) 再現

なんでもない 
瞬間に
ふと あなたを思う

どこにいても
再現できる

日溜りのなかの
そのとき


2005年09月29日(木)

もう 薄くなった 傷は
きれいな 肉の色を 
している

ささくれた 皮膚を
指先で ちぎる

また
血が滲んだとしても






2005年09月28日(水)

いま
聞こえる言葉も
見えるものも
そのまま
とおり過ぎて

窓に
映っているのは
窓の外から
見ている
わたし


2005年09月27日(火) いらないもの

いらないけど
わたしの一部だから

忘れることも
できないし

しかたなく
つきあってる

いつか
心中でもするか


2005年09月26日(月) ひとり

がらんどうの
部屋には

ひかりが
はいってくる

遠くの
おとがきこえる

頬杖をついている
ひとりで


2005年09月25日(日) 待つあいだ

たくさんのことを
思う

くりかえして
思う

よくないことも
思う

よいことばかりだったら
いいのに

思ってしまうから
しかたがない

でも
待ってるから

きっと
いいことばかりになるだろう


2005年09月24日(土) 膿む

傷を見ていたら

腕が 細かった

こんなまま

いる


2005年09月23日(金)

髪を
ほどくと
わたしに
なる

うなじから
肩へ と
おちる
その

いっぽん 
ごとに
感じている


2005年09月22日(木) わたし

手も 脚も
指の先
髪のはしまで

どこまでも
わたし


2005年09月21日(水) 夜の始まり

夜は
始まりを
早める

木の陰が
いつか
こんなにも
濃くなっている


2005年09月20日(火) ここにいる

まっすぐな
わけじゃない
いつだって

遠回りもする
立ち止まったりもする
後戻りだってする

まだ
ここにいる
わたしがいる

それで
いいんだよね


2005年09月19日(月)

もう 暗い
朝も
灰色の
夕べも

風の
なかにいる

ふと
どこにいるのか
わからない


2005年09月18日(日)

不注意に
どこかしら
怪我をする

知らない
傷がふえる

もっとたくさん
あるのかも
しれない


2005年09月17日(土) ふわふわ

あめが
ふって
くらくて
さむいから

ただよっている
あたたかい
ゆめのなか


2005年09月15日(木) 夢うつつ

夜に
つながって

見えるのは
夢ばかり

伸ばした
あしが
汗ばんでいた


2005年09月14日(水) 夜を渡る

夢をいくつも
かさねて
むかえる 朝

夢の名残りを
留めおいて


2005年09月13日(火) 曇り空

今にも
泣きだしそうなのに
ずっと
こらえている

いっそ
降らせてくださいな
そうして
そのあと
青空を見せてくださいな


2005年09月12日(月) 秋の空

葉裏から
透けてくる
光りは
もう 夏のものではない

雲のきれめに
のぞく空


2005年09月11日(日) 雨上がり

雨をたたえた こずえから
しずくが 
ときおり 降ってくる

自分の
足音と
息ばかりが 
聞こえる

目に入る景色は
みんな
灰色がかっている


2005年09月10日(土) わたしのまま

ひとつ ひとつと
なにを しているのか

果てもなくて

考えるのは
やめてしまいたいのに

いつもの
気持のままに いたい

それが
わたしなのだと


2005年09月09日(金) 夜に

眠れないまま
思い出したり
想ったり

夢のまえで
さまよっている


2005年09月08日(木)

川面が揺れて
岸辺の木々が
輝いている

再生をつたえ
光りが
ふりそそぐ


2005年09月07日(水) 逢うこと

あの時
あなたの重さ
あなたの温もり

まだ
残っていると
思うほどに

また
逢うことを
欲している


2005年09月06日(火) お願いね

わたしを
ばらばらにして
置いておこうね

みんな
わたしだから

受け取ってね


2005年09月05日(月) 隠れる

隠れた時に
思う

あなたが
一瞬 早く
見つけてくれたら
よかったのに


2005年09月04日(日) 散歩

川にそって
歩く
小道には
緑の木陰

せせらぎと
葉ずれの
音を
聞いている

鴨が
漂っている
水面に透けて
脚がゆっくり
水を掻いている

誰か子供の
声が聞こえる

風が
通りすぎる


2005年09月03日(土) あの時

呼び起こしたものを
どうやって
とどめよう

あの夏の 
暑さを
いま
肌に感じるているのに


2005年09月02日(金) 待つ

約束のときまで
待つのは 好き

ずっと
繋がった時間があって
わたしは
そこにいるから

約束の時間が
過ぎたら

でも、きっと
まだ
待っているだろう

そこから
繋がった時間が
あるに違いないから


2005年09月01日(木) 忘れること

忘れることを
嬉しいと思う

さっき
わだかまっていたこと

もう
忘れてしまった

なんだったのか

知らない


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