恋文
DiaryINDEXpastwill


2004年03月31日(水)

あそこに見えるのは
桜ではない

それでも 青い空の下に
靄のように 色づいている

いつでも 気持ちは
そこにあったように

なんかいもの春を
また 過ごす


2004年03月30日(火) 半性

わたしの半分は
わたしの性ではない

だけど それもわたしなの

好きなひとには
みんな あずけてしまいたい

男だとか 女だとか
気にしないでくださいな

あなたが 好きなわたし
それでいいでしょう?





2004年03月29日(月) 真っすぐ

真っすぐ 伸ばしているね
木々
枝の先には
空が
広がっているね


2004年03月28日(日) 好き

あなたの後ろを
歩いているのが よかった

あなたは
いつも わたしのものだった

別れ際の 
キスが 好きだった

いつも 好きだと
いう わたしも 
好きだった


2004年03月27日(土) 思い出

ひそかに
思い出をあけてみた

そのときの 思いは
まだ そのままだった

きっと
あなたも わたしも
そんなに かわっていないんだろう

だけど もう いっかい
さよなら を言って

そうして また
あなたに会いに行こう


2004年03月26日(金) あまえ

わたしなんか いなくなって いいんだ
なんど いっただろうか

きっと あなたがいたから
あまえた だけだったんだ

あなたが いたから
わたしは いなくならないの

あなたが いなくなったら
わたしは いなくなってしまうのかしら


2004年03月25日(木) どこかの雨

雨が窓に模様を描く
光は滲んでゆく

窓の外を見ながら
今ここに降る雨ではない
どこかの雨を
思っている


2004年03月24日(水) 同じ景色

いま このときと
この わたしのいるところ

ずっと前に見た
その場所も

あなたが見た その場所
あなたが 今いるところ

みんな繋がっているのなら
きっと 
いつか また 
わたしたちは
同じ景色を見るに違いない


2004年03月23日(火) ことばを失う

本当に気持ちを伝えたいとき
ことばを失うことがある

思う言葉が みんな
これではないと思う

声にならない
もどかしい思いだけが
積みかさなってゆく


2004年03月22日(月)

夢は
苦かったりする
覚めて
やっと夢でよかった
と 思う

でも それは
きっと
現実なのかもしれない


2004年03月21日(日) 起伏

鼓動や
息や

波打つ 胸や
身体の 流れ

わずかな
また あきらかな

抱き合っている
そのとき




2004年03月20日(土) 思い出

ねぇ ほんとうは
夢だったのかしら

あのとき
時間などなかったように

そこに
とどまっている

わたしと
あなた


2004年03月19日(金) 苦手

わたしは 旅が苦手なのだ

遠くへ ゆくことよりも
近くにいたい

知らないところに ゆくよりも
ずっととどまっていたい

なのに どうして
わたしは ここにいるのかしら

もう わたしの居場所が
わからなくなってしまうよ


2004年03月18日(木) 突然

いつか季節が変わってしまう
静かに移ってきたはずなのに
それと感じるのは
突然だった

季節ほどに
時間ほどに
人は変わってゆけないのだろう


2004年03月17日(水) 眠っていたかった

目覚めたくなかった

夢を 見ていた

わたしが ただの
わたしだった

泣きたい気持ちだったのに

そのままでいたかった


2004年03月16日(火) とどめる

そのとき わたしであったように
いまも わたしでいよう

もう 戻れないその場所は
そのときと同じように
一日は始まり 終り
季節は移るだろう

その時に見ていた花も
頬をかすめた風も
時には身体を湿らせた雨も
そのまま残っているだろう

そのときをとどめたまま
いまのわたしは
やっぱり わたしでいる


2004年03月15日(月) 冬の終わりに

影絵のように
木は まっすぐに立って
枝は縦横に広がっていた

空は 仄かに朱く
飛行機雲が 
一文字に 延びていった


2004年03月14日(日) つかえていたもの

つかえていたものが
すっきりとする

なのに それが
なつかしかったりする


2004年03月13日(土) 何もない

腕をぱたり と落すと
何もない

しばらく髪を 撫ぜている
暗闇

何もないので
ただ 眼を閉じていた

暗闇すら
なかった


2004年03月12日(金)

皮膚のしたに
透き通っている
魚の内臓のように
生きている

ぷつりと 突き刺さる
それは
わたし自身の毒のようだ


2004年03月11日(木) 距離

離れることで
近づくことができる
距離は気持ちの遠さではない

年を経ることで
近づくことができる
年月が引き離すこともない

遠くは離れたあなたと
ふれあっている


2004年03月10日(水) 春は

静かに近づいてくる

寒さにかじかんでいた
たよりない わたしの心も
あなたの声で
目が覚めたようだ






2004年03月09日(火) ただ一言が

澱のように
よどんでしまった
それは 行きどころがない

ただ一言が
こんなにも惨めな気持ちにさせる

暗闇のなかで
沈んだように
丸まっている


2004年03月08日(月) 洗い髪

胸にかかろうとする
その重さ
背中に感じる
湿ったいく筋もの小さな束

緩やかな曲線を描いて
落ちる

この髪を梳いてくれる
その手を おもった


2004年03月07日(日) リプロダクティブ

そういう性でありたかった
なんて 

いずれ わたしの身体は
崩れてしまうのか
焼かれてしまうのか

いずれ 失うものだけれど

ただ 産む ということに
関していえば

わたしは あらかじめ
失われていた

産むのなんか いやだ
なんにも 産まないよ

産めないもん

ぜったい 産んでやらない


2004年03月06日(土) めまい

奈落の底に
落ちてゆくような

めまいも 嫌いじゃない

暗い底に
ほんのりと

受けとめてもらえそうな
予感がする


2004年03月05日(金) 崩れる

あぁ いつか
崩れてしまうんだ

それが 明日なのか
何年後なのか

いつも 思っていよう
なにも 今のかたちを
とどめるわけではないと



2004年03月04日(木) 今朝みた夢

わたしが 
わたしだっただけなのに
恥かしかった

丸裸のわたし自身を
知った瞬間だった

そのときの
光景を 夢に見ていた

やっと わたしになりはじめて
嬉しかった

肌に触れた指が
しっとりとした


2004年03月03日(水) 長いとき

あいたいと 思った

もう こんなに長いあいだ 
あっていなかった
と 思った

さいごにあったのが
昨日だったとしても

ずっと長いときのように
思えることがある



2004年03月02日(火) 台所で

思い通りに行かないことなんて
いつでもあるのに
この わだかまりを
どうしようか

キャベツの芯を
ダンダン と
切っている


2004年03月01日(月) じっとする

少しのあいだ
自分の場所にいよう

もやのなかにいるように
前もうしろも見えなくて

じっとしている


かや |MAILHomePage

My追加