恋文
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2002年06月30日(日) いったりきたり

久しぶりの晴れ間。
地面はまだ湿っているけれど、
気持ちが明るくなる。

あなたと、またお話をする。
自分でもわかる、
笑顔になっている。

夕方は曇り。
空のような、わたしの心。
いったりきたり。

でも、今日は幸せだった。


2002年06月29日(土) もじずり

プランターにときおり見かける雑草が生えていた。
小さな桃色のはながねじれるように並んで咲いている。
調べてみたら、ねじばな、別名を、もじずり、という。
百人一首の歌が浮かんだ。

陸奥のしのぶもじづり誰ゆえに乱れそめにし我ならなくに

これは、わたしの、あなたへの思いそのもの。


2002年06月28日(金) いまだけでも

今日一日が終りに近づく。
あなたを想うこと、それが今日のわたしの、
あなたへのたったひとつの関係。
それは、いつも過去を振り返る。
あなたと一緒に過ごした、その時間。
あるいは、あなたと会話をしていた時間。

現在の瞬間を、いつもわたしは思い出に紡ぎ込む。
なぜなら、わたしたちの恋には、行きつく未来はないから。
それでも、あなたを好きでいたい。
いまだけでも。


2002年06月27日(木) わたしたちの恋

否定のしようもないこと。
わたしたちは、ずっと一緒にいられるわけでもなく、
頻繁に会うこともない。
これまでも、これからも、ずっと。
ただ、なにかでお互いに繋がっていることだけが、
わたしの望み。
そして、これがわたしたちの恋のすがた。
それ以上は望まない。

でも、時には会いたいよ。


2002年06月26日(水) 渇く

あなたを想って渇く。
それは、あなたが目の前にいないからだとしたら、
いつも会うことが叶わないからだとしたら。

もし、会いたいときにあうことができるのなら、
わたしは、あなたをこんなには求めないのだろうか。

それならば、今ここにいないあなたに渇いて、
恋焦がれていよう、
これまでのように、
これからも。


2002年06月25日(火) 不思議

昔のメールを読み返してみる。
まだ、お互いの顔も知らない頃。
微笑ましく、慎ましいことばが並んでいる。

そして、最初に顔をあわせて、だんだんと親しくなった。
あの頃は、まだ、考えてもいなかった、今のわたしたち。
とても不思議な気がする。
そして、うれしい。
あなたに出会えて。


2002年06月24日(月) 現実

ときどき、これは現実なのだろうかと思う。
確かに、わたしはあなたに会って、
会話を交わし、
触れ合った。
そのことも、夢のなかのように淡い記憶のように思いだす。

毎日のような会話も、いちど切れてしまうと、
まるで遠い記憶のような気がする。

どうしてしまったのかしら。
会いたい。
現実だと確信するために。


2002年06月23日(日) いつのまにか

毎日あなたの存在を確かめるようにメールや電話をする。
そして、あなたがそこにいて、
いつものように、わたしに話しかけてくれる。
そのことを確認して、わたしはわたしでいられる。

あなたからも、メールや電話がくる。
あなたが、わたしを見つけてくれて、
わたしは、わたしでいられる。

いつのまにか、わたしは、
こんなにも、あなたを必要とするようになった。


2002年06月22日(土) 不倫

あなたは、これを不倫じゃないというけれど。
わたしには、やっぱり不倫だと思える。

気持ちは、ふたつに分かれてしまう。
あなたと妻と。

でも、どちらも大切。
行き所がない、わたしの気持ち。

あなたと電話で会話をする日々。
密かに。秘めやかに。

こんなふうに、満ち足りているのに。




2002年06月21日(金) わたしたちの時間

ただ二人の時間が流れればいい。
現実の時間に抗うこともなく、
ひそやかに。

これは、わたしたちだけの時間。
わたしたちだけの繰り返し。
わたしたちだけの規則。

そして、それは現実の時間のなかに、
さりげなく息づいている。
離れていても、
共有している、わたしたちの時間。

そんなふうに、あなたと一緒にいたい。


2002年06月20日(木) ヤマアラシのジレンマ

少し遠くに離れた。
遠くにいるほうが、あなたを想う気持ちは強くなる。

家族も一緒。
いつも近くにいると、傷つけあってしまう。
遠く離れていたほうが絆が強くなる。
まるで、ヤマアラシのジレンマ。

こうして、夜に、あなたを想う。
幸福な時間。
そして、寂しい。
あなたとは、傷つけあうような距離には、
まだ、近づいていない。


2002年06月19日(水) 38秒/22分

昨夜、あなたと会話ができた、38秒間。
今朝、あなたと会話した22分間。
どちらも、わたしのもの。

昨日は、もう声が聞けないと思っていた。
そのなかでの、凝縮された会話。

今朝は、いつものように、なんでもないことを話す。
その、おしゃべりの楽しさ。

でも、ただ言いたいことは、
聞きたいことは、
お互いに交わすいつもの最後の言葉。
それだけ。


2002年06月18日(火) 平安

一日が終わりに近づく。
きょうは、あなたはどうしていたかしら。
会話がない日は、
なにかが欠けているような気がする。

電話もない。
メールもこない。

いつもの道を歩きながら、傍らに咲いている立葵が目にはいる。
凛と立っている姿が美しい。
その姿に和む。
その花言葉、平安。


2002年06月17日(月) ひとつ

あなたにはあなたの、
わたしにはわたしの、
それぞれの暮らしがある。

わたしたち二人とも、そこからは離れることができない。
それは、わたしたちにとって、それぞれに大切なことだから。

そんな大切なことを脅かすようなもの。
それがわたしの、あなたへの気持ち。
わたしに語ってくれる、あなたの言葉。

ふたつの大切なことたちのあいだに、
引き裂かれながら、
わたしたちはひとつになる。




2002年06月16日(日) そのあいだ

家族がみんな外出して、一人で部屋に座っている。
朝食の後片付けも終って。
窓を開けて曇り空を見ている。

そんなとき、あなたから電話があると、
雲の間から日が射してきたように、気持ちが明るくなる。
そのあいだだけ。

それでも、そのあいだが嬉しくて、
わたしはあなたを好きでよかったと思う。


2002年06月15日(土) あじさい

買い物の途中の小道で目にはいった。
もう、あじさいの季節。
今にも泣き出しそうな空の下で、
静かに佇んでいる。

「移り気」という花言葉があるけれど、
「辛抱強い愛情」という花言葉もあるのよ。
そのほうが好き。
そんなふうに、あなたを想っていたい。


2002年06月14日(金) 夢うつつ

夢とうつつのあわいで、わたしはさまよう。
離れていく、夢も現実も、どちらも。
わたしは、誰でもなく、何処にもいない。
それは、わたしがいつも躓くから。
こころが弱いから。

どこにいくのかな。
夢にいきたいのか、現実にもどりたいのか。

ほんとうは、あなたに迎えにきてほしいだけ。
あなたに連れられていきたい。
どこにでも。


2002年06月13日(木) あなたの前

家族の前のわたし。
職場のわたし。
そして、あなたの前のわたし。
みんな違っている。
あなたの前のわたしは、一番弱くて傷つきやすい。
なのに、わたしはあなたの前にいたい。
あなたから優しく言葉をかけてもらえること。
そのことが、わたしの喜びだから。


2002年06月12日(水)

霧のような雨のなかを歩いて帰る。
ときおり車のヘッドライトに照らされてきらめく雨。
傘をさしていても、しずくのように漂う雨はわたしの腕を濡らす。
少し肌寒いこんな日は、あなたの暖かさが懐かしい。

わたしたち、冬に初めて出会った。
そのことを思い出している。


2002年06月11日(火) カクテル

今日は会社の人とお酒を飲みにいく。
以前あなたと行ったのときに、あなたが飲んだカクテル。
カシスのはいった赤いお酒。
なんという名前だったのか忘れてしまったけど。
そういうのを頼んでみようかな。

会社のつきあいの最中だけど。
こっそりと、あなたを思い出すために。


2002年06月10日(月) 弱さ

あなたの声を聞くだけで安心する。
また、いつもの通りのわたしにもどる。
なにが不安だったのか。
それはわたしの心の弱さが招いたもの。
ときどき、わたしは自分をもてあます。
そんなとき、わたしはもっと強くありたい。


2002年06月09日(日) わたし

りんごの皮を剥く。
くるくるきれいに剥け落ちていく。

わたしの心は、こんな風にはきれいに解けてくれない。

りんごの端に茶色く色が変わったところがある。
それを切り取る。

わたしの病んだ心は、そんな風には無くすことはできない。

なんでもないことに動揺するわたしは、わたしじゃない。
あなただけが、わたしをわたしにしてくれる。


2002年06月08日(土) 今日も一人でいる

今日も声を聞けない。
しかたがないことだけど。
昨日は、メールありがとう。
お返事ができないのも、しかたがないこと。
でも、あなたが気遣ってくれるのが嬉しい。
あなたは、そこにいる。わたしの手の触れられないところだけど。
あなたを感じながら待っている。
明日を。

だいすき。


2002年06月07日(金) 待ってる

いつもの朝のように丘を越えて駅へと歩く。
今朝は一人で、無言で。
丘の上から霞んで見える遠くのビルの群れ。
あなたは、それよりも遠くにいる。
今朝は、いつもよりも遠いような気がする。

なにかの都合であなたから呼びかけられるかもしれない。
淡い期待を抱いて、わたしはいつものように歩く。

昨日の気持ちを思い出そう。
次にほんとうのあなたの声を聞けるまで、待ってる。
わたしのなかのあなたと一緒に。


2002年06月06日(木) 安心

幸せといっていいのかしら。
あなたから聞く。
今日何をするのか、明日はどうするのか。
会えないのは変わらないのに、あなたはすぐ身近にいるようだ。
いつもあなたのことが目に見えるよう。

わたしは、そうして安心していられる。
声が聞けないときでも、わたしの気持ちのなかにいてくれる。
いつも一緒にいてくれるのね。



2002年06月05日(水) 日課

あなたと会話をかわす。
なんの変哲もない、毎日のお互いの暮らしについて。
歩きながら話をしていると、ときおり通行人がわたしを見る。
そんなことも気にしない。あなたとわたしだけの会話。
いつのまにか、日課のようになってしまったね。

だから、お話ができない日は寂しい。
そのときも、でも、待っている。
不意に掛かってくるかもしれない電話。
それも、また、わたしの日課。




2002年06月04日(火) 伝えたい気持ち

恋文を書き始めてから、もう2ヶ月以上が過ぎた。
あなたに想いを伝えるために始めた毎日の営み。
ただのひとこと、すき、と言いたいために積み上げた言葉たち。

もう言葉の必要はないのかもしれないけれど。
それでも、まだ続けていたい。
あなたに伝えたい、いつものわたしの気持ち。


2002年06月03日(月) いつも

いつものように、あなたの声を聞く。
いつもなのに、何度でもときめく。

あなたを失うことは考えられない。
あなたは、わたしにとっての「いつも」だから。
あなたがいなくなれば、わたしも、もう、いない。
それは、わたしから「いつも」が、なくなるから。

だから、あなたを、いつも感じている。


2002年06月02日(日) 不安と幸せ

わたし、ずるいのかもしれない。
わざとメールをいれる。
気づいて欲しいから。
お話したいから。

あなたが応えてくれる。
そのことが、わたしの幸せ。

帰ってこない返事。
考えたくない。

不安と幸せのあいだ。
いつも、その間に座っている、わたし。


2002年06月01日(土) わたし

暗い淵を前に佇んでいた。
とても、とても自分の姿すらわからない、そんな暗い底。

日記を読み返した。
懐かしくて、涙がでた。
わたし、ずっと、こんな風に思っていたい。
あなたのこと。

やっと、自分を取り戻した。
ずっと、あなたのこと、想ってる。
これが、わたしだから。


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