松岡 正剛
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2006年03月11日(土)
DVD『トロイ』の感想。それと、恋愛という分類について。
昨夜は、恋人さまとごはんを食べに行き、帰りに
DVD『トロイ』を借りてきた。言うまでもなく、この映画は、
ホメロスの『イーリアス』が大本。で、そのまま彼の家で一緒に鑑賞。
感想としては、非常に単純ではありますが、しかし、これこそが映画を作る人たちからすれば一番嬉しい感想だと思うので書いてしまうと、「面白かった〜♪」。彼も私も、途中途中で「おお♪」と歓声をあげながら見ておりました(笑)。
映画全体を貫いているくっきりとした秩序と<神話>の構造。見る者を映画の世界へと引き込んでいく体感的な、それでいて計算しつくされたリズムと揺らぎ。ロマンス。友情。家族愛。などなど。
それに、なんといっても、アキレス役のブラッド・ピットが格好が良いのである。ブラッド・ピットの肉体美は素晴らし♪
ということで、様々な要素が戦争という<物語>の中に上手く納まっていて、見ていて久々に<シンプルな世界>ってすばらしいなぁと思った。塩野七生先生のローマ人の物語シリーズのどこかにあった「戦争は人を単純にしてくれる」というフレーズを思い出した。
いや、正しくは、<シンプルな世界>がすばらしいのではなくて、<シンプルな世界に“生きている人々の魂”>ってすばらしい、になるかも。悲観的に言えば、そう思わずにはいられないくらいに、私たちは<複雑な現代>という<物語>を生きているかもしれず。。
それと、以下はついでですが、話はかなり変わって、今さっき彼と話していて思ったことまとめ♪
要するに、いわゆる<恋愛>というカテゴリーは変だ、ということなのだろうと思う。
親密感+αがある人間関係にまつわる感情や行為を<恋愛>という2文字へと凝縮し分類し、恋愛なるものを日常から切り離し日常と対になる「非日常」なる空間世界へと押し込める、という方法、じゃない方法。
もっと大きなカテゴリーの中に、恋愛という“要素”があり、恋愛という<伝説・物語>にとらわれずに、<いま・ここ>と<現実・リアル>な“体感”を尊重する見方。
例えば、<人間関係>だとか<パートナーシップ>だとか。もっとマクロな分類、というか、人が存在しているという現象そのもの、に焦点を当てれば<ライフ>とか。 ということで、恋愛、ではなく、もっと大きなカテゴリーの中に自分たちを位置づけたほうが「しっくりくる」というお話でありました♪
トロイ |
| ブラッド・ピット ウォルフガング・ペーターゼン エリック・バナ
おすすめ平均 恋愛話不要論 以外に面白い歴史スペクタクルですよ。 長編神話映画 決闘シーン以外は語る価値なし。 古典とは違うけど
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2006年03月04日(土)
手作りパン&マドレーヌ。
以下、普通の日記。
昼ごはんに間に合うように午前10時くらいからパン作りを開始。まず、私がおやつ用にマドレーヌの生地を作り焼いている間に、恋人サマにパン生地を練ってもらい一時醗酵。
で、出来立てのマドレーヌをそのままキッチンで試食しつつ、色々と最近のコトをお互いに話している間に、一時醗酵が完了。ガス抜きをしてさらに生地を練ることしばし。
彼が「ソーセージとか入れていい?」と言うので、冷蔵庫にあったソーセージを具にしたパンと、当初予定していた、くるみを具にしたパンの2種類を、二手に別れて作成♪
そして、今日は晴天だったので外で食してみた。庭でごはんを食べるのも、たまには良いものだなぁと思った。週末の夜は、どうしても外食になることが多いので、昼くらいはこういうのも新鮮かもしれず。今後、週末に晴れることがあって、家でごはんを食べたくなったら、ぜひともまたやってみようと思う♪
2006年03月03日(金)
「読書」について読書する日々。
以下、ほざきのようなメモ。
ここ2日ばかりの読書タイムでは、「読書」をキーワードに、以下の2冊を読んでおりました。
★本を読む本(講談社、M.J.アドラー)
本を読む本 |
| モーティマー・J. アドラー C.V. ドーレン Mortimer J. Adler
おすすめ平均 積極的な読書とは? 読書を愛する人へ 本を読む本を読む本が欲しい 意欲的な読書のために 本の読みかたをまじめに考える
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この本によると、読書には初級読書、点検読書、分析読書、シントピカル読書の4つの階層がある、とのこと。また、本書によると、分析読書をできるようになるためには、現代の教育カリキュラムでは、大学院に入らないと無理らしい。。
で、何気に私は、分析読書の7割くらいは習慣的にしていたことが判明。「大学院に行ったのもムダではなかったんだな♪」と思った〜。。読書ノートもつけていることだし、確かに実感として、大学卒業した直後よりは、だいぶまともな読み手になれたとは思う。
ということで、今後は、読書するカテゴリーをもうちょっと広げつつ、専門分野とその周辺に関しては理解を深めていくために、シントピカル読書をしていこうと思いまする。
★読書について 他二篇(ショウペンハウエル)
2年ぶりくらいに再読。この本、何度読んでもタメになるなぁとしみじみ。毒舌でなおかつ真実を突いている名文が8割くらいを占めていて、こういう本って大好きなんですわ、私(苦笑)。
というか、特に、最近の私は「書く」よりも「読む」ほうに比重を置いた生活を送っているのもあり、また基本的に分析的な気質もあり、書き手の思想や文体の粗についてかなり敏感な状態で「読む」をしている。
ので、ショウペンハウエル様が、何に対してどんな風に怒りを感じているのか、今回再読してみて、すごーーーくよくわかった(苦笑)。「文体は精神なり」「ムダな形容詞を多様せずにシンプルに簡潔に書く」はホント大事だよね、ふむふむ。
そういえば、恋人さまが、モームの
『月と六ペンス』『を10年ぶりに読んですごく感動したというのを聞き、私も久々で読んでみた。
で、読了後、モームは、ショウペンハウエル様のお眼鏡にかなう、偉大な作家だなぁと再確認。シンプルで力強く、書きたいことを書いていらっしゃる。主観的ではなく客観的。単語の選択の仕方も意味領域の限定の程度もプロフェッショナルそのもの。それになおかつ、ユーモアもある。やはりモームはパーフェクトだなぁ。これを機に、他の著作も再読してみる予定♪(→今月の読書は、なんだか楽しくなりそうである♪)
2006年03月01日(水)
父、連続する自己、不連続な自己。
以下、2月上旬の日記。
夕飯の時に、父と高橋克彦氏の小説について話した。高橋克彦氏は歴史小説にUFOネタを絡めて書いている作家であり、私の持つ高橋氏についての知識はそれくらいである。というか、そもそも「歴史」という概念があんまり好きじゃないところがあるので、いわゆる「歴史小説」“と分類されている”小説を読まない傾向が私にはある。
と同時に、『「歴史」という概念があんまり好きじゃないところがあるのである』と述べているにも関わらず、私が読むもの&見るもののほとんどすべては「過去」についての記述&表現であり、言ってみれば、私という主体は「現在」を生きつつも、周囲から提供される溢れんばかりの「過去」に半分埋もれている存在なのである、というコトも自覚しているので、『「歴史小説」“と分類されている”小説を読まない傾向が私にはある』といいつつも、“実質的には” 歴史小説ばっか読んでることも知っているのであるが。。。
というか、父と「歴史」そして「歴史に埋もれてつつ生きている人間という生」について話していて改めて気づいたのであるが、やはり、人というのはどうやら、その人の脳が持つ“志向性”を年をとればとるほど変化させることはできなくなるのかもしれず。
何気に父は法学博士号を持っている。しかし、法学者ではないし、弁護士でもないし、法律とは直接何の関係もない仕事に就いているのであるが、父本人は満足そうな様子である。周囲の人たちの中で父が法学博士であることを知る者はいなそうだし、むしろ、言う必要性が無いくらい現状に満足しているのだろうなぁ、という感じである。
(★注★これを読んでいる方々のなかには、妙な偏見やイデオロギーに侵されている方がいないのはわかっているのですが、念のため書いておくけど、私を含め私の家族は、いわゆる博士号とか修士号とか出身校とか、そういう『学歴というイデオロギー病』に侵されている家族ではありませんので念のため。。短く言えば、「学歴は意味なし♪」というコトを、身をもって体現している人々でありまする。)
しかし、その人の持つ“志向性”と過去のある時点から連続している習慣は、端的に「現在」に現れているのだよなぁと、父を観察していると頻繁に思う。まず、父はわからないことがあると「すぐに調べる」「メモする」。「歴史小説を好む」そして「コメディタッチの法廷ドラマ&映画を好む」。(例;アリー・マイ・ラブとか、キューティー・ブロンドとか。。)
その他色々あるのであるが、あんまり長くなるのも疲れるので、無理やりまとめに入るとすると、「法学」とはそもそも“ルールの束”であり、そしてルールとは、“過去から現在へと連続する善悪の価値判断とその修正の継承の束”であり、言ってみれば「歴史」そのものであったりするワケであり、“現在の”父という人の脳は、まさに、“過去の”彼の志向性そのままを表出しているんだな、って思った。。ということで、
★君の脳がどのようなときに
ドーパミンを放出させるか言ってみたまえ。
そうすれば、わたしは君がどんな人間か言い当ててみせよう。
(脳科学者・茂木健一郎)
は、やっぱ、真実なんだなぁ〜。そしてまた、
★脳のクセの6割は遺伝子。
なのでまずは脳の問題は遺伝子の問題として捉えて
その後で人間関係や社会に原因を探っていくべきもの。
(ウェブで出会った名言・人物不詳)
が真であるとするならば、父の持つ志向性は、私へと受け継がれているのも確実だな、と思った。。
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