綴緝 ADMIN|INDEX|past|will
更新は更新でも小説を載せた訳じゃないとゆーのが痛いですが更新なので書きます。嗚呼ねむさで日本語が変だー。変とゆえば先日ここで書いた小説も変だ……あああ〜。
時事ネタで桜を忘れていた(←これは確か日記にも書いた気がする)と思ったら本日のエイプリルフールも忘れてました(エンピツで日記を書かれている方の日記を読んで初めて、あ、そうかと思った(念のため、スレイヤーズとはまったく関係無い方が書かれてます)。遅。よりによって当日に気づくとは。まあ過ぎてから気づくよりマシか)。という訳で今からエイプリルフールネタで書きます。一番はじめに書く小説の理由がこんななのは情けないですが仕方なし。推敲したら書棚にアップします。ですが来年です。(笑)何故ならどんな話を書くかは現時点で何も決まっていないから。(注:00:50現在。お昼ではなく真夜中です) 一週間ほどの野宿続きで少し疲れていた。 ……というのは言い訳になるのだろうか……? あたしはそこそこ上機嫌だった。昨夜の盗賊いぢめで得たお宝がなかなかの値打ちものだったのだ。お昼ご飯を食べ終えたら整理の続きをして、魔法の道具屋(マジックアイテムショップ)に行けば、当分お金には困らない。 そんな訳で食事中なのもあり、にこにことサラダを食べていたのだが。上機嫌は長続きしなかった。 「なあ、リナ、あれ――」 料理を横取りされないように腕でお皿をガードしつつ、自称保護者の指差した方角に目を向ける。 「なに……あ」 「げ。」 げ、と言ったのはガウリイではない。食堂の入り口付近で席を探す黒髪の男と銀髪の女の内、男のほうだ。ちなみに声が聞こえたわけではない。ちょーど向こうもこっちに気づいたようで、その形に口が動いたのを見て、多分そう言ったのだろうと見当をつけたのだ。 ――――よくよく縁がある(嬉しくない)。 食堂に入ってきた人物、それはまさしくルークとミリーナの二人組みであった。 席が他に空いていないのと顔見知りなのもあり、何も言わずどっかりと斜め向かいに座ったルークを特に咎めない。 「ツイてねーよなー」 ぶつくさ言うルークを半眼で睨みつける。 ……それはこっちのセリフだ。せっかく気分が良かったのに、これで台無しである。って言うか席が無いところにあたしたちを見つけて座れたってゆーのに、ツイてないってどういう意味だ。食事時でなければ椅子を蹴飛ばしている。 ルークと対照的に軽く会釈したミリーナへ席を薦める。口を開くなり文句言ったルークとは大違いだ。 二人が注文を済ませるのを待って、近況を尋ねる。 「アトラス・シティに行こうと思ってるの」 答えたのはミリーナだった。彼女に問い掛けたのだから当然と言えば当然だ。……ルークなんぞ無視だ、無視っ! フーンと呟きサラダに入ってるリンゴをさくりと齧った。 アトラス・シティに何かあるのか、それとも近くに何かあるのか。 「言っとくけどな、俺と」 「あ〜安心して。邪魔するつもりは無いから」 皆まで言わせず遮った。フォークを持つ右手ではなく、何も持っていない左手をひらひら振る。どうせ俺とミリーナのラブラブな旅路を邪魔するなとか何とか言うつもりだったのだろう。んなたわごとなんか、いちいち聞いていられない。 ルークは遮られて機嫌を損ねたのか、口をへの字にひん曲げて黙った。誰もツッコミ入れないと寂しい癖して遮られても不機嫌になるとは。わがままなヤツである。 「あなたたちは?」 口の中のリンゴを飲み下してから答える。 「さしあたっての目的地は無いのよ。荷物整理してから魔法の道具屋に寄って、それから東へ行こうとは思ってる。アトラス・シティとは反対方向ね」 最後の一言はちらと横目でルークを見つつ言った。邪魔するつもりは無いという先のセリフを裏付ける意味と、邪魔はしなくても目的地は同じという意味に取られては堪らないという意味を持たせて。 あたしの視線が気に食わなかったのか、眉間に皺を寄せるルーク。彼が何を言うより早くさっさと視線を外す。 「ガウリイ、ソースとって」 あたしより彼の近くにあったのだ。んーだかおーだか言って取ってくれたガウリイに礼を言って受け取る。視界の端に映るルークは何だよと言う気を失ったのか、そっぽを向いていた。 その後は特に衝突もなく、周りの客や食堂の主人に文句を言われるほど騒ぎもせず。あたしたちにしては比較的穏やかに食事を終えた。ミリーナたちが来た時あたしたちは食事の半ばほどだったのもあり、四人ほぼ同時に食べ終わったのだ。 勘定を済まして外に出る。 「あんたら、どこに宿とってんだ?」 隣を歩くルークに道の先に見える青い屋根を指差す。 「そこだけど。なんでんなこと訊くのよ」 彼はナップザックを肩に引っ掛け手を頭の後ろで組んだ。碌な答えは聞けそうにない。口元のニヤニヤ笑いを見るに。 ……悪い予感ほど良く当たる。 「同じ宿を取りたくねえからに決まってんだろ」 やっぱり。 わざわざ言わんでいい話ばっか好んで口にするのは何故なのか。 答えは彼に訊かずとも、自問自答せずともわかる。嫌がらせに他ならない。自明の理であり今更だ。 「だからあんたがキライなのよ、あたしは」 ったく。と言って視線を前方に戻す。 会話に入ってこないミリーナとガウリイは、先を歩いて何やら仲睦まじく話している。ミリーナのほうでもガウリイにも、特に相手を嫌う理由は無い。仲良く話していても不思議は無い。ただ二人が話す場面はあまり見かけないからか、意外な気がした。 二人ともにこやかに話している。ルークは何も言わないが、嫉妬とかしないのだろうか? ガウリイ相手に嫉妬しても意味が無いと悟りきっているのか。 ふと気になってルークを再び見る。彼もあたしと同じく前を――前を歩く二人を見ていた。その顔には嫉妬などの妬みの感情や不機嫌さを見て取れない。なにも感じていないかのような澄まし顔だ。ニヤニヤ笑いすらも無い。 「そうか? 俺は好きだけどな」 …………。 えー……っと……。 「――だれが、だれを?」 思わず歩みを止め素でルークを見つめてしまう。 あたしは「あんたがキライ」と言ったはずだ。彼は、「俺は好きだけどな」と言った。つまり自分を――ルーク自身を好きだと言っているのだろうか? 足を止めたあたしに合わせルークも止まった。あたしに向き直る。自然、みつめあう形になる。 「俺が、おまえを」 僅かに彼の口元が緩んでいる。だが見る者が気分を悪くする嘲笑の類、ではない。ふざけて言っているようには見えない。 ……こんな顔も、できるんだ。じゃ、なくて! 何の策略も無しにこんなセリフを言う訳がない。相手はルークなのだ。ガウリイならまだしも。純粋な好意をミリーナ以外に向けるなんてまず有り得ない。なにを考えているのやら。つったってあたしをからかうネタには違いないんだろうけど。そのネタがわからない。 彼の真意をはかりかねて首を傾げ、はっと気づいた。 すっかり忘れていた。今日は四月馬鹿の日――エイプリルフールだ。 「あんたねー。つくならもっとマシな嘘つきなさいよ」 近くの山にお宝の眠る洞窟があるとか盗賊団がお宝を抱え込んでるとか。それならまだ騙された(かもしれない)。 「そんなんじゃガウリイだって騙せないわよ」 びしりとルークを指差して、既に宿の前で立ち止まり待つ二人のほうへ足を向ける。 ――――えぇぇっと……整理し終えたのは宝石だけ、だったような気がする。コインとかは纏めて脇に置いて、宝石を片付けた後は眠っちゃったから……。ざっと見たところ割かしレアなコインとか魔法の道具(マジック・アイテム)とかあったみたいだから、次の町に行っても仕事しなくていいわね。 ルークはやや遅れて無言で付いて来た。横に並ばず、あたしの前にも出ない。何を考えているのかわからないし、わかろうとも思わない。前を歩いているから彼の顔から考えを推察するという芸当もできない。第一、あたしは宿に置きっぱなしの荷物(と言うか盗賊いぢめで得たお宝)が幾らで売りさばけるか、に頭を巡らせていて、彼の心理を読み取ろうとも思わなかった。 「リナー遅いぞー」 促され駆け足に変える。 待ちくたびれたといった感で腰に手を当て立つガウリイに「ごめんごめん」と謝る。 ルークが追いつくのを待たずミリーナに手を左右に振った。 「んじゃね。あたしたち魔法の道具屋(マジックアイテムショップ)に寄ったらそのまま行くから」 「ええ。それじゃ、また」 微笑むミリーナに笑顔を返し、宿の階段を上る。ルークには何の挨拶も無しで。 「またなー」 対してガウリイはちゃんと二人に挨拶したらしい。その後、立ち話でもしたのか、かなり遅れて階段を上ってきた。彼を待たず部屋に入ったので音で判断したのだが。 荷物の整理を終え、ぼんやり部屋であたしを待っていたガウリイを引き連れ宿を出る。その時にはミリーナもルークも宿の一階や通りにいなかった。本当にあたしたちと違う宿を取ったのかどうかは定かではない。 通りを歩いていると先ほどのルークとのやり取りを思い出した。 エイプリルフールか。ふむ。 「ねーガウリイ、次の町ついたらご飯おごってあげる」 なんだ珍しいと笑って言うかと思ったら。 ガウリイはしかめっ面になった。 「あのなぁリナ、エイプリルフールってのは嘘ついていいのが正午までなんだぞ」 ……バレてる。って言うか、ガウリイがエイプリルフールを知ってた……。じゃなくて、それよりなにより。 嘘ついていいのが正午まで? 「ウソでしょ?」 それこそ彼があたしにつく嘘という可能性も……。 しかしガウリイは真顔で首を横に振った。 「いや、本当。何なら宿に戻ってルークとかに訊いてみたらどうだ?」 おいおい。もうこの町の門が見えてきているし、ルークたちが泊まる宿も知らない。わざわざ聞くためだけに二人を探すのも間抜けな話だ。 彼がこう言うなら、エイプリルフールに嘘をついていいのは正午まで、という言葉は嘘でもなんでもなく真実のようだ。 それなら。 ――――それなら……。 『俺は好きだけどな』 ルークの、このセリフの意味は? 彼も嘘をついていいのが正午までと知らなかった? そう言えば。あたしがエイプリルフールだから騙そうたってそうはいかないと彼を躱した時。彼はどんな顔をしていた? なにか言っていた? 思い出せない。あたしはお宝に気を取られていて、彼の反応を気にも掛けなかった。 ルークの真意はわからない。門をくぐり、出てきた町を振り返ってもなにもわからない。 「リナ? どうしたんだ、立ち止まって。忘れ物でも思い出したのか?」 ガウリイが戻ってきてあたしの顔を覗き込む。あたしが止まっても気づかず先を歩いていたのだ。 彼の言葉に苦笑する。 忘れ物――には違いない。宿題と言ったほうが近いか。 「ん……うん。そうね。でも」 今度会う時までの宿題にしておくわ。 なら戻って取りに行こうと言うガウリイに首を横に振る。 「いまじゃなくてもいいわよ。今生の別れって訳じゃないんだから」 次に会う時に取り戻そう。中途半端に浮いてしまった自分の気持ちと掴み損ねたルークの真意を。 疑問符を飛ばすガウリイを気にせず踵を返す。 彼と別れてから次に会う時が楽しみだなんて初めてだ。 尋ねた時に忘れてなきゃいいんだけど。ま、忘れてたらスリッパではたくか呪文で吹っ飛ばすかしてでも思い出させてあげるけど。 あたしはこっそり含み笑いを洩らした。 のろのろ歩いて宿に入る。 階段を上っていく背中を見つめ心の内で溜息ひとつ。 こーの様子じゃあエイプリルフールで担いでいいのは正午までって知らねえな。 ま、いっか。別に信じてほしくて言ったわけじゃない。どちらかと言えばからかうネタにするつもりだったのだ。結果はからかえず空振りに終わったが。 「ルーク?」 宿の主人と一緒に待つミリーナの元へ駆け寄る。 四月馬鹿なのは騙された方ではなく騙す方なのだろうと思いながら。 ――終。 稿了 平成十四年四月一日月曜日 後書きかもしれない (何故なら全て書き終える前に書いているから) スレイヤーズの世界の暦はこの現代とは違う(=本当ならスレイの世界にエイプリルフールは無い)とゆーのをわかって書いてます。ここら辺、私はこだわりがあって、スレイヤーズの原作中に時間の単位(分とか秒とか)や距離の単位(センチとかメートルとか)が出てきていないので、つまりは現代と違うのだろうと解釈してます。スレイの世界に時計があったらちゃんと表記されてるでしょーし(だって分や秒等の単位を使えるほうが書き手にとっては何かと便利だから。読み手にイメージを伝え易いという点において)。そんな感じで私の書くスレイヤーズ(主に原作設定)の小説には時計や分や秒、センチ、メートルなどの単位は出てきません。これからも出すつもりはありません。ただ一週間、一ヶ月、一年という言葉は出してます。これは、一週間や一年という言葉が無いとリナの年齢が変わる理由(何巻だったか覚えてませんが(汗)原作第一部でリナが、もう16になったと言ってます)を説明できんので。あとスレイの世界にも四季があるのは皆様もご承知の通りなので、季節に関する(冬や春、雪とかその辺の)言葉も使ってます。と書いておきながら、文中に正午がどうのとありますが、この場合の正午とは12時ぴったしという意味ではなく、太陽が空の真上(この言い方だと頭の上と書いた方が正確か)というか空の真中の辺りにある時刻を正午としていますのであしからず。 でもって文中、「ミリーナに席を薦める」とゆー文がありますが、これ「勧める」か「薦める」か、迷いました。辞書引いてもわからなかったので(涙)とりあえづ「薦める」にしておきましたが、間違ってるかもです。どっち使うかはっきりわかりましたら、ここに書きますね。私はもうしばらく悩みます。あうう。どっちなんだ〜!? 更に文中で「魔法の道具屋」とゆー漢字表記で「マジックアイテムショップ」と読ませてますが、これは原作第一部の表記です。第二部では「魔法道具屋」とゆー漢字表記で「マジック・ショップ」とルビが振られてます。第一部の表記を出した理由は、こちらが第一部で何度か出てきているからです。第二部のほうは(確認していませんが)一度しか出てきていないっぽいので複数出てる方を単純に選択しました。「魔法の道具(マジック・アイテム)」は10巻後半(ラーヴァスの城に突っ込んでから)で何度か出てきてます。こちらは第一部表記を調べてません。てことで第二部の表記を採用してます。なんていい加減なんだー!(……) エイプリルフールについて。この日に嘘をついてもいいっていうのは一般的に広く知られてますが、嘘をついていいのは正午まで、というのは案外知られてませんよね。英語の辞書に書いてあります(じーにあすは載ってました。らいとはうすには載ってませんでした。だからじーにあす以外の辞書には載ってないかも。英語(英和)の辞書で一番いいのはじーにあすらしいです。英和をご購入の際にはご参考にされてみては如何でしょうって学校に通う必要がなければあまり使う機会無いですな)。国語辞典や広辞苑にはエイプリルフールの言葉自体が載ってなくて、えええ〜と驚きましたとゆーのは余談。 もひとつ文中から。ツッコミ入れられなくても〜とありますから、この話は13巻以降の話になりますね。別に13巻以降の話でなければならない理由は無いのですが、このルークはリナへの想いを自覚し尚且つ認めているらしいことから、そのくらいの時期じゃないとマズいかな〜と。14巻前なのは言わずもがなでミリーナが健在だから(……泣)です。あーうー。13巻でスレイヤーズ終わりでも良かったな……(遠い目)。くどいですね私も。しかし15巻がもっと違う展開であれば(てゆかルークの出した結論さえ違うなら)こー何度も批判しませんでした。ううう。 それはさて置き。書棚にアップする時には最初の二行とラストの独白(誰の独白かは明記しなくてもわかりますよね?)、削ります。たぶん。書き終えた今は余分だなーと思うので。無い方がいい。 話の内容に関して。ルークリナですね。以上。(笑) ――で終わらせるのも何なので何か書きましょう(てゆーか何を書きゃいいのやら……)。既に私の基本カップリングになっている二人です。エイプリルフールネタで何か書こうと思った時に、自然とこの二人の話を書きたくなりました。最近は表に出していないですが、ルークリナしか書いてません。ばかり、ではなく(笑)。ゼルリナをご期待の方には申し訳無い限りです。でも無理して書いてもいいものを書けないので、書きたい時に書きたいものを書いていきます。今回の「書きたい時に書きたいものを書いた」結果が、これとゆー訳で。甘いわけでもなくシリアスでもなく。こんな雰囲気が一番好きかもしれません(書く上では)。……甘い話は書けませんのでね……ええ……。シリアスはシリアスで好きなのですが、如何せんどっぷりその世界に漬かって書くもんで、自分自身まで暗くなって疲れてしまうのが難点です。シリアスは気力と体力がある時じゃないと書けないのです。へろへろでも自分がダークな気分の時は書けますが。 ぜんぜん内容について書いてないですね。書けないのです。言いたいことは話の中で書いてしまってるので、後書きでこの話について書けと言われてもー!(いえ別に誰に何を言われたってわけじゃないですが。でも後書きというからには内容に関して何か書かなきゃいけないのかなあとゆー妙な義務感があるのでふ) あ、タイトル(日記の、ではなく話の)……どうしませう。全然考えてませんでした。気が向いたら付け足しておきます。「四月の馬鹿」、じゃああんまりにもそのまんまだし(今はこの程度しか思いつかない)。あまりにもそのまんまでも、他に思いつかなければ「四月の馬鹿」で通してしまいますが。てゆかどう考えても馬鹿は私……(苦笑)。年がら年中馬鹿やってるし。つーか7時間掛けてこの内容って……どうよソレ。 BGMはずっとイエモンの「追憶のマーメイド」でした。この曲ってゼロリナ〜vv(おい) 私にとってゼロリナのテーマソングです。いい曲だ。大好き。ってルークリナの話の後書きに書くことじゃないな(汗)。日記のほうでいつかネタにします。 今回の話は(てゆーか今後もここに書く話はずっと)推敲無しの一発書きです。考えながら書いているので文法や誤字脱字等、沢山あるでしょう。私はそゆのを指摘してほしいと思っているので、見つけましたら教えてくださると嬉しいです。自分じゃなかなか気づかないんですよね。何回か見直しても。 ではではこの辺で。次は脱力するような話(どんな話だ)でも書きたいですね。 別パターンのラストの独白を思いついたので。 (どちらにしろ書棚アップ時には載せません) 階段を上る背中を見上げ溜息にも似た息を長く吐く。 「本気だったんだけどよ」 聞こえちゃいないのだろう。やがて背中は一度として振り返らず二階に消えた。 怪訝な顔のミリーナに何でもないと言って接客に出てきた宿の主人に向き直る。 エイプリルフール、か。 フール(馬鹿)なのは担いでいいのが正午までと知らなかった女の方か、そんな鈍い女に惚れた男の方なのか。 なにも知らず部屋にいるであろう女に苦い笑みを送った。 ――終。 稿了 平成十四年四月一日月曜日 |